私の名前は一丈字飛鳥。バンドリ学園に通う高校1年生ですが…。
「おい、陰キャくん」
いきなり失礼な人が現れました。この人は確かサッカー部のエースですね。昼休憩、私とモカと千聖さん、こころの4人で中庭のベンチで食事をしていると、いきなり現れました。
飛鳥「陰キャって私の事ですか?」
「そうだよ。オメー以外に誰がいるってんだよ」
モカ「あたし」
千聖「あら。てっきり私かと思ったわ?」
サッカー部のエース・DQNさんの言葉にモカと千聖さんが反応した。2人ともノリ良すぎだろ…。
こころ「陰キャって何かしら?」
DQN「陰キャっていうのは、暗くてうじうじしてダセー奴の事だよ!」
こころ「あら? 飛鳥は暗くないわよ?」
モカ「それにうじうじしてないし」
千聖「ダサいのはあなたよ。少しばかり顔がいいからって、思い上がってるんじゃないかしら」
千聖さんの口撃は相変わらず凄い。そしてDQNさんは言われたことに歯ぎしりしながらも、退こうとしない。
DQN「お、おい。それはそうとモブの一丈字くん」
飛鳥「あ、はい。何でしょう」
DQN「女子三人に囲まれるべきはお前じゃない。陽キャでイケメンであるオレなんだ」
飛鳥「はははは…」
私は思わず笑ってしまった。今まで遠くから嫉妬とか、言いがかりをつけられる事はあったが、自分の事をここまで良く言いながらいちゃもんをつける人は初めてだったからだ。
DQN「は? 何笑ってんの?」
飛鳥「いや、そこまで自分の事をイケメンだなんてそんな…」
千聖「ホント、勘違いもいいところね」
モカ「ちょっと自意識過剰が過ぎるんじゃないかな~」
こころ「なんだかよくわかんないけど、あたし達は普通にお昼ご飯を食べてただけよ?」
こころだけ状況が分かっていないが、モカや千聖さんがいるので、話を進めることにする。案の定DQNさんは全然諦めない。まあ、引き下がれませんもんね。
DQN「と、とにかく一丈字。お前は千聖ちゃん達を置いてどっかいけ。今ならまだ許してやるぞ?」
飛鳥「って言ってますけど」
モカ「え~」
千聖「あなたがどっか行きなさいよ」
こころ「なんだかよく分からないけど、あなたを見てるとなんだかすごくモヤモヤするわ?」
こころは無意識に嫌な気持ちになっていた。
DQN「お前がどこかに行けばいいだけの話だろ! どうして分からない!!」
飛鳥「そういえば…」
DQN「うるせぇな! てめぇはさっさとどっか行けばいいんだよ!」
モカ「じゃあ、4人でどっか行こ」
千聖「そうね。バカが移るわ」
こころ「とても楽しい事が思いつかないわ…? どうしてかしら…」
そう言って4人が移動しようとすると、DQNが追いかけてきた。
DQN「なあ、同じこと何回も言わせるなよ。一丈字がどこか行けばいいんだ」
飛鳥「じゃあ、こっちに行きますね?」
飛鳥がそう言って逆の方向に走ると、モカと千聖も飛鳥を追いかけ、こころも後を追いかけた。
こころ「追いかけっこかしら!?」
DQN「お前さては千聖ちゃん達を脅迫したんだな!?」
飛鳥「脅迫できると思いますか?」
モカ「ていうかさ、さっきから飛鳥くんばっかりに文句言ってるけど、アタシ達に文句言えばいいじゃん。アタシ達が飛鳥くんを追いかけてるのに」
DQN「一丈字に言わされてるんだろ!?」
千聖「は? 私の事なんだと思ってるの?」
DQNの言葉に千聖が迫真の演技で切れた。
飛鳥(演技ではないだろ…)
モカ(ガチギレじゃん…)
DQN「と、とにかく君たちに一丈字はふさわしくない!」
千聖「相応しくないかどうかは私たちが決めるから」
モカ「ていうかいい加減しつこいよ~?」
こころ「あなたのせいで折角のお昼御飯が台無しだわ!?」
こころがそう言うと、飛鳥はもうDQNは完全に終わったと思った。実際に黒服たちがDQNに対してこれでもかという程マジ切れしていた。
飛鳥(…ていうか、本当にオレおらんでも黒服さん達だけでいいんじゃないかな)
ちなみに飛鳥はテレパシーで、もうちょっと待ってもらうように指示を出していた。
DQN「というかお前も辞退しろよ! お前のような陰キャが千聖ちゃん達に釣り合うと思ってんのか!!?」
DQNが飛鳥の胸ぐらをつかんで叫んだが、飛鳥が困惑した。
飛鳥「釣り合ってるかどうかはともかく、サッカー部のエースでイケメンと呼ばれてる方がこんな事していいんですか?」
