全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第30話「家は憩いの場所」

第30話

 

 ある日の事だった。

 

 

「飛鳥くんの家に行きたい!!」

 

 と、食堂のカフェテリアで日菜が飛鳥に向かって言い放った。

 

飛鳥「あ、家は勘弁してください」

日菜「どうして?」

飛鳥「…ちょっと人を入れたくなくて」

 飛鳥が視線を逸らした。

 

日菜「もしかしてエッチな本とか隠してあるの?」

飛鳥「年齢的にアウトですね」

日菜「どうして家に入れたくないの?」

飛鳥「中学の時に近隣トラブルがありましてね…」

 飛鳥が視線を逸らした。

 

飛鳥「そういや、同じクラスの方々からそういうお話って来ないんですか?」

日菜「来るんだけど、なんかるんって来なくて…」

飛鳥「そ、そうですか…」

 

 本当に需要と供給が合わねぇな…と飛鳥は思った。合ってしまえば話がすぐに終わってつまらないというのはあるのだろうが、その辺もう少し何とかならなかったのだろうかとも思っていた。

 

日菜「どんなおうちに住んでるのかなーって」

飛鳥「普通ですよ」

日菜「おうちってどこ?」

飛鳥「この学校から5分くらいの所にありますね」

日菜「教えて教えて!!」

 日菜が飛鳥にせがむと、飛鳥は困惑した。

 

 放課後、仕方なしに飛鳥は日菜を家の前まで案内する事にした。

 

飛鳥「こちらですね」

日菜「えっ…」

 日菜は驚いていた。確かに一見普通のマンションに見えるが、日菜でも分かるくらい高級だった。

 

日菜「も、もしかして飛鳥くんのおうちってお金持ちなの…?」

飛鳥「いいえ、このマンションを所有してる林グループの人に友達がいて、格安で借りれたんですよ」

日菜「へえ…」

 日菜が驚いた。

 

日菜「もしかしてホテル暮らししてるのって…」

飛鳥「…まあ、色々あったんですよ」

 飛鳥が悲しそうに笑ったが、

 

飛鳥(能力者だってバレやすいし、プライベートにはあまり触れて欲しくないんだよな…)

 本音はこうだった。やっぱり休める場所が欲しかった。

 

日菜「そっかー…ゴメンね」

飛鳥「いえいえ」

日菜「それじゃあさ。アタシの家に来ない?」

飛鳥「そう来ましたか」

 飛鳥が困惑した。

 

飛鳥「いや、紗夜先輩もいますし、暫く家はやめましょう」

日菜「おねーちゃんの部屋に入らなかったら大丈夫だよー」

飛鳥「ファンに殺されるので…」

日菜「じゃあ、なんだったらいいの?」

 日菜が憤慨する。

飛鳥「家じゃなかったら大丈夫です。一先ず」

日菜「ラブホテル?」

飛鳥「そこまでして私を困らせたいんですね。分かりました」

「待てーい!!!」

 

 と、男子生徒達が現れた。

 

「貴様ぁ…!! 日菜ちゃんと何をしようって!?」

飛鳥「鍋を食べに行こうかって話をしてました」

日菜「お鍋!!? 食べたーい!!」

「何か話噛み合ってなくない!!?」

「絶対今考えたよね!!?」

 

 日菜の言葉に皆が突っ込んだ。

 

「ラブホテルって話をしてなかったか!?」

「日菜ちゃんをラブホテルに連れていこうとしていたのか!?」

飛鳥「あなた方こそ話聞いてました?」

 飛鳥が腕を組んで言い放った。

 

飛鳥「さあて、これで戸山さん達は私の事を信じてくれるかどうかの賭けが始まりますね」

日菜「皆信じてくれなくても、あたしは飛鳥くんの味方だからね!」

飛鳥「そうでないと困るんですけどね」

 飛鳥が冷徹に突っ込んだ。

 

飛鳥「皆オレを信じてくれるかなぁ。信じてくれなきゃ…」

日菜「バンドの評判堕ちるね」

飛鳥「そうですね」

「いや、待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て」

 と、香澄たちが現れた。

 

飛鳥「あ、皆さん」

香澄「ちゃんと信じてるよ!!」

紗夜「うちの妹が毎回すいません…」

日菜「いたたたたたた!! 痛いよおねーちゃん!!」

 紗夜が申し訳なさそうに頭を下げると、日菜の耳をつねった。

 

「が、ガールズバンドが勢ぞろい…」

「なんて神々しいんだ…!!」

飛鳥「さて、この中で私の事を信じてる人」

「はーい!」

 25人全員手を上げた。

 

飛鳥「よし!」

モカ「ちなみにあげなかったら?」

飛鳥「いや、ショックだなーって」

モカ「次の香澄ちゃんの夢の奴で、恥ずかしい事させられるかもね」

 信じるしかないだろ…と香澄たちは思った。

 

「ぜ、全員が相手じゃ分が悪い!!」

「だけど25人も美少女がいるなんて華やかすぎるだろ!!」

「写真撮らせてください!!」

 

 なんやかんやで男子生徒達は去っていった。

 

飛鳥「皆さん。お騒がせしました…」

香澄「いいんだよ。それは! 困ったときはお互い様でしょ!?」

 と、香澄が言い放つ。

 

たえ「お、主人公の貫禄を見せつけてるね」

有咲「そうだな」

香澄「よ、余計な事言わないでよ!! しかも有咲まで!!//////」

 たえと有咲の冷やかしに香澄は突っ込んだ。

 

彩「それはそうと一丈字くんと日菜ちゃんは何してたの?」

日菜「ちょっとどんなおうちに住んでるか見せて貰ってたんだよ!」

飛鳥「外だけですけどね」

 皆が驚いた。

 

有咲「け、結構いい所に住んでるんだなぁ…」

飛鳥「格安で借りれたので…」

香澄「これだけ学校に近かったら朝寝坊とかも出来るんだろうなー…」

有咲「…そこかよ」

香澄「ねえ! 今度遊びに行っていい!?」

飛鳥「あ、ごめんなさい。それはちょっと…」

日菜「中学の時に、ご近所さんと色々あったんだって」

香澄「そ、そっか…」

 香澄がしゅんとした。

 

香澄「あ、そうだ! さっき鍋とかどうとか言ってなかった!?」

飛鳥「あれは冗談のつもりだったんですけど…」

日菜「折角だからお鍋食べに行こうよー」

飛鳥「晩御飯どうするんですか…?」

紗夜「そうよ」

日菜「ちゃんとセーブするから。じゃ、またねー」

 と、日菜が飛鳥を連れていった。

 

彩「…日菜ちゃんって本当に自由よね」

千聖「ええ…」

 麻弥とイヴが苦笑いすると、紗夜が額を抑えた。

 

 

 

おしまい

 


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