全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第344話「座長はつらいよ(前編)」

 ガールズバンドを狙う悪質なファン『ヤラカシ』を排除する為に協力を要請され、広島から東京のバンドリ学園にやってきた一丈字飛鳥。

 

 だが、バンドリ学園にはとてつもなく強い格闘少女がいて、男子生徒たちは彼女ともお近づきになろうとしていた。

 

 飛鳥としては彼女の人柄から関わると面倒くさそうだと判断したので、関わらないでいるつもりだったが、彼女が所属する空手部の見学に行った弦巻こころが余計なことをしゃべってしまい、飛鳥は格闘少女と鉢合わせしてしまう。

 

***********************

 

「あなたが一丈字飛鳥くんね」

「あ、はい」

 

 カフェテリアで飛鳥と少女が鉢合わせし、周りには皆が反応した。こころと美咲もいる。

 

「弦巻さんから話は聞いてるわ。私と一戦お願いできるかしら」

飛鳥「お断りします」

 

 飛鳥は毅然とした態度で言い放った。

 

「逃げるの?」

飛鳥「ええ。逃げますよ」

 

 飛鳥が堂々と言い放つと、他の生徒たちが騒ぎ立てた。

 

「逃げるのか一丈字!」

「男らしくないぞ!」

「戦え!!」

「それでも主人公か!」

 

 そう騒ぎ立てると、飛鳥は冷たい視線を向けながらも、女子生徒を見つめた。

 

飛鳥「あなたが戦いたい理由は何ですか?」

「早い話、格闘家としてあなたに興味が沸いたの」

飛鳥「だったら猶更ですね」

「え?」

 

 飛鳥は静かに目を閉じ、女子生徒に背を向けた。

 

飛鳥「私は微塵も興味ありません。他をあたってください」

 

 そう言って飛鳥が歩き出そうとしたが、男子生徒たちが立ちふさがった。

 

飛鳥「そこまで戦ってほしいですか?」

「逃げるなんて許さねーぞ」

「戦え」

 

 飛鳥は一息ついて周りを見渡すと、誰も自分を助けてくれそうになかった。こころ達も自分が戦うものだと思っていたが、すっかり冷めてしまった。

 

美咲「こ、こころ。やっぱり無理やり戦わせるのはよしなよ。一丈字くん嫌がってるじゃん」

こころ「そうなの?」

 

 こころの言葉に飛鳥は困惑した。

 

こころ「飛鳥は強いからその子と戦うものだと思ってたけど…」

飛鳥「戦いませんよ」

こころ「どうして?」

「私じゃ相手にならないからかしら?」

 

 そう言うと、飛鳥は女子生徒の方を見た。

 

飛鳥「いいえ。自分の力を誇示しようとしているからですね」

「誇示?」

飛鳥「そういうのいつか痛い目にあいますし、いくら格闘技とはいえ、男が女性に手を上げるなんて、男からしてみたらあまり宜しくない事ばっかりなんですよ」

 

 飛鳥がげんなりした表情で女子生徒にそう言うが、

 

「女だと思って甘く見る方こそ痛い目に合うんじゃないかしら?」

飛鳥「あと、結構人の話聞かないですよね」

 

 飛鳥の言葉に美咲は嫌という程同情した。

 

飛鳥「まあ、そこまで言うなら相手してもいいですけど…」

「やっと勝負する気になったわね」

飛鳥「でももしかしたら、ここにいられなくなるかもしれないから…」

「その心配はないわ。私が…」

飛鳥「次回は冗談抜きで奥沢さんと市ケ谷さんに頑張って貰いましょう」

美咲「いや、待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!」

有咲「いちいちアタシと奥沢さんを巻き込むのやめろぉ!!!」

 

 美咲が出てきたし、有咲も画面の外から出てきた。

 

「そうだぞ一丈字!!」

「男らしくないぞ!」

「ていうかなんでこんな奴が主人公なの!?」

「もうお前いい加減にしろよ!!」

 

 とまあ、男子生徒たちもブーイングをしたが、飛鳥は変わらなかった。

 

飛鳥「もう昔からこんな感じなんですよ。全部私のせいにされるんです」

有咲・美咲「……」

 

 飛鳥の言葉に有咲と美咲は困惑したし、女子生徒も流石に状況を把握したのか、態度を改めた。

 

「分かったわ」

「!」

女子生徒「あなたが相当苦労してるってわかったし、今は退いてあげるわ」

飛鳥「感謝します」

女子生徒「けど、諦めた訳じゃないから」

 

 そう言って女子生徒は去っていった。

 

飛鳥「ふぅ…」

 

 飛鳥が一息ついたが、皆冷めた目で飛鳥を見ていたが、本当に気にしなかった。

 

飛鳥「あ、それでは私はこれで失礼しますね」

 

 そう言って飛鳥は去っていき、超能力を使って悟られないようにした。

 

「何だよあいつ…」

「白けるな」

 

 男子生徒たちは冗談抜きで飛鳥を軽蔑していたが、飛鳥としては「じゃあお前がやってみせろ」と言うだろう。

 

**********************

 

美咲「本当にごめんね一丈字くん…」

飛鳥「いえ、弦巻さんの事はもう分かってるので…」

 

 飛鳥は一人で中庭のベンチに座っていたが、美咲・こころ、有咲が追いかけてきた。

 

美咲「こころ!」

こころ「飛鳥。どうしてあなたは戦おうとしないのかしら?」

有咲「いや、そうじゃなくて…」

 

 本当に理解できていないこころに有咲と美咲は呆れかえっていた。

 

飛鳥「弦巻さん。別に戦う事自体はしても良いんですよ」

こころ「そうでしょ?」

飛鳥「とはいえ奥沢さん」

美咲「はい?」

 

 突然自分の名前を呼んだので、美咲が反応した。

 

飛鳥「いくら試合とはいえ、女をボコボコにする男ってどう思います?」

美咲「……」

 

 飛鳥の言葉に美咲は嫌という程理解できた。

 

飛鳥「戦いに勝っても、皆からぼろくそ言われますよ。女相手に本気でやるなだの、手加減してあげればいいのにだの。こっちは何一ついい事なんてないんですよ」

 

 しかもおまけにあの変態たちの相手もいけない。そんな飛鳥の苦労の多さに美咲と有咲は涙した。

 

こころ「良い事がないなんて事はないと思うわ?」

飛鳥「せめてね。私があの人をコテンパンにやっつけても、一人だけでも味方してくれる人がいるだけでいいんですよ」

こころ「何言ってるのかしら? あたしは味方よ?」

 

 こころは普通に言い放ったが、美咲としてはトラブル起こしたのお前だからここまで困ってるんだろと突っ込みたかった。

 

飛鳥「ありがとう。でもその味方に窮地に追いやられてるのはなんでだろう?」

美咲「ですよね!!」

有咲「一丈字。アタシ達が味方になるから。あと、出来れば代役は勘弁してください」

 

 そんなこんなで美咲と有咲に励まされて、飛鳥はとりあえず元気になった。

 

 

つづく

 

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