ある日のバンドリ学園。来週から定期テストが行われる事になった。
飛鳥(まあ、心配ないと思うけど…ちゃんとやっとくか)
飛鳥の中学時代の成績は中の中だが、本当は学年トップだった。何故本気出してないかというと、トラブルが絶えなかったからである。
飛鳥(出る杭は打たれるって奴ですね。本当に迷惑な話ですよ)
そしてどうなったかというと…。
「飛鳥く~ん」
飛鳥「?」
廊下を歩いていると、後ろからモカが話しかけてきた。蘭、巴、ひまり、つぐみもいた。
飛鳥「青葉さん」
モカ「来週のテストに向けて皆で勉強しようと思ってるんだけど~。飛鳥くんも来て~」
飛鳥「あ、来ないじゃなくてですか?」
飛鳥が困惑していた。
飛鳥「え、宜しいんですか?」
モカ「いいよー。飛鳥くんならー」
と、モカが飛鳥を連れていった。特に予定もないし別にいっかと思ったが、男子生徒達の嫉妬が凄かった。
飛鳥(相変わらず睨まれてるなぁ…)
モカ「相変わらず人気者だねぇ~」
飛鳥「…悪い意味でですけどね」
モカの冷やかしに飛鳥は困惑するしかなかった。
「あ、Afterglowが男子生徒を連れてるぞ…」
「ていうかまたあいつかよ!!」
「そんなに仲良いんだ…」
「ファンやめようかな…」
飛鳥「何かファンやめるとか言われてますよ」
モカ「大丈夫だよ~。音楽で勝負するから~」
飛鳥「ですよね」
モカの堂々とした発言に、飛鳥が苦笑いした。
モカ「飛鳥くんもそうするでしょ~?」
飛鳥「そうですね」
ひまり「な、何か二人とも男らしい…」
モカ「モカちゃんは女の子~」
そんなこんなで翌日、羽沢珈琲店でテスト勉強をする事になった。
ひまり「う~ん。分かんないなぁ~」
飛鳥「どうされました?」
ひまり「あ、一丈字くん。ここ分かんないんだけど…」
飛鳥「ああ、この問題ですか。これは…」
と、飛鳥は淡々と解説をした。そんな飛鳥を蘭・モカ・巴・つぐみの4人が驚いたように見つめていたが、飛鳥は気づかないふりをしていた。
飛鳥「…という訳です」
ひまり「分かった!! ありがとう一丈字くん!」
飛鳥「いえいえ。試しに数問程解いてみるのがいいかもしれませんね」
ひまり「うん!」
と、ひまりは再び問題集に目を通した。
蘭「一丈字…」
飛鳥「何ですか?」
飛鳥が蘭を見た。
蘭「え、もしかして勉強得意なの?」
飛鳥「自分じゃ分かりません」
モカ「じゃあこの問題分かる~?」
飛鳥「これですか?」
飛鳥がモカから見せられた問題を解いた。
飛鳥「どうですか?」
モカ「蘭。飛鳥くんめっちゃ得意だよ。さっきから見てたけど、数学とか完璧だもん」
飛鳥「まあ、数学ってパズルみたいなもんですからね」
飛鳥が苦笑いすると、モカ以外の4人が驚いていた。
飛鳥「…どうされました?」
モカ「それ、完全に頭がいい人の発言だよ」
飛鳥「えっ」
ひまり「苦手科目とかないの?」
飛鳥「古文ですね」
モカ「ひーちゃん。飛鳥くんの言葉を真に受けたらだめだよ。全部出来るけど、一番苦手意識あるのが古文って話だから」
飛鳥「買いかぶり過ぎじゃないですか?」
蘭「じゃあ、これ解いてみてよ」
飛鳥「……」
飛鳥が蘭の問題を解いた。
巴「…1問だけ間違ってるけど、後は全部正解だ」
飛鳥「ありゃ」
モカ「だからひーちゃん、頑張りなさい」
ひまり「うぅ~!!!」
ひまりが頭を抱えた。
蘭「…けど、そんなに頭良いのに前のテスト、トップじゃなかったじゃん」
飛鳥「上には上がいるんですよ」
トップに立つと、超能力者だとバレる可能性が高い為、ある程度セーブしていたのだ。
そんなこんなでAfterglowとの勉強会が終わったが、事件が起こった。
「はぁ!!?」
