沙綾「さあ純! もう9時になるわよ!」
純「分かったよ」
そう言って沙綾が釘を刺すと純は電源を切ってゲーム機を片付けた。
飛鳥「もう就寝されるんですか?」
沙綾「うーん…。ちょっと早いんだけど、この天気じゃあね…。布団しかなきゃ」
飛鳥「あ、そう言えば私はどこで寝れば良いですか?」
純「川の字で寝ようぜ川の字!」
飛鳥「川の字って…」
純「オレと飛鳥にーちゃんと紗南!」
沙綾「コラ! 姉ちゃんを仲間外れにするんじゃない!!」
沙綾の言葉に飛鳥は面食らった。
沙綾「なに? 飛鳥くんも仲間外れにする気だったの?」
飛鳥「いえ、てっきり男女別々だと思ってました…」
沙綾「まあ言いたい事は分かるけど、紗南もまだ小さいし、私だって一応…女の子だから…////」
沙綾がちょっと照れくさそうにすると、純が複雑そうにしていた。
沙綾「何よ」
純「いや、女の顔になってる姉ちゃんってなんかやだなと思って…」
沙綾「安心して? 純は外で寝て貰うから」
純「何でだよぉ!」
飛鳥「二人とも落ち着いて」
紗南「仲良くしなきゃダメ―!」
そんなこんなで4人で川の字で寝ることになった飛鳥達だったが、純、飛鳥、紗南、沙綾の順番だった。
紗南「おねーちゃんと飛鳥おにーちゃん、隣同士じゃなくていいの?」
沙綾「うん。大丈夫だよ」
飛鳥「隣同士じゃなくてもお姉ちゃんと仲良しだから心配しなくていいよ」
まあ、もっとも沙綾の父親に殺されるので、隣同士で寝る訳には行かなかった。
沙綾「でも父さんたち、戻ってこれなかったんだ…。ちょっと電話しよう」
と、沙綾が電話をかけようとしたら父親から電話が来た。
沙綾「あ、もしもし父さん?」
純たちにも聞こえるようにスピーカーモードにした。
「おお、沙綾か! 父さんだ!」
沙綾「そっちは大丈夫!?」
「ああ。もう思った以上に酷くてスーパーの人たちが仮眠室を開けてくれたんだ。父さんたちは今夜そこで寝る」
沙綾「母さんは大丈夫なの!?」
亘史「ああ。母さんは父さんがついてるから安心してくれ!」
沙綾の母である千紘は体が弱く、一人で家事をするのを沙綾がとめるほどであるため心配していた。
亘史「それよりもそっちは大丈夫か?」
沙綾「うん。純と紗南と一丈字くんと今日はリビングで寝ることにしたから…勿論変な意味じゃないからね!?///」
亘史「分かってる分かってる。純と紗南も良い子にしてるんだぞ」
純「うん」
紗南「はーい」
亘史「それから一丈字くん…」
飛鳥「ええ。本日はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
亘史「いや、それはいいんだ。君もゆっくり眠ってくれ」
飛鳥「ありがとうございます。ただ…」
「?」
飛鳥が真剣な表情でこう言い放った。
飛鳥「今夜はもうずっと嵐に見舞われます。旦那様と奥様もお気を付けください」
沙綾「だ、旦那様って…」
飛鳥の言葉に沙綾が苦笑いすると、
亘史「あ、お父さんって言ってくれても大丈夫だよ」
飛鳥「そ、そうですか…」
沙綾「うん。気にしなくていいからね…一応…///」
飛鳥「いえ、結構お父さんって言われるのに抵抗がある人がいらっしゃるんですよ」
沙綾の顔を見て飛鳥が苦笑いすると、千紘が声をかけてきた。
千紘「一丈字くん。いつもうちの娘と仲良くしてくれてありがとう」
沙綾「か、母さん!」
飛鳥「いえ、沙綾さんもそうですが、純くんや紗南ちゃんにもお世話になりました。ですので…」
飛鳥はまた真剣な表情で電話に向かってこう言った。
飛鳥「沙綾さん達は私が責任をもってお守りします」
飛鳥の言葉に沙綾たちは目を開くと、亘史たちも流石に面食らった。
飛鳥「ですので、旦那様と奥様はご自身の身の安全を確保してお休みください。一晩お世話になります」
亘史「あ、ああ…」
千紘「…沙綾。火の元だけ気を付けて頂戴」
沙綾「分かった」
千紘の言葉に沙綾が返事すると、
千紘「一丈字くん」
飛鳥「あ、はい…」
千紘「純と紗南もそうだけど…沙綾の事を特に宜しくお願いします」
沙綾「母さん。一丈字くんそういう意味で言ったわけじゃないから/////」
千紘「あと間違って抱き着いたりしたらダメよ?」
沙綾「もう切るからね!!! お休み!!//////」
