全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第292話「土用の丑の日で地獄を見た」

 ある日のこと。

 

「そういや今年の土用の丑の日っていつだっけ」

 

 Poppin’Partyは市ヶ谷家の蔵でバンドの休憩をしていた時のことだった。ドラム担当の山吹沙綾がそういう。

 

有咲「確か7月28日だったような…」

香澄「土用の丑の日って、確かうなぎを食べる日だったよね!?」

有咲「まあな。別に「う」がつくものだったらなんでもいいんだけど…」

たえ「うさぎ?」

 

 たえの発言に空気が止まった。夏真っ盛りでとても暑いはずなのにとても凍り付いた。

 

沙綾「お、おたえ…」

有咲「あの、食べものの話をしてるんだよ? もしかして家で飼ってるウサギって…」

香澄「え~~~!!!! そんなのダメだよ!! かわいそうだよぉ!!!」

有咲「いや、そんなこと言ってたら他の動物も可哀そうになっちまうから…」

 

 なんか話がややこしくなりそうな気がした有咲だった。そして予感は的中した。いつもひょうひょうとしているたえが急に真っ青になった。

 

りみ「ど、どうしたの…?」

たえ「も、もしかして…」

「?」

 

 たえがブルブル震えていた。

 

たえ「今回の話…オッちゃん達を食べる話なんじゃ…」

有咲「大丈夫だと思うよ!!?」

 

 一体どうやったらそんな発想になるんだと有咲はそう突っ込まずにはいられなかった。

 

沙綾「いくらなんでも考えすぎじゃ…」

香澄「そ、そうだよ! あってはならない話だよぉ!!」

 

 沙綾と香澄がなだめようとするが、たえの震えが止まらない。

 

有咲「あれだ。ちょっと一丈字に電話してみたらどうだ?」

たえ「うん!」

 

 たえが飛鳥に電話をかけようとしたが、たえのスマホに飛鳥の連絡先がなかった。

 

たえ「…あれ?」

有咲「ど、どうした?」

 

 たえが有咲の方を見た。

 

たえ「ねえ有咲…。飛鳥くんの電話番号って分かる?」

有咲「はぁ? アドレス帳に残してねーのかよ…」

 

 香澄も自分のスマホで飛鳥の連絡先を確認したが、

 

香澄「あれ!? なくなってる!!」

「!!?」

香澄「飛鳥くんの連絡先がなくなってるよ!?」

 

 皆が驚き、有咲も確認したが自分のスマホにも飛鳥の連絡先が消えていた。

 

 

有咲「う、うそだろ…」

たえ「どうしよう…。このままオッちゃんたちが食べられちゃったら…」

りみ「だ、大丈夫だよ。おたえちゃん」

たえ「…しちゃいられない」

「え?」

たえ「私ちょっと切り上げる! 練習はまた倍にするから!」

香澄「え!?」

有咲「おい、おたえぇ!」

 

 たえは荷物をまとめて帰ってしまい、4人は茫然と見つめた。

 

香澄「おたえ…」

沙綾「考えすぎだと思うんだけどね…」

りみ「でも、どうして一丈字くんのアドレスが…」

有咲「……」

 

 すると有咲があることに気づき、とてつもなく嫌な予感がした。

 

有咲「悪い3人とも。あたしもちょっと用事できたから練習切り上げるわ」

沙綾「え!?」

有咲「練習倍にすっから」

 

 そう言って有咲も荷物をまとめた。

 

香澄「ど、どうしたの有咲!!」

有咲「このままだと…このままだと私と奥沢さんの負担がすごいことになるんだよぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

*****************************

 

 そしてどうなったかというと…。

 

「~~~~~~~!!!!!」

 

 たえと有咲、そして香澄、りみ、沙綾は新幹線に乗り込み、バスに乗り込んで、ある場所に向かった。

 

****************************

 

 

「…土用の丑は平賀源内が鰻屋を繁盛させるために張り紙を貼った事から始まったんだ」

「へー」

 

 広島のとある小さな町で、飛鳥は親友である奈良川京、林日向の3人で遊んでいた。遊んでいたというより、京のサッカーの練習に飛鳥が付き合っていたと言ってもいいだろう。

 だが、現在は休憩して談笑しながら水分補給をとっていた所だった。

 

 そんな時だった。

 

「いた!!」

飛鳥・京・日向「!!?」

 

 Poppin′Partyが現れたことで飛鳥、京、日向が驚いていた。

 

たえ「ようやく見つけた…飛鳥くん!!」

飛鳥「え、えっと…花園さん!? どうしてここに!?」

 

 するとたえが飛鳥に縋りついた。

 

たえ「お願い!! オッちゃんたちを食べないでぇ!!」

有咲「お前自分だけ逃げようとしてもそうはいかないからなぁ!!?」

 

 有咲も飛鳥に詰め寄ったが、飛鳥はいったい何のことかわからなかった。京と日向も一応「バンドリ関係」の用事である事は理解できたが、いったい何のことか分からなかった。

 

 

*******************************

 

 

飛鳥「ああ…。そういう事だったんですね…」

 

 京の実家である「奈良川ベーカリー」のイートインで飛鳥たちはいたが、沙綾から事情を聴いた飛鳥は納得した。

 

有咲「もー大変だったんだぜ。考えすぎだって言ってるのにおたえが…」

京「いや、お前も飛鳥に押し付けられると思って来てたじゃねぇか」

有咲「ま、まあそりゃそうだけどさ…」

 

 京に言われて有咲が視線をそらした。

 

飛鳥「本題に戻りますけど、その…ペットのウサギを食べるということはないのでご安心ください」

たえ「うん。ありがとう…」

飛鳥「しかし、よくここまで来れましたね」

日向「交通費とか大丈夫ですか?」

たえ「大丈夫。バイトしてるから」

香澄「ああっ!! もう私ギリギリだよ~」

有咲「…香澄たちは来る必要あったのかよ」

香澄「大ありだよ! だって気になるじゃん!!」

 

 香澄の言葉に飛鳥たちは困惑した。

 

沙綾「ところで…ここが奈良川くんちのパン屋さんね」

京「ああ。折角だから食べて帰ってくれよ」

 

 このままパンパーティーが行われたという。

 

香澄「その、帰りの交通費…」

飛鳥「……」

 

 

おしまい

 

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