全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第421話「あなたの事を」

 

 

 それはある夏の事だった。

 

「あっつーい…」

 

 上原ひまりが自分の教室で手をうちわのように仰いでいた。蘭、モカ、巴、つぐみも同じ状態だった。

 

つぐみ「エアコンが今日に限って緊急メンテナンスだなんて…」

モカ「溶けてアイスになっちゃうー」

蘭「いや、意味が分かんないから…」

 

 とにかく暑さに参っていた。

 

ひまり「こんな時はプールとかに行きたいねー」

 

 ひまりの言葉に他の男子生徒たちが反応した。そして耳をダンボのように大きくしている。

 

モカ「いいねー」

蘭「いや、練習どうするの」

モカ「練習は平日にやってるんだからさ~」

 

 と、その時だった。

 

「え? 何? クラスの皆でプール行く流れ?」

「マジ! オレも行く!」

 

 男子たちがあたかもごく自然の流れでAfterglowとプールに行こうとしていたが、その光景を見てAfterglowが困惑した。

 

モカ「…やっぱり練習しよっか」

巴・ひまり・蘭「異議なし」

「待て待て待て待て待て待て」

 

 モカたちの言葉に男子たちが待ったをかけた。

 

「折角なんだから行こうよ!」

「そうだよ!」

 

 そう言って男子たちがさわやかな笑顔で話しかけるが、下心満載だった。分かりやすいくらい下心丸出しだった。

 

モカ「いやー…プールに行くって、Afterglowのメンバー内だけだよ?」

蘭「空気読んでほしいんだけど」

「いや、確かにそれは申し訳ないと思うけどさ!」

「たまにはクラスみんなで…」

 

 その時だった。

 

「青葉さん」

「!」

 

 飛鳥が現れた。飛鳥が現れるなり男子生徒たちは不機嫌になり、Afterglowは助かったと言わんばかりの表情になった。

 

「ああ!? 何だてめー!!」

「モカちゃんに一体何の用だよ!!」

飛鳥「数学の教科書返してほしいんですけど…」

モカ「あ、ごめーん。忘れてたー」

 

 こうしてモカから教科書を返して貰った飛鳥は、そのまま教室に帰ろうとしたが…。

 

モカ「はい」

飛鳥「ありがとうございます」

「教科書返して貰ったらさっさと帰れよ!」

「そうだ! こっちは今度の休みにAfterglowをプールに誘うんだからよぉ!」

飛鳥「プール?」

 

 男子生徒たちの言葉に飛鳥が反応した。

 

ひまり「ああもう…本当に言わなきゃよかったぁ…」

巴「ひまりのせいじゃないって」

モカ「今度の休みにプールに行く予定だったんだけど、男子たちもついていくってしつこくて~」

飛鳥「…大変ですね」

 

 モカの言葉に飛鳥が困惑した。

 

モカ「え~。助けてくれないの~?」

飛鳥「助けると言っても…」

「とにかくお前は帰れよ!!」

「ていうかいつまでモカちゃんと話してるんだ!!」

 

 と、男子生徒たちが騒いでいたが、モカはまるっきり無視した。

 

モカ「そういえば飛鳥くんは今度の休み予定ある~?」

飛鳥「ありますよ」

モカ「誰かとどこかに出かけるの?」

飛鳥「広島にいる友達と会う約束をしてるんですよ」

つぐみ「そ、そうなんだ…」

 

 飛鳥の言葉につぐみが反応すると、飛鳥が苦笑いした。

 

飛鳥「まあそういう訳ですので、どうぞごゆっくり」

 

 そう言って飛鳥は去っていくと、男子生徒たちが歓喜した。

 

「さあ! これで邪魔者もいなくなったし…」

 

 と、男子生徒たちが詰め寄ると、飛鳥が戻ってきてモカとアイコンタクトを取り、男子生徒たちの記憶を消した。

 

「…と、思ったけど無理に誘うのも良くないからやめとくわ」

「もし気が変わったら呼んでね!」

蘭「は、はあ…?」

 

 突然の気の変わりように蘭たちは驚いていた。

 

********************

 

 その夜…

 

モカ「いやー。本当に助かったよ~」

飛鳥「そりゃどうも…」

 

 飛鳥とモカは自宅で電話をしていた。モカがマイペースなのに対し、飛鳥は若干困惑していた。

 

