日菜の裏工作により、急遽掃除する場所とメンバーを変えられてしまった飛鳥。果たして運命や如何に!!
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全校校内清掃・当日
飛鳥「確か場所ここだったよな…」
当日になって教師から場所とメンバーの交代を言い渡された飛鳥は嫌な予感がしていた。というか嫌な予感がしなかった。
飛鳥(正体がバレかけているとしか思えないな…。変えた本人が日菜先輩という事は…)
バンドリ学園が誇る才能マンならぬ才能ガール・氷川日菜の存在が飛鳥に緊張感を走らせた。
飛鳥(日菜先輩は自然に話しかけてるように見えて、結構こっちの動向を探る傾向があるからな…。よし)
こうして飛鳥は日菜たちと合流した。
日菜「あ! 来た来た! 飛鳥くーん!!」
飛鳥が集合場所に来ると、すでに全員来ていた。
飛鳥「お待たせしました…」
リサ「ごめんねー。話は聞いてた? 日菜がどうしても飛鳥くんとペアを組みたいって言うもんだから…」
飛鳥の不服そうな表情を見て、リサは苦笑いしながら謝ってフォローを入れた。
飛鳥「というか、一生徒の言葉で変えられるものなのですか…?」
日菜「先生に直接おねだりしたら、上手くいったよー?」
飛鳥「なんかそれはそれで学園の危機が訪れそうな気もするのですが」
麻弥「ごめんなさい。もうさせませんので…」
日菜が男性教諭におねだりして、班を無理やり変えさせたのだ。まあ、陽キャ軍団が私利私欲で班決めをしていて、日菜たちも一応被害者という立場にある為、こうなっても陽キャ軍団への制裁にしかならなかったのだ。
薫「子犬くんと掃除が出来て嬉しいよ…」
飛鳥「子犬くん…」
薫の発言に飛鳥が困惑したが、脳裏に千聖の言葉が思い浮かんだ。
千聖『あまりにも変な事言ってたら『かおちゃん』って呼んでみて頂戴。許可するわ』
飛鳥「…あ、はい。光栄です」
薫「ちょっと待ちたまえ。千聖に何か言われただろう」
飛鳥「いえ、それよりもはやく掃除を始めましょう」
飛鳥は思いっきり掃除を進めようとしたので、日菜がすかさず話しかけた。
日菜「そういえば飛鳥くんって、千聖ちゃんと随分仲良くなったよね」
飛鳥「え、ええ…。お陰様で…」
日菜「どうしてそんなに仲良くなれたの?」
飛鳥「仲良くなれたのかどうかは分かりませんが…」
飛鳥が考えると、日菜たちが飛鳥をじっと見つめていた。
飛鳥「少なくとも松原先輩がかかわってる事は確かですね」
日菜「花音ちゃん?」
飛鳥「ええ。ずっと前に松原先輩の私物が盗まれたじゃないですか」
リサ「あー…そういやそんな事あったねぇ」
飛鳥「で、私が危うく犯人にされかけて、真犯人を見つけ出して私物も松原先輩に返したんですね。その時にちょっと話したことは覚えてます」
日菜「どんな話?」
飛鳥「あの事件が起きる前から、色々敵を作ってるというお話です」
飛鳥が笑いながら話をすると、日菜と薫以外は沈んでいた。
麻弥「…本当にご苦労様です」
飛鳥「いえいえ」
そんなこんなで掃除を進めることになった一同。担当場所はグラウンドの横の森林エリアである…。茂みが伸び放題になっている所だが…。
リサ「そういやあそこ、あの井戸がある場所じゃ…」
飛鳥「井戸?」
リサ「うん。飛鳥くんは転校してきたから知らないと思うけど、あそこの井戸はバンドリ学園の七不思議と言われてて、覗き込むと引きずり込まれるって噂があるの…」
飛鳥「そうなんですね」
リサの言葉に飛鳥が普通に返事をすると、日菜たちは飛鳥の事を怪しいと思っていた。
日菜(やっぱり。怖がるか、明るく振舞うかの2択なのに、そういうリアクションする人ってあまりいないよ…)
麻弥(なんか…慣れてる感ありますよね…)
飛鳥「……」
飛鳥は日菜たちの視線を感じて、彼女たちが何を考えているのか手に取るように理解した。
飛鳥(普通そこまで考える人っていないと思うけどなぁ…)
自分の事を完全に疑っているからなのか、疑心暗鬼になる日菜たちを見て飛鳥は困り果てていた。
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そして森林エリアでの掃除が始まったが、飛鳥はてきぱきと仕事をやっていたが、仕事のスピードがあまりにも早く、麻弥たちが驚きを隠せなかった。
麻弥(は、早い…!!)
