飛鳥「そういえば若宮さんって剣道部と茶道部と華道部に入ってるんですよね」
イヴ「はい!」
飛鳥「…大変じゃないですか?」
イヴ「確かにアルバイトやアイドルのお仕事もありますけど、とても楽しいですよ!」
飛鳥(こういうポジティブな姿勢は見習わないといけないなぁ…)
仕事量は敗けてはいないが、こういう大変な時に対する姿勢に関しては真逆なので飛鳥はイヴを見習う事にした。
「イヴちゃん! 日本の文化を語る上で大事な事が1つだけ忘れてるぞ!」
イヴ「な、何でしょう!?」
飛鳥(まさかな…)
すると男子たちはぐわっと目を開いた。
「それは日本の国技! 相撲だーっ!!」
イヴ「す、相撲…!」
「相撲なくして日本の文化は語れない!」
「さあ! 裸になってまわしをつけるんだ!」
飛鳥「若宮さん。女性はインナーの上にまわしをつけるので、ご安心ください」
予想通りだったと飛鳥はイヴに対してツッコミを入れると、イヴが苦笑いしていた。
「それはそうと一丈字てめえ! 何イヴちゃんと二人きりで話をしてるんだよ!」
「何の話をしてたんだ!!」
飛鳥「いや、部活動3つ入ってて大変じゃないですかって話をしてましたよ。私はもう行きますので…」
イヴ「あ、そういえばアスカさんに聞きたい事があるんです!」
飛鳥「聞きたい事ですか?」
イヴ「アスカさんとっても足が速いですけど…ニンジャなんですか!?」
イヴの言葉に飛鳥は困惑していた。
「いやいやイヴちゃん。こいつが忍者な訳ないでしょ」
「どう考えてもガリガリの陰キャだし」
「それはそうとイヴちゃんのくのいち姿、みてぇな…」
そう言うと、
「貴女達」
「!」
千聖を筆頭に彩、麻弥、日菜が現れた。
千聖「イヴちゃんに何をしているのかしら?」
「オ、オレたちじゃない! 一丈字だ!!」
イヴ「ア、アスカさんは何もしてませんよ!?」
飛鳥「色々やる事多くて大変じゃないですかって話してました」
千聖「そうだと思ったわ。ちょっと今度のお仕事の打ち合わせしたいから来て貰えるかしら?」
イヴ「は、はい! 失礼します!」
飛鳥「お気をつけて!」
そう言ってイヴが千聖たちの元に向かうと、飛鳥も超能力で存在感を消してその場を離れた。するとイヴが異変に気付いて後ろを向くと、飛鳥がいない事に気づいた。
イヴ(アスカさんがもういなくなってる…! やっぱりニンジャです!!)
****
それからというもの、イヴは仕事をこなしていたわけだが、そんなある日の事…・
彩「…イヴちゃん。顔色悪いよ」
イヴ「い、いえ…。そんな事ありません…」
いつものように外でロケがあって終わったのだが、イヴが明らかに顔色が悪く、彩たちが異変に気付いた。
千聖「…やはり色々詰め込み過ぎたのよ。イヴちゃん、今日はまっすぐ帰りなさい」
麻弥「そ、その前に立てますか…?」
イヴ「だ、大丈夫です!」
日菜「なんか…顔が青白くてヤバい気がするんだけど」
そんな中、飛鳥が通りかかった。
日菜「あっ、飛鳥くんだ!」
飛鳥「あ、お疲れ様です皆さん。どうされました?」
千聖「イヴちゃんがちょっと体調崩しちゃったみたいなのよ…。動くのもしんどそうで…」
イヴ「す、すみません…」
彩「救急車呼んだほうがいいんじゃ…」
イヴ「あの、ちょっと休ませてください…」
すると千聖がある事を考えた。
千聖「飛鳥くん。あなたのおうち近かったわよね?」
飛鳥「近いというかもうすぐそこなんですけどね…」
日菜「近っ!!」
千聖「悪いんだけど、イヴちゃんを休ませて貰えないかしら」
飛鳥「分かりました。コンシェルジュさんに話せば部屋を貸してくれると思いますので」
イヴ「す、すみません…」
飛鳥「若宮さん。そこは『ありがとう』ですよ」
「!」
飛鳥が口角を上げてそういうとパスパレの5人は驚いた。
飛鳥「仕事上ではすみませんって言わないといけない場合がありますけど、友達や仲間に対しては「ありがとう」って言った方が伝わりますよ」
イヴ「……!」
飛鳥「お話は後にしましょう」
こうして飛鳥達は移動して、1階のゲストルームに通して貰った。
飛鳥「若宮さんは寝ててください」
イヴ「は、はい…」
飛鳥「若宮さん。今から軽食作りますので、それ食べてから帰ってくださいね」
「え?」
飛鳥の言葉に皆が驚いた。
飛鳥「忙しかったのもそうですけど、モデルの仕事で食事制限したでしょう。それもあったから気分悪くなったんですよ」
イヴ「は、はい…」
彩「飛鳥くん。私達にも何かできる事ない?」
飛鳥「私の家から救急道具一式持ってきますので、後で熱を測ったりして貰えませんか?」
彩「わ、分かった!」
千聖「私はイヴちゃんのご両親に電話をかけるわ」
飛鳥「お願いします」
そう言って飛鳥が材料を取りに行くと、千聖が電話でイヴの親に事情を説明した。
飛鳥「私、料理しますのでお願いします」
麻弥「任せてください!」
飛鳥が料理してる間、イヴは体温を測っていた。
麻弥「…37.4度。ちょっと熱ありますね」
日菜「飛鳥くーん! 7度4分だってー!」
麻弥「ひ、日菜さん! 声大きいです!」
