オレはモブA。バンドリ学園に通うモブだ。見た目も成績もごく普通。しいて違う処を上げるとすれば、可愛い女の子が大好きだという事だ。
そしてオレは今街を歩いている。というのも、バンドリ学園のアイドルにして芸能人である『Pastel*Palettes』が近くで撮影をしていることもあって見に来たのだ。え? 学校でも見れるから別にいいんじゃないかって? 馬鹿だなぁ。学校での彼女たちも楽しんで、外の彼女たちも楽しむ。一粒で二度おいしい。そうだろう?
だけど、考えてることが同じ奴らが多いのか、パスパレが集まっているところにはもうすでにたくさんの人が…。お前ら暇なのかよ…!!
「日菜ちゃーん!!」
「千聖ちゃーん!!」
「麻弥ちゃーん!!」
「イヴちゃーん!!」
「丸山~!!!!」
男たちの気持ち悪い声援が響き渡り、スタッフが静かにしろと止めている。気のせいか彩ちゃんが「なんで私だけ呼び捨て!?」という顔をしているが、そういう顔をするのがいいからだ。
一番後ろになったが、オレもパスパレの撮影を見学することにした。やっぱり可愛い女子5人がいるのは絵になる。というかこの光景をいつまでも眺めていたいくらいだ…。
そしてほかの連中も同じで、なんか息が荒かったり、目が怖かったり、鼻息が荒かったり、股間を抑えていたりした。うん、こんな人間にならないように気を付けよう。
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暫くして休憩に入り、彩ちゃん達も一息ついた。そんなとき事件が起きた。
「あ、あいつは…!!」
そう、にっくき一丈字飛鳥がこちらに向かって近づいてきたのだ。奴も休みに町を歩いているだけなのかもしれないが、奴は少なくともオレ達より彩ちゃん達と仲が良い。もし彩ちゃん達とばったり会って、友達のように話なんかされたら、折角の楽しい気分が台無しだ。オレだけじゃない。ここにいる全員がそうだ。少なくともあいつにはこの場から去ってもらわなくてはならない。そう、オレがあいつの事を嫌いだからではなくて、皆の為に!
そしてオレは行動を起こすことにしたが…あいつがいなくなっていた。急にいなくなるものだから、一丈字なんて最初からいなかったんじゃという感じになっていた。も、もしかして一瞬の隙を払って彩ちゃん達の近くに!?
しかし、彩ちゃん達の方を見ても一丈字はおらず、寧ろ彩ちゃん達も何事もなかったかのようにロケバスの中に入っていった。オレが見たのは果たして幻だったのか…。
でもまあいい、これで心置きなく彩ちゃん達を楽しむことが出来る…。
そんなこんなで撮影終了までオレはパスパレの撮影を楽しんだ。やっぱり美少女はいい。美少女は正義。女の子はやっぱり綺麗で可愛くなければいけない。もしあんな子たちをオレの彼女にすることが出来たら…ふへへへへへ…。
彩ちゃんが挨拶をして帰っていくと、ギャラリーも解散していった。さあ、オレも帰ろう。今日は一丈字やほかの連中に邪魔されずにすんだし、とっても良い一日だっ!
オレの語りはここで終わる!