蘭(儚い…)
リサ(か、考えれば考えるほど分からない…。飛鳥くんって本当に何者なの…?)
そして飛鳥は一通り仕事を終える。
飛鳥「大和先輩。こちらの掃除は片付きました」
麻弥「あ、ありがとうございます! にしても…だいぶ早いですねぇ…」
飛鳥「昔からこういう事はやってきたもので」
飛鳥がそう言い放つと、余計に怪しんでいた。
飛鳥(あー…こりゃ完全に怪しんでるな。どっかで改ざんでもするか)
そう考えた飛鳥は隙を見て記憶を改ざんすることを決意した。
リサ「ま、まあ! 終わった事だし早く草持っていこう!」
蘭「そうしましょう!」
リサと蘭が何やら急ごうとしていた。
日菜「もー。2人ともそんなに怖がらなくていいのにー」
麻弥「まあ、この辺は日があたりませんからねー」
リサ「そ、それもそうだけど、やっぱり井戸が不気味で…」
薫「全く、なんて罪づくりな井戸なんだ。ハハハハ」
薫が一番井戸から離れていて、今度は薫に視線が集まった。
薫「ど…どうしたのかな?」
麻弥「いや、美竹さんとリサさんは分かったのですが、どうして薫さんもそんなに離れてるんですか?」
日菜「あ、分かったー。さては薫くんもお化け怖いんでしょー」
薫「何を言っているんだ日菜。私は2人が怯えないように傍にいただけの事さ…」
薫がふっと笑ったが内心は怖がっていた。というか超ビビりである。すると飛鳥は普通に井戸を覗き込んだ。
リサ「ちょ、飛鳥くん!!?」
飛鳥「何もないですよ。懐中電灯をつけて中の様子も探ってみましたが、何も…」
その時、飛鳥は何かを感知した。
リサ「何も…なに!?」
蘭「途中で会話止めるのやめて!!」
薫「な、なにがあったんだ!?」
そう言ってリサ達が慌てていると、日菜は確信した。飛鳥はやはりただ者ではないと。
麻弥「ど、どうされたんですか!?」
飛鳥「…いや、なんかメモ帳みたいなのが落ちてました」
「メモ帳?」
飛鳥「ちょっと取りに行ってきますね」
そう言って飛鳥が井戸の中に入っていった。
リサ「飛鳥くん!!」
麻弥「危ないっすよ!!!」
日菜「……」
そして飛鳥がメモ帳を取り、上に上がろうとしたが、井戸の中から飛鳥の手だけ出てきた状態になってしまい…。
リサ・蘭「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
リサと蘭が絶叫してそのまま逃げだしてしまった。
薫「ま、待ちたまえ!! 待ちたまえよ!!」
薫もどさくさに紛れて逃げ出した。
飛鳥「…瀬田先輩いますか?」
麻弥「逃げちゃいましたね…」
飛鳥「そうですか…。練習用のノートがここに落ちてたので、後で渡して貰っていいですか…」
麻弥「わ、分かりました…」
日菜は飛鳥の事をじーっと見つめていた。
飛鳥「それはそうと早くここを出ましょう。何もありませんでした…」
日菜「う、うん…」
こうして3人もその場を移動したが、報告しに行くときに日菜と麻弥が前になったので飛鳥は後ろから超能力を仕掛けて、正体に気づきかけた事に関する記憶を改ざんした。
飛鳥(危ないところだった…)
だが、ここからが問題だという事に、まだ誰も知る由がなかった…。
つづく