ただ、結末だけは違います。
バレンタイン。それは、女性が男性にチョコレートを渡す日である…のは日本だけで、海外では寧ろ男性が女性に愛を伝える日でもあります。
さて、今年はどんなバレンタインになるのでしょうか?
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物語は飛鳥の家から始まる。午前5時。いつもの時間に飛鳥は目を覚まして黙々と勉強をしていたが、今日はバレンタインデーだと知り、少し気が重くなる。
本来であればもう友希那達は3年生で受験やら卒業を待つだけなので、自由登校となっているが、時系列は第1シーズンのままである。
午前6時。飛鳥が朝食を済ませていたが…。
飛鳥(早く来たらチョコをせびってるって思われるかな…)
と、ヤラカシ達の事を思い浮かべて少しブルーな気分になったので、今日は遅めに登校することにした。
飛鳥(まあ、肝心の女子達は女子同士で送りあうだろう。猪狩の時もそうだったしな…)
とか言いながら、同級生の林日向からは中学3年間チョコを貰っていた男である。
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そんな事はさておき、いよいよ登校する時がやってきた。飛鳥は様子見として超能力で存在感を消して、登校していたが…。
露骨に女子からチョコを貰えるのを期待している男子がわんさかいた。わざとらしい口笛吹いたり、自分の机を何度ものぞき込んだり、正直気色悪い。
飛鳥(まあ、瀬田先輩あたりがモテるだろうから、あの人に任せて何とか今日はやり過ごすか…)
その時だった。
「一丈字くん」
飛鳥「あれ?」
クラスの女子生徒3人がやってきた。小柄の少女、ぽっちゃりの少女、のっぽで目が隠れている少女。他のクラスの男子からはブス呼ばわりされていた。
飛鳥「どうされました?」
萬部「此間のお礼と言っちゃなんだけど、はい。バレンタイン」
木茂田「あたしもあげる」
いきなり3人の女子からチョコを貰って、飛鳥も周りの生徒達も驚いた。
飛鳥「え!? 本当によろしいんですか!?」
萬部「いいのいいの。本当に助かったし」
木茂田「一丈字がいたからスムーズに進んだ。ありがとう」
木茂田がそう言うと、小築が頷いた。
飛鳥「ありがとうございます」
萬部「ホワイトデーは気にしなくていいからね。じゃ」
そう言って3人が去っていったが、クラスメイト達は少し意味深な反応をしていた。正直ブスでも、やはり女子から貰うのは羨ましいと…。
そんな時だった。
「飛鳥!!」
こころがやってきた。
飛鳥「弦巻さん。おはようございます」
こころ「バレンタインね!」
飛鳥「そうですね」
こころ「飛鳥はチョコ貰ったのかしら!?」
飛鳥「ええ。先ほど3個貰いましたよ」
こころ「良かったわね!」
飛鳥「ええ」
と、他愛のない話をしていたが、飛鳥は何かが起こりそうな予感がしていた。
こころ「そうだわ! あたしもチョコをあげるわ!」
飛鳥「え、本当ですか?」
こころ「そういやはぐみ達も飛鳥に渡したいって言ってたわね」
飛鳥「あ、そうですか…」
その時だった。
「はい、ちょっと待ったー!!」
こころ「あら?」
飛鳥「……」
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食堂
「一丈字。お前が貰えるチョコは1人だけだ!」
「あとはオレ達に譲れ!」
飛鳥「じゃあ弦巻さん」
「あっさり!!」
食堂に集められた飛鳥はヤラカシ軍団から、バンドガールから貰えるのは1人までというルールを設けられたが、正直1人に絞った所で、ヤラカシ達が他の24人から貰えるとは到底思ってもいなかったし、他の少女たちもあげるつもりはなかった。
飛鳥「これで良いですね?」
「お、おう…」
「まあ、こころちゃんは元々仲が良かったようだからくれてやるが、もう残りの子には手を出すなよ!?」
ヤラカシの言葉に飛鳥は目を閉じて承諾したが…。
友希那「ちょっと待って。どうしてそういうのをあなた達が決めるの?」
蘭「一人に絞った所で、アタシ達があげると思ってる訳?」