そう言って沙綾はガチャ切りすると、飛鳥の方を見た。
沙綾「…一丈字くん」
飛鳥「すみません。ただ、泊めて頂いたあなた方に万が一の事があれば、一生の恥になります故」
沙綾「何かお侍さんみたいだよ…?」
飛鳥「いえ、事実ですので…お父様に合わせる顔が」
沙綾「ごめん。やっぱり旦那様呼びにして貰っていいかな//////」
お義父さんという響きが思わず恥ずかしくなってしまった沙綾であり、純と紗南がじーっと沙綾を見てきたので、強制的に眠らせようとしていた。
沙綾「とにかく電気消すよ! お休み!!」
そう言って沙綾が電気を消して眠らせようとするが、勿論純と紗南は寝付けなかった。そして飛鳥はそれを察知していたのか、超能力でこっそり眠らせた。勿論沙綾もである。
飛鳥「おやすみなさい。3人とも…」
***********
午前0時。飛鳥は起き上がった。というのも、見回りである。
飛鳥(まあ、流石に山吹さんの部屋に行くわけにはいかないから、部屋で大人しくしてるか…)
飛鳥は沙綾たちが寝静まっているのを確認して、布団の上からでも出来る事をやった。明日の授業の事、格闘技のイメージトレーニング、超能力で1階を見回りするなど、出来る限りの事をやった。
外は相変わらず雨の音と嵐の音がしていたが、寝る前と比べて弱まったような気もした。
飛鳥(ガラスが割れたところとか、看板が突っ込んだところとか大丈夫かな…)
***********
午前7時…
「ん…」
沙綾が目を覚まして起き上がって横を見ると、純と紗南がいたが飛鳥の姿はなく、布団はもうたたまれていた。
沙綾「一丈字くん!?」
沙綾がそう叫ぶと、
「おはよう沙綾」
沙綾「!?」
亘史と千紘が顔をのぞかせた。
沙綾「と、父さん母さん!」
千紘「よく眠れたようね。良かったわ」
沙綾「い、一丈字くんは!?」
亘史「彼ならもう帰ったよ」
沙綾「え!!?」
沙綾が叫ぶと純と紗南も起きた。
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バンドリ学園。沙綾が飛鳥と接触できたのは1時間目が終わった後の休憩時間だった。
沙綾「昼休憩。時間空けて貰うからね」
飛鳥「ええ、それは構いませんが…」
沙綾が有無を言わせない態度だったが、飛鳥は抵抗する様子はなかった。だが、どこか眠そうで両目には隈も見えていた。周りの生徒は一体何事かと見ていた。
沙綾「それもそうだけど、どうして一人で無茶したの!」
沙綾は飛鳥にそう怒鳴ったが、飛鳥は予想通りだと言わんばかりの表情をしていた。
飛鳥「何を仰ってるんですか?」
沙綾「え?」
飛鳥「あなたには純くんや紗南ちゃんを守る義務がある筈ですよ。あの2人の為にも…あなたは元気でいなきゃいけないんです」
純と紗南を盾にして、沙綾に何とか納得させようとしていた。
飛鳥「それに野暮な事を言うんじゃありませんよ」
沙綾「え!?」
飛鳥「山吹さん達も私も生きている。それで何よりじゃないですか」
飛鳥の発言に沙綾はブチギレた。
***
昼休憩。飛鳥とPoppin‘Partyは予約制のレストスペースにいた。畳が敷かれていて、10人くらいは余裕で入っていた。そんな中で飛鳥は沙綾に膝枕されていた。
飛鳥「山吹さん…」
沙綾「ダーメ! 反省しなさい!」
飛鳥「あ、はい…?」
沙綾が何故膝枕をしているのか謎に思っていたが、それ以上に眠たかったので考える事をやめた。りみと有咲は頬を染めて、香澄とたえは興味津々に見ている。そして外にいたヤラカシは何とも言えないオーラを出していた。
飛鳥「ああ…。あのヤラカシ達の中に私をぶちこむんですね…」
沙綾「本当にそうしてあげよっか?」
飛鳥「多分放置されて山吹さん達に詰め寄るでしょうね。オレ達にも膝枕してくれって」
有咲「それもそうだけど、本当に寝てねーんだな…」
飛鳥「3時間は寝てました」
沙綾「その時間って布団で横になってただけでしょ?」
飛鳥「はい」
沙綾「~~~~!!!」
飛鳥の言葉に沙綾は唸って両手で飛鳥の頬を掴んだ。結局こういったやり取りが当分続いたという。
ちなみに紗南や純が寂しがっているという理由でたまに行くことになったのは別の話…。
おしまい