DQN「うるせぇ! てめぇの話は聞かねぇって言ってんだろ!!」
そう言ってDQNが飛鳥を殴りかかったが、飛鳥が拳を受け止めた。
DQN「!」
飛鳥「やってしまいましたね」
飛鳥が冷たい視線を浴びせると、黒服たちが証拠のデータを学園に流した。
飛鳥「あなたが私の話を聞いてくれないのなら、私もあなたの話を聞く筋合いはありません」
DQN「てめぇ…! 陰キャの分際で舐めた口きいてんじゃねーぞ!!」
こころ「飛鳥に乱暴しないで頂戴!」
飛鳥「大丈夫」
「!?」
飛鳥がこころを見つめた。
飛鳥「乱暴のうちに入らないから」
DQN「……!」
飛鳥の言葉にDQNが憤った。
DQN「カッコつけてんじゃねぇよ…!!」
飛鳥「……!!」
飛鳥は一瞬の隙をついて、DQNに関節技を仕掛けて、そのまま地面に伏せた。
DQN「いてぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」
モカ・千聖「!!」
飛鳥「あんたの負けだ。大人しくしときなさいね」
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その後、DQNは仲間たちの元に引き渡されたが…。
DQN「一丈字が千聖ちゃん達に手を出そうとしたんだ!!」
「手を出そうとしたのはお前だろ!!」
「もうお前のいう事なんか信じないよ」
DQNが必死に飛鳥に罪を擦り付けようとしたが、サッカー部の仲間が冷たくあしらった。
「仮に言ってる事が本当だとしても、お前の味方をする奴はいないよ」
DQN「何だと!!?」
「もうお前のワンマンプレーにはうんざりなんだよ! お前がキャプテンになってから無理難題押し付けて、チームの雰囲気は悪くなるし、お前が暴力振るったせいでやめた奴も出てくるし、マネージャーも気に入ってる奴とそうじゃない奴とで、扱い変えるからマネージャー達の仲が悪くなるし! お前の尻ぬぐいするのはもううんざりだ!」
DQN「うるせぇ!! 実力がねーんだからそれくらいやれ!! 今までさんざんオレ頼って、オレがいなきゃ大差でボロ負けした癖に! いきがってんじゃねーぞ!」
とまあ、DQNはもう完全に本性をむき出しにしてサッカー部と揉めており、それを飛鳥達が見つめていた。
千聖「…救えないわね」
飛鳥「こうなってくると、彼だけじゃなくて周りも甘やかしていたのも問題ですね…」
モカ「そうだね」
飛鳥、千聖、モカはサッカー部の姿を見て、何とも言えない気持ちになり、その場を後にした。
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河川敷
こころ「なんか今日は楽しくなかったわ」
4人で黄昏ていた。
飛鳥「これが庶民の生活だよ。楽しい事ばかりじゃない、自分に持ってないものを羨んでは嫉妬して、つまんない喧嘩ばっかりしてるんだぜ」
モカ「努力をすることの大事さが良く分かった一日だよ~」
千聖「…そうね」
モカや千聖の言葉に飛鳥は正面を向いた。
飛鳥「明日もどこかでまた争いがあるだろう」
こころ「そんなの嫌だわ!?」
飛鳥「オレも同じ気持ちだよ。だから少しでも争いがなくなるように一人一人が前を向いて頑張らなきゃいけないんだ。人生ってのはその繰り返しなんだと思う」
千聖「完全に達観してるわね…」
モカ「15歳だよね?」
飛鳥「15年だけど、それでもオレは色々あったよ…」
そう飛鳥達が話していると、こころはとても難しそうな顔をしていた。
飛鳥「まあ、こころがもう難しそうにしてるから、そろそろ楽しい事でもやって、解散しようか」
こころ「楽しい事!? どんな事するの!?」
飛鳥「……」
焼肉屋
飛鳥「たまには思い切り羽目を外して焼肉」
モカ「豪勢~」
千聖「誰が持つの?」
飛鳥「私が連れまわしてるので、私が持ちます」
飛鳥達は思い切って焼き肉屋で打ち上げをした。
こころ「お肉を食べることは楽しい事なのかしら?」
飛鳥「美味いものを食べて、自分の気持ちを吐き出して、すっきりさせる。これが庶民特有の楽しい事さ…」
そんなこんなで本当に焼き肉を楽しんだという。
飛鳥「あ、すいません。この列1つずつください」
千聖「よ、良く食べるわね…」
こころ「全部頼みましょう?」
飛鳥「全部はやりすぎ」
おしまい