「貰えないのはまあ仕方がない」
「!?」
「だがな…」
ヤラカシが目をカッと見開いた。
「一丈字だけ可愛い女子から沢山貰うのが納得いかないんじゃーい!!」
「主人公だからってやり過ぎだろ!!」
「主人公だからだよね!? やっぱり主人公だからですよね!?」
「オレ達にも活躍させろぉ!!」
と、一斉に不平不満を言い出したが、
モカ「そんな事言って、此間の大掃除ほっぽりだしてあたし達にやらせたの誰だったっけ~?」
モカがそう言うと、2組の男子たちが視線をそらした。
蘭「あれだけの事しといて、チョコ貰えると思ってるの?」
巴「で、しかも結局アレ一丈字も手伝ってくれたんだぞ?」
つぐみ「モカちゃんが手伝わせたの間違いだけど…」
ひまり「とにかく、あなた達にはチョコはあげません!!」
と、Afterglowには思い切り振られてしまった。
友希那「まあ、私達も言うまでもないわね」
紗夜「ええ」
Roseliaからも拒絶され、他のバンドも同じだった。
飛鳥「まあ、後はゆっくり話し合ってください」
そう言って飛鳥が去ろうとすると、
リサ「あ、ちょっと待って飛鳥くん!」
香澄達が追いかけていった。
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そしてどうなったかというと…。
リサ「はい! バレンタインチョコ!」
飛鳥「!?」
リサがバレンタインチョコを作ってきて、飛鳥は驚いていた。そして周りには友希那、紗夜、燐子、そしてあこもいた。
飛鳥「用意してくださったんですか?」
リサ「うん。まあ、なんだかんだ言って飛鳥くんには今まで助けられてばかりだったからね…」
飛鳥「いえいえ…」
リサの言葉に飛鳥が苦笑いしていた。
あこ「これだったらあこも何か用意すれば良かったかなー」
燐子「あ、あこちゃん…/////」
義理だろうけど、思った他大胆な事をしようとするあこに燐子はドギマギしていた。
紗夜「風紀委員としてあまり男女間のチョコの譲渡は良く思いませんが…。Roseliaが一丈字さんにお世話になっているのは事実ですので、今回は大目に見ます」
飛鳥「あ、ありがとうございます…」
リサ「そういや、他にもチョコ貰った?」
飛鳥「ええ…。クラスの方から3個貰いました」
「3個も貰ったの!!?」
飛鳥の言葉にあこが驚いた。
飛鳥「意外でしょう」
あこ「なんかね。チョコ貰えるだけで凄いんだって」
飛鳥「ええ…。普段は女子同士でチョコの交換をさせるものだと…」
リサ「アハハ…。でも、彼氏がいる子は彼氏にチョコ渡してるし、好きな男子がいる場合はその男子に送ったりしてるから…もしかしたら…」
飛鳥「そうですか…」
飛鳥が一息ついた。
あこ「そうだ! あこもチョコあげたいから、放課後時間空けといて!」
飛鳥「え?」
紗夜「う、宇田川さん!!」
その時、イヴ以外のパスパレ4人と、薫、花音がやってきた。
日菜「あ! ここにいた!」
紗夜「日菜。それに皆さんも…」
千聖「Roseliaと一緒だったのね。一丈字くん」
飛鳥「ええ…。今井先輩からチョコを貰いまして」
日菜「リサちーのチョコ美味しいもんねー」
あこ「あこもチョコあげたくなったから、放課後チョコ買いに行くの!」
日菜「いいねー! るんってしてきた!」
飛鳥「え…」
日菜の言葉に飛鳥が驚いた。
飛鳥「そういえば今日はパスパレの仕事って…」
千聖「どういう訳かオフよ」
飛鳥「そ、そうですか…」
薫「これもきっとバレンタインの神が与えてくれたのだろう」
日菜「それじゃ皆でいこー!!」
飛鳥「お気をつけて…」
飛鳥がそう言うと、あこと日菜が飛鳥を見つめた。
あこ「いや、飛鳥くんも行くんだよ?」
飛鳥「あ、これ。買い物に出かけるパターンだったんですか?」
日菜「おねーさん達が買ってあげるからねー」
飛鳥「有難いですが、本当によろしいのですか!?」
千聖「ええ。あの男子たちも懲らしめたいし」
友希那「身の程を弁えろと言いたいわね」
飛鳥「何があったんですか…」
とまあ、色々不安はあったが、この後飛鳥は上級生組+あこと魅惑のショッピングをするのだった。当然目立った。
おしまい