仕事で幾度もAfterglowを救出した飛鳥。だが、彼は礼を受け取る事は一切なかった。
飛鳥「今だから言うけど、正体バレやすくなるし、女の子に見返るのはあまり宜しくないからね…」
モカ「今となっては分かるよ~」
今回はそんな一丈字飛鳥とAfterglowの攻防戦である。ちなみにモカは面白がっている。
飛鳥「日菜先輩といい、君といい、本当に度胸あるわ…」
モカ「君も大概だよ~」
飛鳥「そうだね…」
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ある日の事だった。チャラい男性バンドグループに絡まれていたAfterglowを救出した飛鳥。まあ、ライブやってる途中で「女がバンドをやるなんて生意気だ」といちゃもんをつけてきて、強姦しようとした為、飛鳥が超能力で退散させたのだ。まあ、超能力を使わなくても止められるのだが、飛鳥が強すぎる為警察沙汰不可避である為だった。
飛鳥はいつも通りそのまま事を済ませる予定だったが…。
蘭「……」
飛鳥「……」
後日、学校にくるや否や、飛鳥は蘭を筆頭にAfterglowに話しかけられた。
飛鳥「あ、美竹さん。おはようございます」
蘭「おはよう」
飛鳥「何か御用ですか?」
蘭「いや、その…」
モカ「色々助けられたから、やっぱりお礼させてくれって~」
モカが蘭の後ろから話しかけると、飛鳥は困惑した。
飛鳥「あ、それでしたら一つお願いしたい事が…」
巴「変な質問とかはなしだぞ」
飛鳥「ちょっと両替してくれませんか? 今1万円札しか持ってなくて…」
空気が止まった。
モカ「…そう来たか」
蘭「食堂に両替機あるから。それ以外で」
飛鳥「じゃあ美竹さん」
蘭「な、なに…」
飛鳥「グリンピース食べてください」
蘭「…それ以外で」
ちなみに蘭の嫌いな食べ物はグリンピースである。
モカ「それならしょうがないか~」
蘭「いや、モカァ!!!」
飛鳥「じゃ、それで宜しくお願いしま…」
蘭「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て」
蘭が止めた。
巴「蘭。口調がおかしくなってるぞ」
蘭「ほっといて!」
巴の言葉に思わずツッコミを入れた。
つぐみ「あの、5人でお礼をさせて?」
飛鳥「それが一番問題なんですよ」
つぐみ「え?」
蘭「何が不満なの?」
飛鳥「周りをご覧ください」
と、周りを見渡すとファンと思わしき男子生徒達が衝撃を受けていた。
モカ「あー。多分5人でエッチなお礼をしようと思ってるね~」
蘭「な、何でそうなるの!?//////」
モカ「だってモカちゃん達幼馴染だし、何をやるにしても5人一緒だし~。それに男の子のお礼って言ったらやる事大体決まって来るよね~」
飛鳥「美竹さん」
蘭「な、なに?」
飛鳥「学園の平和のためにも、もう忘れてください」
「学園の平和!!?」
飛鳥「気にする事なんてありませんよ。私は至って当然の事をしたまでですから」
モカ「あそこで見捨てたら、評判も下がっちゃうしね~」
飛鳥「それも込みですね」
モカが飛鳥の話に合わせようとするが、他の4人は不満そうにしていた。
飛鳥(めっちゃ不満そう)
巴「そういう訳にはいかない」
蘭「それであたし達が納得すると思ってんの?」
ひまり「いや、上から目線になっちゃダメでしょ! 気持ちは分かるけど…」
巴と蘭が飛鳥ににらみを利かせると、ひまりが突っ込んだ。
モカ「じゃあ蘭と巴は飛鳥くんにチューしてあげたら?」
空気が止まった。
蘭「出来るかっ!!//////」
巴「いや、流石にそれは…/////」
蘭「そ、それだったらモカは出来るの!?////」
モカ「出来るよ?」
空気が止まった。
モカ「だって何回も助けて貰ってるし~。それくらいはいいかな~って」
飛鳥「本当に肝据わってますね…」
モカのメンタルの強さに飛鳥が困惑した。
モカ「それに湊さんが先にやってたらどうするの~?」
蘭「……」
飛鳥「美竹さん。真剣に悩まないで」
その時だった。
「ダメだぁー!!!!」
と、お約束のごとくファン軍団が現れた。
モカ「やっぱり来ちゃった~」
飛鳥「当然の結果です」
「モ、モカちゃん!! キスなんて早まったらダメだ!!」
「そうだ!! こいつは至って当然の結果をしたまでだ!!」
