それはある夏の事だった。
「あっつーい…」
上原ひまりが自分の教室で手をうちわのように仰いでいた。蘭、モカ、巴、つぐみも同じ状態だった。
つぐみ「エアコンが今日に限って緊急メンテナンスだなんて…」
モカ「溶けてアイスになっちゃうー」
蘭「いや、意味が分かんないから…」
とにかく暑さに参っていた。
ひまり「こんな時はプールとかに行きたいねー」
ひまりの言葉に他の男子生徒たちが反応した。そして耳をダンボのように大きくしている。
モカ「いいねー」
蘭「いや、練習どうするの」
モカ「練習は平日にやってるんだからさ~」
と、その時だった。
「え? 何? クラスの皆でプール行く流れ?」
「マジ! オレも行く!」
男子たちがあたかもごく自然の流れでAfterglowとプールに行こうとしていたが、その光景を見てAfterglowが困惑した。
モカ「…やっぱり練習しよっか」
巴・ひまり・蘭「異議なし」
「待て待て待て待て待て待て」
モカたちの言葉に男子たちが待ったをかけた。
「折角なんだから行こうよ!」
「そうだよ!」
そう言って男子たちがさわやかな笑顔で話しかけるが、下心満載だった。分かりやすいくらい下心丸出しだった。
モカ「いやー…プールに行くって、Afterglowのメンバー内だけだよ?」
蘭「空気読んでほしいんだけど」
「いや、確かにそれは申し訳ないと思うけどさ!」
「たまにはクラスみんなで…」
その時だった。
「青葉さん」
「!」
飛鳥が現れた。飛鳥が現れるなり男子生徒たちは不機嫌になり、Afterglowは助かったと言わんばかりの表情になった。
「ああ!? 何だてめー!!」
「モカちゃんに一体何の用だよ!!」
飛鳥「数学の教科書返してほしいんですけど…」
モカ「あ、ごめーん。忘れてたー」
こうしてモカから教科書を返して貰った飛鳥は、そのまま教室に帰ろうとしたが…。
モカ「はい」
飛鳥「ありがとうございます」
「教科書返して貰ったらさっさと帰れよ!」
「そうだ! こっちは今度の休みにAfterglowをプールに誘うんだからよぉ!」
飛鳥「プール?」
男子生徒たちの言葉に飛鳥が反応した。
ひまり「ああもう…本当に言わなきゃよかったぁ…」
巴「ひまりのせいじゃないって」
モカ「今度の休みにプールに行く予定だったんだけど、男子たちもついていくってしつこくて~」
飛鳥「…大変ですね」
モカの言葉に飛鳥が困惑した。
モカ「え~。助けてくれないの~?」
飛鳥「助けると言っても…」
「とにかくお前は帰れよ!!」
「ていうかいつまでモカちゃんと話してるんだ!!」
と、男子生徒たちが騒いでいたが、モカはまるっきり無視した。
モカ「そういえば飛鳥くんは今度の休み予定ある~?」
飛鳥「ありますよ」
モカ「誰かとどこかに出かけるの?」
飛鳥「広島にいる友達と会う約束をしてるんですよ」
つぐみ「そ、そうなんだ…」
飛鳥の言葉につぐみが反応すると、飛鳥が苦笑いした。
飛鳥「まあそういう訳ですので、どうぞごゆっくり」
そう言って飛鳥は去っていくと、男子生徒たちが歓喜した。
「さあ! これで邪魔者もいなくなったし…」
と、男子生徒たちが詰め寄ると、飛鳥が戻ってきてモカとアイコンタクトを取り、男子生徒たちの記憶を消した。
「…と、思ったけど無理に誘うのも良くないからやめとくわ」
「もし気が変わったら呼んでね!」
蘭「は、はあ…?」
突然の気の変わりように蘭たちは驚いていた。
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その夜…
モカ「いやー。本当に助かったよ~」
飛鳥「そりゃどうも…」
飛鳥とモカは自宅で電話をしていた。モカがマイペースなのに対し、飛鳥は若干困惑していた。
