ある日の事。飛鳥と紗夜がとあるファーストフード店にいたが、飛鳥は困り顔で紗夜は頬を染めていた。
飛鳥「言いませんって」
紗夜「いや、念には念を入れてです/////」
というのも、飛鳥が学園を歩いていたら、一人で笑顔の練習をしていた紗夜を見かけて、こともあろうに、紗夜が客に対して愛想を振りまくイメージで、とびっきりの笑顔を見せたのだ。そしてその様子を飛鳥にばっちり見られてしまったのだ。
飛鳥(超能力で記憶を改ざんしようと思ったのに、紗夜先輩の意志が強すぎて効かなかったんだよなぁ…)
ある意味で紗夜に対して超能力関連の才能があると思った飛鳥だった。
飛鳥「私に発言力があるとでも?」
紗夜「念には念を入れてです!!/////」
飛鳥の言葉を紗夜は強引に突っぱねた。飛鳥はもうこれ以上は何も言うまいと、紗夜の好意を受け入れることにしたのだが、やっぱり問題は起こるもので…。
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翌日、紗夜とのハンバーガーショップデートが学園内に報じられた。
「一丈字てめぇ!!」
「紗夜ちゃんとハンバーガーショップに行ったってのは本当か!?」
飛鳥は紗夜ファンから問い詰められていた。
飛鳥「あなた方が考えているような関係ではございませんよ」
「うるさい!!」
「ただでさえ紗夜ちゃんと二人きりで食事をする事自体許されざる行為だというのに!!」
「恥を知れ!!」
完全に嫉妬しているのが目に見えていたので、飛鳥は困惑していた。
「それはそうと、紗夜ちゃんとどんな話をしてたんだ?」
飛鳥「それを聞いて怒られるのはあなた方ですよ」
「何だと!?」
「生意気な奴め!!」
飛鳥「女子のプライバシーに首を突っ込むと後が怖いですよ。それでは」
そう言って飛鳥が超能力を使ってスーッと消えると、男子生徒たちは飛鳥を探そうにも見つけることが出来なかった。
飛鳥(超能力が使えて良かったなぁ。こういう時って追いかけっこになるか、突然拉致されるもんなぁ…)
もしも超能力が使えず普通の人間だった場合の事を考えると思わずぞっとする飛鳥だった。そう、一度捕まると人数も多いし、そう簡単には帰してくれない。飛鳥としては無駄な努力をしていると考えていた。
飛鳥(何が一番怖いって、話を聞いてくれない事なんだよなぁ)
これからの身の振り方について色々考えなければいけないとも考えていた。
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「一体誰ですか!! こんなふざけた噂を流したのは!!」
当然この噂は紗夜の耳にも届いて、激怒していた。
燐子「そ、その…///」
彩「やっぱり違うんだ…」
紗夜「当たり前です! 確かに一丈字さんは良い人ですけど、そんな感情を持ってません!!」
千聖「…あの子も今頃苦労してるわね」
紗夜の言葉を聞いて、正体を知っている千聖は深くため息をつきながら飛鳥の身を案じた。
「紗夜ちゃん! 本当にあいつと付き合ってるわけじゃないよね!?」
「そうだよね!?」
そう言って男子生徒たちが紗夜に問い詰めるが、
紗夜「付き合ってるわけないでしょう!!」
そう言ってマジ切れすると、皆が黙った。
紗夜「黙って聞いてたら言いたい放題言って!! 少しは言われる側の立場になりなさいよ!!」
紗夜がそうキレるとそのまま教室を出て行ってしまった。
彩「紗夜ちゃん!!」
燐子「……!」
同じメンバーの燐子はまた昔の紗夜に戻ってしまったと、内心慌てていた。
千聖「ハァ…」
そんな様子を見て千聖はため息をついた。
「さ、紗夜ちゃ…」
千聖「やめなさい」
「!」
追いかけようとした男子生徒たちを千聖が止めた。
千聖「もう何もしないで頂戴。追いかけてもいい格好をしようとしてると思われるだけよ」
千聖の言葉に教室は静まり返った。
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その頃、1年3組の教室はというと、飛鳥はクラスメイト達に上手い事説明していた。
「大変だったね…」
飛鳥「いえいえ。私は大丈夫なんですけど、氷川先輩が…」
すると、飛鳥は紗夜の気配を感知した。
飛鳥(…まさか)
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始業のチャイムが鳴ったが、紗夜は教室に戻れずにいて、校舎裏にいた。
紗夜「…何よ。皆して」
紗夜は何もかも嫌になっていた。笑顔の練習をしていたのを飛鳥に見られたこと、飛鳥を口止めしようとハンバーガーショップに連れて行ったが、それが結果的に逆効果だった事。何もかも上手くいかない日々にも運のない自分自身にも嫌になっていた。
飛鳥とのうわさが関係された今、自分の学校生活がこれからどうなるのかも不安に感じ、教室に帰れずにいた。
紗夜「もういや…」
そう言って紗夜がしゃがみこもうとしたその時、
「あれぇ? こんな所に風紀委員がいるぞぉ?」
紗夜「!?」
どう考えてもガラの悪そうな男たちがやってきた。
紗夜(どうして私ばっかり…もうイヤ!!)
「本当だ」
「へへへへ…」
いかにも何かやらかしそうな雰囲気に、紗夜は絶望した。
「丁度いいや。オレ達とこのまま××しようぜェ!?」
ここでは記載できない卑猥な言葉をぶつけた。最近はヤンチャしてるように見せかけて、実は滅茶苦茶いい奴だったというパターンだったが、こいつらは典型的な悪党だった。
紗夜「い、いや…!!」
「おっとぉ!」
「逃がさないぜ!」
そう言って男子二人が紗夜を取り押さえた。
紗夜「た、助けて!! 助けてー!!1」
「無駄無駄。教室までは遠いんだ。誰も聞いてやしな…」
その時、大音量でサイレンが鳴った。
「!!?」
『緊急事態発生!! 緊急事態発生!! 校舎裏で女子生徒が襲われています!! 教職員は直ちに現場に急行してください!!』
というアナウンスが学園中に響き渡った。
「な、なんだこのアナウンスは!!」
「おい! 逃げるぞ!!」
「うわあああああああああああああああ!!!!」
こうして男子生徒たちは逃走すると、紗夜は唖然としていた。
飛鳥「……」
飛鳥は教室にいて目を閉じて、校舎裏の様子を感知していた。紗夜は無事に教職員に保護されているのも確認した。
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「…すみませんでした」
紗夜はちゃんと教室に帰り、クラスメイト達に迷惑をかけた事を謝った。
「こっちこそごめん…」
「紗夜ちゃんの気持ちを考えずに…」
男子生徒たちも今回ばかりは本当に反省して謝った。彩、千聖、花音、燐子も安心して見つめていた。
彩「ま、まあこれで無事に解決できて良かったね…」
千聖「でもまあ、まだ他のクラスの子たちがしつこいから、気を付けた方がいいわね?」
「オレ達が責任をもってくぎさしときます!」
「ですので安心してください!!」
千聖が女優オーラを出していう事を聞かせると、彩、燐子、花音が苦笑いした。
紗夜「白金さん達もすみませんでした。ご迷惑をおかけして…」
燐子「い、いいえ…」
紗夜が謝ると燐子が苦笑いした。
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放課後
飛鳥が気配を消して、紗夜の様子を見に2年1組の教室を覗き込んだ。笑顔は若干ぎこちないけど、クラスメイト達と和気藹々としているのを見て安心し、その場を後にした。
飛鳥(まあ、何だかんだ言っていつもの氷川先輩が一番素敵だって事だね)
おしまい