今度のテストの1位は好きなバンドガールズとデートできる権利が与えられた。
飛鳥「えー…」
モカ「まあ、これくらいやんなきゃ皆やる気出さないよね~」
ひまり「ちょっと待ってよ! 女子何のメリットもないじゃん!!」
飛鳥「女子もあるみたいですよ」
女子が1位の場合:食堂のお食事券10000円分。
蘭「何か割に合わない…」
巴「何か安さを感じる…」
飛鳥「しかもこれ学年ごとですよね」
モカ「2年生は日菜先輩がいるから心配ないけど、1年生は…」
モカ達が飛鳥を見た。
飛鳥「え?」
モカ「フラグ、立ったね」
蘭「頼むぞ」
巴「私達も出来るだけ頑張るから」
ひまり「お、お願いっ!!」
つぐみ「え、えっと…一丈字くんなら出来るよっ!!」
と、モカ達が肩を抱いた。
飛鳥(まあいいや。やったろ)
モカ(飛鳥くんのそういう所、本当に尊敬するな~)
飛鳥(心を読まないで)
仕方がないので、飛鳥はテスト勉強に励み、そのまま本番に励んでいた。テストは3日行われて、無事に終わった。
そして飛鳥は1位だった。
飛鳥「……」
しかし、完全に疲れ切った表情だった。
モカ「お疲れ様~」
蘭「ありがと。これで防止されたね」
飛鳥「あ、はい…」
しかし、話はこれで終わらず…。
「こうなったらヤケだ! 一丈字! 誰とデートしたいか選べ!!」
「ゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
と、飛鳥は選ぶことになった。
飛鳥「えーと、それじゃハロハピの弦巻さん」
飛鳥はあっさり答えると、皆が驚いた。
「弦巻さん!!?」
「嘘!!?」
皆が驚いていたが、こころは特に驚く様子もなかった。
蘭「あたし達じゃないんだ…」
モカ「しょうがないよ~。5人もいるし、こころちゃんと仲良いみたいだし~」
巴「そ、そうなのか…」
飛鳥「じゃあこの話は終わりで」
と、飛鳥は去っていった。
そしてどうなったかというと…。
巴「まあ、私達も無理させたから労わせてくれ」
と、飛鳥はAfterglowとラーメン屋で食事をしていた。
モカ「で、本当にデートするの?」
飛鳥「まあ、デートっていうよりかは、ただのお出かけになりますけどね。黒服さんがどうしても心配だっていう者ですから…」
モカ「だろうねー」
モカが笑った。
モカ「あ、そうだ飛鳥くんー」
飛鳥「何です?」
モカ「もしこの5人だったら誰とデートしたい~?」
飛鳥「あなたです」
飛鳥が真顔で言い放つと、モカがちょっと照れてしまった。
蘭「…意外と、はっきりしてるんだな」
飛鳥「選ばなかった方は申し訳ございません」
ひまり「あ、うん。それは別にいいんだけど…」
モカ「……」
モカは飛鳥を睨んだ。
飛鳥(ああ。こころを選んどいてそれはないだろって事か。分かるよ)
飛鳥は覚悟した。
モカ「飛鳥くん…」
飛鳥「何ですか?」
モカ「もうそういう所だよ~//」
飛鳥「…え?」
飛鳥の言葉に他の4人が苦笑いした。
モカ「モカちゃんだけ恥ずかしい目に逢ってるじゃん~。ずるいよ~」
飛鳥「そんなに照れないでくださいよ。こっちも恥ずかしいじゃないですか」
モカ「も~!! そういう事言わないの~!!!」
モカが憤慨した。
蘭「モカ。顔赤いよ?」
ひまり「うんうん。真っ赤~」
モカ「分かった~。このお店の隣にお化け屋敷あるから、終わったらそこ行こう~」
蘭・ひまり「ごめんなさい」
巴「ていうかいつから出来たんだよ!!」
モカ「ふっふっふ~。次回はお化け屋敷で蘭たちが大活躍…」
蘭「やめてぇ!!!」
ひまり「すいません!! 本当にすいません!!」
巴「やめてください!!!」
と、モカに平謝りする蘭・ひまり・巴を見て飛鳥とつぐみは苦笑いするしかなかった。
おしまい