全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第437話「山吹家にお泊り!(前編)」

 それはある雨の日の事だった。

 

「参ったな…。急に雨が強くなりだしちゃった」

 

 飛鳥は夜食を買いにやまぶきベーカリーにやってきたのだが、雨が急激に強くなった上に風も大きな音を立てて吹いていた。やまぶきベーカリーの窓がガタガタと揺れている。

 

飛鳥(まあ、超能力があるから別にいいんだけどね)

 

 そう、この男は超能力を持っていて、その気になれば瞬間移動で一気に家に帰るなり、自分だけバリアを張って雨と風をしのぐこともできるのだ。

 

 だが…

 

「うーん…。雨がこんなに強いんじゃ外に出るのは危険だよ。雨宿りしていきなよ」

 

 そう言って店番をしていた山吹沙綾が話しかけると、飛鳥が困惑していた。だが、ここで強引に超能力を使って帰ろうとすれば、恐らく怪しまれるだろう。そう考えていた次の瞬間、ガシャーンという大きな音がした。

 

沙綾「な、なに!?」

飛鳥「……」

 

 飛鳥がこっそり超能力で感知すると、どこからか飛んできた看板が、やまぶきベーカリーの近くにあった家の窓ガラスに突き刺さったのだ。

 

飛鳥「…恐らくどこかの建物に看板とかが突っ込んだんじゃないですかね」

沙綾「え!? マジで!?」

 

 飛鳥の言葉に沙綾が少し怖がると、沙綾の妹である紗南が涙目で沙綾に縋りついてきた。

 

沙綾「あ、紗南。大丈夫よ」

 

 沙綾が宥めるが、紗南は沙綾の服に顔を埋めたままだった。そんな時、沙綾の弟である純もやってきた。

 

純「ねーちゃん! 今警報出てる!」

沙綾「暴風警報?」

純「暴風、大雨、洪水警報!」

 

 トリプルじゃねーかと飛鳥は思っていた。一応天気予報を確認して、この時間帯ならでかけても大丈夫だろうと思っていたのだが、全然大丈夫なかった。飛鳥は全く運がなかったのである。ちなみに客は飛鳥一人だけである。

 

沙綾「うーん…。警報解除しそう?」

純「明日の朝まで解けなさそうな上にさっき現場に出てたアナウンサーがテレビ局にいた司会者たちに文句言ってた」

飛鳥(現場に出ているアナウンサーの皆さん。お疲れ様です!!)

 

 恐らく純が見ていたテレビ局のアナウンサーだけでなく、他のテレビ局アナウンサーも現場に駆り出されているのだろう。

 

 ちなみにどうでも良いが、飛鳥が広島にいた頃に暴風警報で中継しているアナウンサーの護衛任務に当たった事があり、その時のアナウンサーはベテランで、若手にはまだ早いと言いながらも、パワハラ防止の為にたった一人で中継をしていた事があり、感動を巻き起こしていた。

 

飛鳥「まあ、今ならまだ何とかギリギリ帰れるかな…?」

沙綾「ダメだよ! 危ないよ!」

純「そうだよ! 泊まって行けよ兄ちゃん!」

 

 純の言葉に飛鳥はぎょっとした。というのも、もし沙綾の家に泊まっていたことが知られたら面倒な事になるだろうな~と思っていた。

 

沙綾「…うちのクラスの男子たちとか気にしなくていいからね?」

飛鳥「そうしたいのは山々なんですが」

 

 その時純はこう言った。

 

純「姉ちゃんの裸を見ても何も良い事ないぞ」

 

 純がそう言うと沙綾は無言で拳骨して、純は涙目で頭を抑えていた。

 

純「て~!! 何すんだよこのうんこ!」

沙綾「だからそれやめなさいって言ってるでしょ! 汚いなぁ!」

 

 沙綾と純が言い争いをすると、飛鳥は広島にいる親友とその姉を思い出していた。こんなケンカしてたなぁと。そう思い出していると、紗南が飛鳥の服を掴んだ。

 

飛鳥「…どうしたの?」

紗南「いっちゃだめ…」

 

 紗南がそう呟いたその時、また大きな音が外に響き、硝子が割れる音もはっきり聞こえた。

 

純「ひぃいいいいいい!!」

紗南「こわいよ~!!!」

飛鳥「大丈夫大丈夫。ちゃんとお姉さんたちの傍にいれば大丈夫…」

 

 純が青ざめて紗南が飛鳥の服を掴んで泣き出すと、飛鳥は紗南を宥めた。すると沙綾が困った顔をした。

 

沙綾「参ったな…。父さんも母さんもちょっと出かけてるのに…」

飛鳥「え、どうしてまた…」

沙綾「今日近くのスーパーでいつもはしないセールをしてたから、2人で買いに行ったんだよ。まさかこんなに雨と風が強くなるなんて…」

 

 と、沙綾がそう言うとやまぶきベーカリーの入り口の扉がガタガタ揺れていた。

 

沙綾「あ、そういえば店の前にボート置きっぱなしだった!」

飛鳥「あ、私が取ってきますね」

 

 そう言って飛鳥がすかさず外に出ると、物凄い風がしていて、一瞬看板や木が飛んできたのを三姉弟は見逃さなかった。

 

沙綾「ちょ、ちょっと一丈字くん! 無理しなくていいから! って、純と紗南は出ちゃダメ!!」

 

 沙綾が慌てて一声かけると、純と紗南が様子を見ようとしたので止める。

 

飛鳥(すっごい雨だな…。これじゃ外で歩くのは…)

 

 と、ボードを抱えて店に戻ろうとしたが、がれきやら店の商品が飛鳥にめがけて飛んできて、飛鳥はボードを盾にして店に戻ったが、ボードに傷がつくと弁償しないといけなくなるのでこっそり超能力でコーティングしていた。

 

 そして店に戻ってきたが、飛鳥はびしょぬれだった。その気になれば無傷で行けたのだが、それをやると山吹三姉弟に怪しまれるのでやらなかった。

 

飛鳥「結構飛ばされてました…」

沙綾「大丈夫!? 結構びしょぬれになってるけど…」

飛鳥「ああ、そうですね…」

沙綾「ちょっと拭くもの持ってくるから待ってて!」

 

 そう言って沙綾からタオルを貸して貰った飛鳥は髪の毛などを拭いていた。

 

飛鳥「参ったな…思った以上に雨と風が強いな…」

沙綾「一丈字くん。もし良かったら…っていうか、もう今日はうちに泊まっていきなさい」

飛鳥「やっぱりそうなりますよね…」

 

 沙綾の言葉に飛鳥は困惑していた。

 

純「え、うちじゃ嫌なのか?」

飛鳥「君のお姉さんのファンの男たちに嫌がらせされるのが嫌なんです」

純「えー!? 趣味わるー!!」

沙綾「純? 晩御飯抜きにされたいのかしら?」

純「ひ、卑怯だぞー!!」

飛鳥「二人とも落ち着いてください」

 

 と、結局飛鳥は山吹家にお泊りする事となったのだ。

 

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