飛鳥「そういやAfterglowは今度の休みどうすることにしたの?」
モカ「一旦保留になった~」
飛鳥「…そっか」
本当にガールズバンドも大変なんだなと飛鳥は思った。
モカ「そういえば友達に会いに行く約束があるって言ってたけど、本当なの?」
飛鳥「それは本当だよ」
モカ「ふ~ん」
飛鳥「まあ、こっちの事は心配しないで」
そう言って飛鳥はモカを安心させたわけだが…。
******************
次の休み
モカ「応援に来たよ~」
飛鳥「……」
飛鳥とモカはとある鉱山にいたが、モカの姿を見るなり飛鳥はぎょっとしていた。
モカ「なんかここでイベントやってるんだって~?」
飛鳥「…そうだけど、他の皆は?」
モカ「今日はあたし一人だけ~」
そう話していると、
「飛鳥。誰と喋ってるんだ?」
と、飛鳥の旧友たちがやってきた。
飛鳥「あっ…」
モカ「あ、こんにちはー」
「えええええっ!!? お、お前! 誰だよその女の子ぉ!」
茶髪でイカ栗頭の志田省吾が驚いて話しかけた。飛鳥より2つ年上である。
飛鳥「ああ。バンドリ学園で仲良くなった青葉モカさんです」
モカ「初めまして~。青葉モカで~す」
「…確かAfterglowっていうバンドの子よね?」
赤い髪の少女・大空未来が驚いたようにモカを見ていた。
モカ「はい、そうで~す」
未来「な、何かゆるいわね…」
省吾「それはそうとお前。なんかいろんな女の子達と仲良くなってるんだって!?」
飛鳥「そういう関係ではないんですがね…」
省吾の問いかけに飛鳥が困惑していると、
『出場される方はこちらに起こしくださーい!』
と、アナウンサーの声がしたので、飛鳥達はアナウンサーの方を見た。
飛鳥「あ、そろそろ出番ですので行ってきますね」
そう言って飛鳥はアナウンサーの方に向かった。
モカ「頑張ってね~」
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そして行われたトロッコレース。飛鳥のほかにも古堂孫、林幸生、白村悟士が出場していて、いずれも好成績を残していた。
モカ「…飛鳥くんだけじゃなかったんだ。凄いの」
省吾「へへっ。まーな」
未来「何で省吾くんが得意げなの…。出てないのに…」
モカ、省吾、未来の3人は観客席で見学していたが、4人の身体能力にモカは少しだけ驚いていた。
モカ「いや~。なんか飛鳥くんの強さが垣間見れたような気がします~」
未来「そう…。そういえば、結構色々大変だって聞いたんだけど」
モカ「そうなんですよ~。此間もモカちゃん達を守ってくれたんですよ~」
未来「そうなの…」
と、レースを見ながらモカ達は世間話を続けるのだった…。
*****
飛鳥「本当にお疲れさまでした」
悟士「ああ。久々にいい汗をかいたよ」
孫たちが広島に帰ろうとしていたので、飛鳥とモカで見送りをしていた。
飛鳥「これで鉱石が手に入ったので、良い報告できますね」
幸生「そうだな。まあ、相変わらず孫のバカ力は想定外だったが…」
結果としては優勝したのは孫であり、飛鳥が2位、悟士が3位、幸生が4位だった。
モカ「そういえば群を抜いてましたね。孫さん」
孫「そうか? まったくきづかなかった」
モカの言葉に孫がケロッとしていて、モカはちょっと困っていた。
モカ(なんだろう…。こころちゃんと雰囲気が似てるような…)
そんなこんなで孫たちは帰っていき、飛鳥とモカは二人きりになった。
モカ「なんか面白い人たちだったね~」
飛鳥「そう?」
モカ「飛鳥くんも面白かったけど~」
飛鳥「君も十分面白いよ」
モカ「どういう意味」
飛鳥「そういう意味」
こういうやり取りがあったものの、モカは飛鳥の事をまた少しだけ知る事が出来て、嬉しそうにしていたという。
おしまい