モカ「でも貴方達が飛鳥くんの立場だったら、して貰うんでしょ?」
「そ、そんな事は…」
モカ「だって顔に書いてあるもん。キッパリ断らずに黙ってそういう流れに持ち込もうとしてるのが」
空気が止まった。
モカ「それに、こーんな可愛い女の子からチューされたら、流石の飛鳥くんも顔真っ赤にするんじゃないかなーって」
飛鳥「……」
「おい、そいつさせようとしてるぞ!!」
「そうはいくか!!!」
飛鳥「青葉さん」
モカ「なーに?」
飛鳥「もうすぐチャイムが鳴りますよ」
「空気読めや!!!」
「お前、本当にそういう所だぞ!!」
飛鳥「いやあ、私としましては美竹さん達が無事ならそれでいいんですよ。冗談抜きで」
飛鳥が腕を組んだ。
モカ「どうして?」
飛鳥「どうしてって…人助けに見返りを求めるものじゃないんですよ。それも異性に」
「!!」
飛鳥「お気持ちだけで十分ですし、美竹さん達程の方となったら影響力も大きいです。頂点を目指すんでしょう?」
モカ「それは勿論~」
飛鳥「それなら、こんな男に構ってる暇はございませんよ。前を向いて歩いて行かないと」
巴「恩をちゃんと果たさないのに、頂点なんて立てないよ」
「!!」
巴が言い放った。
巴「あんただってそうだろう。一丈字」
飛鳥「……」
飛鳥が目を閉じた。
モカ「じゃあトモちんは何するの?」
巴「そ、それは…」
蘭「いや、ここはあたし達らしく…」
蘭がライブをしようと言いかけた次の瞬間だった。
「どうしたの?」
と、あこ以外のRoseliaがやってきた。
飛鳥「湊先輩…」
蘭「……!」
リサ「ケンカ?」
モカ「違うんですよ~。かくかくしかじか~」
モカが事情を説明した。
モカ「で、ライブをやろうと思ってるんですよ~」
リサ「Afterglowらしいわね」
だが…。
友希那「普通ね」
と、友希那が余計な事を言ってしまい、蘭が青筋を立てた。
蘭「ど、どういう意味ですかそれ…」
リサ「え、えっと…。友希那的には褒め言葉よ! バンドガールとしてバンドでお礼をするのは一般的な意味であって…」
その時だった。
「あれー? 皆何してるのー?」
と、日菜もやってきた。
紗夜「ひ、日菜!!」
燐子「!!」
紗夜と燐子は青ざめた。こいつ絶対余計な事喋ると。
モカ「かくかくしかじか~」
日菜「ああ。そういやおねーちゃん達、此間飛鳥くんをご飯に連れていったよね!」
空気が止まった。
燐子「」
紗夜「日菜ぁ!!! もうあんたって子はぁ!!!」
日菜「いたたたたたたたた!!! いたいいたい!! ごめんなさ~い!!!」
すっかり口調がおかしくなった紗夜は日菜の両耳をつねった。
蘭「……」
ここで蘭は友希那の「普通ね」という言葉の意味を理解した。
友希那(蘭の妄想)『普通ね。ライブ? やっぱりAfterglowはそういう事しか出来ないのかしら。私達はちゃんと食事をご馳走したのに、やっぱりその辺はまだまだね。でも気にする事ないわ。私達の方が年上だし、ま、これからちゃんと勉強するのね。オーッホッホッホッホッホwwwwwwwwwwwwwww』
そう、友希那は見下していると思い込んだ。ちなみに食事に誘おうと言いだしたのはリサであるが、リサは紗夜、燐子と共に青ざめていた。ちなみに友希那の心情としてはどっちも正解である。
友希那(恩をバンドで返すところまでは良かったけど、食事まで行った私達の方が一枚上手だったようね)
リサ(友希那お願いだからこれ以上はやめて!!!)
友希那が心の中でマウントを取っていると、リサが心の中でツッコミを入れた。
飛鳥「上原さん、宇田川さん、羽沢さん、青葉さん。今お礼が思いつきました」
巴「な、なんだ?」
ひまり「まさか…」
飛鳥「美竹さんを止めてくださ」
蘭「一丈字」
飛鳥「な、なんです?」
飛鳥が蘭を見ると、蘭が頬を染めた。
蘭「そ、その…だ、誰もいない所で…いい…?/////」モジモジ
飛鳥「早く止めてください」
巴「わ、分かった!!」
ひまり「蘭! 落ち着いて!!」
モカ「全員でチューする?」
つぐみ「モ、モカちゃん!!!//////」
蘭「離して!! 離せー!!!!」
と、蘭はモカ達に取り押さえられて去っていった。
飛鳥「…はぁ」
蘭の負けず嫌いと、友希那の言葉足らずには困ったものだと飛鳥は思った。
おしまい