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モブの語りが終わり、パスパレは撮影を終えてロケバスの中にいた。
彩「なんで私の扱いだけ雑なんだろう…」
日菜「いーじゃん。一番美味しいところ持ってってるんだから」
彩「そ、そうかもしれないんだけどさ…」
千聖「でもまあ、面白かったわ」
彩「千聖ちゃんまで!」
自分以外の4人は「名前 + ちゃん」付けなのに、自分だけ名字で呼び捨てなのに納得がいかない丸山だった。
彩「ナレーションまで呼び捨てにしないで!!」
麻弥「ま、まあ…愛されてる証拠だと思いますよ?」
イヴ「ニンキモノです!!」
彩「そ、そうだといいなぁ…」
麻弥とイヴの言葉に彩が苦笑いすると、日菜が首を傾げた。
日菜「それはそうとさー」
千聖「どうしたの?」
日菜「なんでか知らないんだけど、飛鳥くんが近くを通ってた気がするんだよねー」
日菜の言葉に皆が反応した。
麻弥「あ、それ自分もそう思いました」
イヴ「ニンジャなのですか?」
彩「えっ、私気づかなかった…。千聖ちゃんは?」
千聖「……」
パスパレで唯一正体を知っている千聖だったが、特に慌てることもなく冷静だった。
千聖「気づいてたわよ」
彩「ええっ!!?」
日菜「どうしていなくなっちゃったのかなー」
千聖「私たちに気を使ったって言うのもだけど、日菜ちゃんが声をかける可能性があったからじゃない?」
日菜「えー。流石にそこまでしないよー」
千聖「…日ごろのあなたを見てるとやりそうな気がしたんじゃないかしら」
麻弥「アハハハ…」
こうしてパスパレも一日を終えたが…。
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その夜、千聖は飛鳥に電話をかけた。
千聖「で、実際のところどうなのかしら?」
飛鳥「千聖さんが考えている通りですよ。日菜さんがなんか退屈そうにしてましたし…」
千聖「ええ…。だから私も声をかけるんじゃないかって危惧してたのよ…」
今日行ったロケはいたって平和なものだったが、あまりにも時間が長すぎて日菜が飽きてしまっていたのだ。そんな中でいつも面白い事が起こりまくる飛鳥がいたら、興味がそっちに行ってしまう可能性があった為、飛鳥と千聖も危惧していた。
千聖「ところであなたは今日何してたの?」
飛鳥「買い出しですよ。日用品の」
千聖「そう…」
飛鳥の言葉に千聖の声のトーンが低くなった。
千聖「本当に?」
飛鳥「ええ、本当ですよ」
千聖が飛鳥を疑ったが、飛鳥は何事もなかったかのように返答した。
千聖「分かったわ。ごめんなさいね」
飛鳥「いえいえ」
千聖「それじゃ、また学校でね」
飛鳥「あ、はい。おやすみなさい」
そういって飛鳥と千聖が電話を切った。
飛鳥(…外国人に道を聞かれたけどね)
流ちょうに英語をしゃべって周りの人間が驚いていた時の事を思い出す飛鳥。
飛鳥(けど流石千聖さんだ。声のトーンの低さに気づかなかったら危うく引っかかる所だった)
千聖はカマをかけようと圧をかけたが、飛鳥はそれを見抜いて疑われないように返答をしたのだった。
飛鳥(明日ちょっと様子を見よう…)
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そんなこんなで翌日。
A「さーて、今日も学校頑張るぞー」
Aが登校してくるやいなや、飛鳥を見かけた。
A「一丈字…! そういえば昨日町にいたよな。何してたか聞いてみるか」
Aが飛鳥に聞こうとしたその時だった。
「飛鳥くーん!」
日菜がやってきて、Aが驚いた。
飛鳥「日菜先輩。おはようございます」
日菜「おはよー。そういえば昨日町にいたよね?」
飛鳥「あ、わかりました?」
日菜「そーだよ。いるならなんで撮影見てくれなかったの?」
飛鳥「トラブルが起こるからですかね…」
日菜の言葉に飛鳥が視線をそらしていた。
日菜「もー。別に気にすることないんだよ?」
飛鳥「日菜先輩が気にされなくても、見ている方々が気にされるんですよ。ところで何か御用ですか?」
日菜「今日の放課後空いてる?」
飛鳥「ええ、どうかされました?」
日菜「遊ぼ!」
飛鳥「え?」
日菜「いやね。飛鳥くんって本当にるんってするなと思って!」
飛鳥「意味が分からないです」
日菜の言葉に飛鳥が困惑した。
飛鳥「遊ぶって私と日菜先輩だけですか?」
日菜「ううん。パスパレの皆」
飛鳥「わあ」
A「な、なんだとー!!?」
日菜の言葉に皆が驚いた。
A「そ、そんなのゆるさーん!! オレだって昨日一丈字を町で見たんだ! オレも混ぜ」
Aが飛鳥と日菜に走って近づこうとしたその時、飛鳥と日菜がAに気づいた。
日菜「キャー!!!」
「!!」
日菜が悲鳴を上げて飛鳥に抱き着いたその時、日菜の親衛隊らしき男子生徒たちがAを運んで去っていった。
「オラァアアアアアアアア!!!」
「日菜ちゃんに手を出しやがって!!」
「覚悟はできてんだろうなぁ!!?」
A「ち、違うんだ!! 一丈字が日菜ちゃんを…」
「お前も手を出そうとしてたのは事実だろうがぁああああ!!!?」
A「あああああああああああああああああああああん!!!!」
嵐のように過ぎ去り、飛鳥は困惑しながら日菜を見た。
日菜「どう?」
飛鳥「いや、どうって言われても…」
ちなみに本当にその日はパスパレと遊んだ飛鳥だった。
おしまい