飛鳥「そういやAfterglowは今度の休みどうすることにしたの?」

モカ「一旦保留になった~」

飛鳥「…そっか」

 

 本当にガールズバンドも大変なんだなと飛鳥は思った。

 

モカ「そういえば友達に会いに行く約束があるって言ってたけど、本当なの?」

飛鳥「それは本当だよ」

モカ「ふ~ん」

飛鳥「まあ、こっちの事は心配しないで」

 

 そう言って飛鳥はモカを安心させたわけだが…。

 

******************

 

 次の休み

 

モカ「応援に来たよ~」

飛鳥「……」

 

 飛鳥とモカはとある鉱山にいたが、モカの姿を見るなり飛鳥はぎょっとしていた。

 

モカ「なんかここでイベントやってるんだって~?」

飛鳥「…そうだけど、他の皆は?」

モカ「今日はあたし一人だけ~」

 

 そう話していると、

 

「飛鳥。誰と喋ってるんだ?」

 

 と、飛鳥の旧友たちがやってきた。

 

飛鳥「あっ…」

モカ「あ、こんにちはー」

「えええええっ!!? お、お前! 誰だよその女の子ぉ!」

 

 茶髪でイカ栗頭の志田省吾が驚いて話しかけた。飛鳥より2つ年上である。

 

飛鳥「ああ。バンドリ学園で仲良くなった青葉モカさんです」

モカ「初めまして~。青葉モカで~す」

「…確かAfterglowっていうバンドの子よね?」

 

 赤い髪の少女・大空未来が驚いたようにモカを見ていた。

 

モカ「はい、そうで~す」

未来「な、何かゆるいわね…」

省吾「それはそうとお前。なんかいろんな女の子達と仲良くなってるんだって!?」

飛鳥「そういう関係ではないんですがね…」

 

 省吾の問いかけに飛鳥が困惑していると、

 

『出場される方はこちらに起こしくださーい!』

 

 と、アナウンサーの声がしたので、飛鳥達はアナウンサーの方を見た。

 

飛鳥「あ、そろそろ出番ですので行ってきますね」

 

 そう言って飛鳥はアナウンサーの方に向かった。

 

モカ「頑張ってね~」

 

*********

 

 そして行われたトロッコレース。飛鳥のほかにも古堂孫、林幸生、白村悟士が出場していて、いずれも好成績を残していた。

 

モカ「…飛鳥くんだけじゃなかったんだ。凄いの」

省吾「へへっ。まーな」

未来「何で省吾くんが得意げなの…。出てないのに…」

 

 モカ、省吾、未来の3人は観客席で見学していたが、4人の身体能力にモカは少しだけ驚いていた。

 

モカ「いや~。なんか飛鳥くんの強さが垣間見れたような気がします~」

未来「そう…。そういえば、結構色々大変だって聞いたんだけど」

モカ「そうなんですよ~。此間もモカちゃん達を守ってくれたんですよ~」

未来「そうなの…」

 

 と、レースを見ながらモカ達は世間話を続けるのだった…。

 

*****

 

飛鳥「本当にお疲れさまでした」

悟士「ああ。久々にいい汗をかいたよ」

 

 孫たちが広島に帰ろうとしていたので、飛鳥とモカで見送りをしていた。

 

飛鳥「これで鉱石が手に入ったので、良い報告できますね」

幸生「そうだな。まあ、相変わらず孫のバカ力は想定外だったが…」

 

 結果としては優勝したのは孫であり、飛鳥が2位、悟士が3位、幸生が4位だった。

 

モカ「そういえば群を抜いてましたね。孫さん」

孫「そうか? まったくきづかなかった」

 

 モカの言葉に孫がケロッとしていて、モカはちょっと困っていた。

 

モカ(なんだろう…。こころちゃんと雰囲気が似てるような…)

 

 そんなこんなで孫たちは帰っていき、飛鳥とモカは二人きりになった。

 

モカ「なんか面白い人たちだったね~」

飛鳥「そう?」

モカ「飛鳥くんも面白かったけど~」

飛鳥「君も十分面白いよ」

モカ「どういう意味」

飛鳥「そういう意味」

 

 こういうやり取りがあったものの、モカは飛鳥の事をまた少しだけ知る事が出来て、嬉しそうにしていたという。

 

 

おしまい

 

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