飛鳥「そうですか。明日の朝になって元気になってたら良いのですが、病院で見て貰った方が良さそうですね」
千聖「……!」
この時千聖は飛鳥に対して超能力者としての顔を見たように感じた。
飛鳥「とにかく栄養を取って体を休ませることが先決ですね。食事が出来たら呼びますので、若宮さんはゆっくりお休みください」
イヴ「…分かりました」
そう言ってイヴはベッドでゆっくり休むことにすると、彩たちは邪魔したらいけないと思い、寝室から離れた。
日菜「飛鳥くん。何作ってるの?」
飛鳥「ちゃんこ風の雑炊です」
「ちゃんこ風!?」
飛鳥「まあ、白米はインスタントの奴ですが…。あ、皆さんも折角ですので食べてってください」
麻弥「あ、ありがとうございます…」
彩「あの、本当に手伝う事ない…?」
飛鳥「その時にまたお願いしますので、ゆっくり休んでてください」
日菜「分かったー」
麻弥「ひ、日菜さん!(小声)」
そう言って日菜はゴロゴロし始めた。
***
そして雑炊が完成して麻弥にイヴを起こして貰い、6人で塩みぞれちゃんこ雑炊を食べた。
飛鳥「どうですか? 若宮さん」
イヴ「凄く美味しいです!」
麻弥「なんていうか、ほっこりしますねぇ…」
日菜「身体もあったまる感じ!」
千聖「生姜を入れたの?」
飛鳥「はい。体も温まりますが、熱も出してくれますので」
彩「おいしー」
イヴは飛鳥を見つめた。
イヴ「あの、アスカさん…」
飛鳥「何でしょう」
イヴ「本当にここまでしてくれてありがとうございます」
飛鳥「いえいえ」
イヴが頭を下げると飛鳥は苦笑いした。
飛鳥「少し寝て気分はどうですか?」
イヴ「す、少しだけですが楽になりました!」
飛鳥「そうですか。それでは家に帰ったらまたゆっくり体を休めてください」
イヴ「は、はい!」
日菜「それにしても飛鳥くん。料理上手なのもあるけど、熱計ってーとか指示出してたけど、結構慣れた感じだよね」
飛鳥「しょっちゅうありましたからね…」
日菜の言葉に飛鳥は何か言いたそうに遠い顔をした。
飛鳥「まあ、今は若宮さんの体調が大事ですね」
麻弥「あ、ジブン食器洗いますよ!」
彩「わ、私も!」
飛鳥「宜しいですか?」
飛鳥は遠慮する事はなく、麻弥と彩にお願いしようとしていた。遠慮しても麻弥たちも引き下がらないし、ヒートアップしてイヴに余計な負担をかけると判断したからだ。
そして彩と麻弥が皿洗いをしていると、イヴの親が迎えに来た。
飛鳥「さて若宮さん。親御さんも迎えに来たので、家にお帰り下さい。あとは我々がやっておきますので」
イヴ「ア、アスカさん…」
飛鳥「お大事に」
飛鳥が口角を上げると、イヴは目に涙を浮かべた。
イヴ「かたじけない…!!」
武士風にお礼を言うと飛鳥や他のメンバーは少し苦笑いしながらも親と一緒に帰っていった。勿論親もお礼を言った。
*******
その夜…
『本当にありがとう。飛鳥くん』
「いえいえ…。部屋にあげる訳じゃないので」
飛鳥は千聖とテレビ通話をしていた。千聖も家に帰って自分の部屋で会話している。
千聖「…その、あの雑炊に何か細工でもしたの? なんか私も妙に元気になった気がするのだけど」
飛鳥「私の気をかけました。若宮さんの体力が少しでも元に戻るように」
千聖「そういう事も出来るのね…」
飛鳥「ええ。若宮さん風に言えば、修業の賜物ですね」
千聖「全く…。イヴちゃんもあなたも真面目なのはいいけど、無理はしないでほしいわ」
千聖がまるでやんちゃな弟や妹を心配する姉のように振舞った。
*************
翌日、イヴは元気よく学園に来ていて香澄達と話をしていた。
飛鳥「熱が下がって良かったですね」
千聖「ええ」
飛鳥と千聖が廊下から様子を見ていた。するとイヴがやってきた。
イヴ「アスカさん! チサトさん! 昨日はありがとうございました!」
飛鳥「元気になって何よりです」
イヴ「はい…。食事制限する時のメニューを見直してみます!」
飛鳥「分かりました」
千聖「きちんと栄養バランスを考えるのよ?」
イヴ「それで…アスカさんにお願いがあるのですが?」
飛鳥「なんです?」
イヴ「私に料理を教えてください!!」
飛鳥「すみません。ちょっとそれはムリです…」
イヴの言葉に飛鳥は困惑しながら返事した。
千聖「あら。やってあげればいいじゃない」
飛鳥「色々問題ありませんかね…。スキャンダルとか」
千聖「まあ、確かに些細な事でもニュースにしたがるものね…」
イヴ「や、やっぱりだめですか…?」ウルウル
イヴが涙目+上目遣いをすると、飛鳥もこればっかりはどうしようもないので、困惑していた。
こころ「あら、どうしたのかしら?」
飛鳥「……」
***
結局どうなったかというと…。
飛鳥「えー。それでは初めていきましょう」
イヴ「はい! よろしくお願いします!」
弦巻家で料理教室を行う事となったらしい…。勿論材料なども弦巻家が負担してくれることとなった。
この後、料理を学んだイヴが飛鳥に弁当を作ってきて、学園で大波乱が起こるのだが、長くなるので割愛します。
おしまい