全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第440話「パスパレ伝説」

 

 

『Pastel*Palettesがあのコントに挑戦!』

 

 

ロック伝説

 

 

千聖「昨日のライブも最高に盛り上がったけど、所々は極端に盛り下がって、最終的にはお通夜になったわ。なんで私たちのライブはいっつもそうなのよ!」

 

 千聖がそう怒鳴ると、彩、麻弥、イヴは気まずそうに俯いた。

 

日菜「そんなの決まってるよ。千聖ちゃんが悪いんじゃん」

千聖「何ですって!? 私が悪いって言うの!?」

麻弥「お、落ち着いてください千聖さん!」

日菜「だってそうじゃん。千聖ちゃん…ライブしてる時はあんなに偉そうにしてるのに、絵が凄く下手じゃん」

千聖「それライブ関係ある!? 違うわよ!!」

 

 日菜の言葉に千聖がものすごく慌てていた。画の下手さは本人も自覚していたため、どうしても認めたくなかったのだ。

 

日菜「此間の収録だって、ドラえもんを描いてくださいって言って、化物描いてたじゃん」

千聖「化物って何よ! 失礼ね!!」

日菜「スタッフさんに聞いたんだけど、あの放送思った以上に受けてて、ツイッターでもバズったから今後は絵を描く仕事を増やすって言ってたよ? 正直女優業よりそっちやって貰うかもって」

千聖「いやあああああ!! そんな話聞きたくなかったぁあああああ!!」

 

 日菜の言葉に千聖は涙目で頭を抱えた。確かに今まで女優としてやってきたのに、そんな事になったら間違いなくイメージダウンになるばかりか、完全に笑い者である。他のメンバー3人とも何とも言えない顔をしていた。

 

千聖「それを言うなら、日菜ちゃんにも原因はあるわよ!」

日菜「あたしー!? あたしちゃんとやってるよ!」

千聖「いいえ! 日菜ちゃんはMCやってる最中に全然話集中してないし、るんってしないっていう理由で曲変えちゃうし、正直お客さんも困ってるのよ!」

日菜「えー! だったら言ってよー!!」

千聖「…いちいち言わないといけなかったらこの世界やっていけないのよ!」

 

 日菜の自由奔放ぶりに千聖が困惑すると、他の3人も何とも言えなかった。

 

麻弥「まあまあ二人とも落ち着いてくださいよ…」

日菜「麻弥ちゃんだっておかしい所あるよ!?」

麻弥「え!? そ、そんな事ないですよ! ジブンはちゃんと…」

 

 日菜が言いがかりをつけてきたので、麻弥が否定しようとしたが千聖が気まずそうに腕を組んだ。

 

千聖「…そうね。麻弥ちゃん」

麻弥「な、何ですか!?」

千聖「激しく首を振るのやめなさい! パスパレそういうバンドじゃないのよ!!?」

麻弥「え!? そ、そんなに激しく振ってました!?」

日菜「うん。なんかX JAPANのYOSHIKIみたいだった」

千聖「日菜ちゃん。『さん』をつけなさい…」

麻弥「た、確かに首は振ってましたけど、そんなに激しく振ってないっすよ!?」

日菜「じゃあビデオで確認してみようよ」

 

 そう言って映像を見返したが、確かに他の4人が麻弥を見ていない所で首を激しく振っていた。

 

麻弥「……!」

日菜「ね?」

麻弥「ご、ごめんなさい…」

千聖「分かれば宜しい」

 

 何か納得いかなかったが、麻弥は素直に自分の非を認めることにした。

 

イヴ「も、もしかして私も変な所ありましたか!?」

千聖「イヴちゃんはちゃんとやってたわよ…」

日菜「んー…。まあ、強いて言うなら…」

「!?」

 

 日菜が考えた後、イヴの方を見つめた。

 

日菜「最近『ブシドー』が多すぎる事かな」

麻弥「あ、あー…」

千聖「言われてみれば確かに…」

日菜「何か『ブシドー』って言えばいいだろうみたいな感じがするから、ちょっと気を付けて?」

千聖「…それ、あなたの「るんっ」も同じじゃないかしら」

 

 自分の事を棚に上げたように言う日菜に対して、千聖は呆れていた。

 

彩「あ、あの…私は…?」

 

 彩がおずおずと聞くと4人は一瞬彩の方を向いたが、すぐに4人が向き合った。

 

日菜「まあ、彩ちゃんはいっぱいあるからもういいとして」

彩「もういい!!?」

千聖「とにかく日菜ちゃん。もうこれ以上勝手な真似はよしなさい」

日菜「それを言うなら千聖ちゃんこそ、これ以上変な絵をかいたらダメだよ? あと、麻弥ちゃんとイヴちゃんも」

麻弥・イヴ「は、はい…」

日菜「もしこのまま続いたら交代なんて事もあり得るからね?」

 

 日菜の言葉に皆が驚いた。

 

千聖「極論過ぎるのよ! そんな理由で脱退とか絶対嫌よ!?」

麻弥「ジブンだって!」

イヴ「あれ…? 私なんかキャラが迷子になりそうな気が…」

彩「と、とにかく皆一旦落ち着こう!? あと、私のダメだったところ一つでいいから教えて…」

 

 そんなこんなで、この話を陰で聞いていた事務所のスタッフが悪ふざけで、今度同じミスを起こしたらパスパレを交代させるという無茶としかいいようがない企画を立てた。

 

 一か月後…。

 

彩「まんまるお山に彩を! ボーカル担当、丸山彩でーす! そして!」

「ギター担当! 大澤! うーぃ!!!」

「パスパレのベース担当! 下坂! わっしょいわっしょい!!」

「ドラム担当上中。よろしくフォー!!!」

「キーボード担当、ジャッカルデース!」

 

 彩以外の4人は見事に交代になった。日菜は本番中にトイレに行き、千聖はバラエティ番組でNHKの某キャラクターを書こうとして放送事故レベルの化物を描き、麻弥は横に激しく首振りをし、イヴは我慢できなくなって思いっきりブシドーと叫んだためだった。

 

 そして代わりになったメンバーは、4人とも屈強な色黒の男性だった。これには観客たちもシーンとしていた。

 

彩「み…みんな帰ってきてぇ~~~~~~~~~~~!!!!!」

 

 そして客席では…。

 

千聖「もうこの事務所終わりだわ…」

飛鳥「……」

 

 飛鳥と千聖が観客として来ていたが、千聖が頭を抱えていて飛鳥は呆然としていた。

 

 

おしまい

 


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