全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第488話「お金貸して!」

 

 

 それはある日のことだった。

 

「うーん…」

 

 彩が学園でちょっと悩んでいると、飛鳥、千聖、日菜、麻弥、イヴがやってきた。

 

イヴ「アヤさん。どうしたんですか?」

彩「あ、イヴちゃん。それに皆…」

麻弥「いったいどうしたんですか?」

日菜「あ、わかった! 今度ドラマに出ることになったから、どういう風に演じたらいいか分からないんでしょ!」

 

 日菜がそう言うと、彩が苦笑いした。

 

千聖「どんなセリフなの?」

彩「いや、セリフを考えてきてくださいって言われてて…」

「え!?」

 

 彩の言葉に皆が驚いた。

 

飛鳥「…どういう事なんです?」

彩「えっとね…」

 

 彩が貰った仕事というのは、シチュエーションドラマであり、簡単に言うと、お題に沿って彩が相手に対して自分の言葉で言うというものだった。まあ、視聴者は主人公になりきって彩から言われた言葉を楽しむ。というものだった。

 

イヴ「な、なかなか難しいところです…」

麻弥「決められた役柄じゃなくて、本人役ですか…」

千聖「まあ、アイドルをやっている以上、本人役もあるわね」

 

 千聖は冷静に対処するが、千聖本人は役者として様々な役をやってはいるが、本人役はほぼない。

 

飛鳥「で、どんなシチュエーションなんです?」

彩「その…仲の良い男子から『お金貸して』って言われた時どうするかって…」

 

 彩の言葉に飛鳥は困惑していた。

 

千聖「…あなた的にはどう?」

飛鳥「すいません…。家族や恋人はいいとして、女性にお金を借りるというのが男としてはあんまり宜しくないかなって…」

麻弥「ちなみに彩さんはどんな感じにするつもりですか?」

彩「え? お金は自分で稼がなきゃだめだよって…」

 

 彩がそう言うと、シーンとした。

 

日菜「なんて言うか…普通だね」

彩「ふ、普通!!?」

千聖「私としてもOKは出せないわ。彩ちゃん」

 

 千聖の女優魂に火が付いた。

 

麻弥「あ、それではこうしましょう。一旦ジブン達もやってみましょう! そうしたら彩さんもイメージがわくはずです!」

イヴ「わ、わかりました。ヒトハダ脱ぎます!!」

「脱ぎます!?」

「イヴちゃん、今脱ぐって言った!?」

 

 と、ヤラカシ軍団が現れて飛鳥は遠い顔をした。

 

日菜「飛鳥くん。これは男としてどう?」

飛鳥「お恥ずかしい限りでございます…」

 

********************

 

 まあ、そんなこんなで放課後。空き教室を使ってやってみることにした。

 

日菜「じゃああたしからやるね! 飛鳥くん男子の役やって!」

飛鳥「あ、はい」

麻弥「リアリティを上げるために、一丈字さんも本人役でお願いします」

飛鳥「分かりました。それでは普通にお金を借りる感じで行きますね」

麻弥「はい。それじゃアクション!」

 

*****

 

<日菜>

 

飛鳥「氷川先輩」

日菜「もーっ。日菜先輩って呼んでっていつも言ってるでしょ! で、どうしたの?」

 

 飛鳥と日菜が演技をする。

 

飛鳥「お金を貸してほしいんです」

日菜「お金? いくら欲しいの?」

飛鳥「1万円ほど欲しいんです。日菜先輩、アイドルですからお金持ってますよね? 貸してくださいよ」

 

 それを見て彩たちは「お芝居とはいえ、まあまあクズだな…」と思っていた。すると日菜はにっこり笑った。

 

日菜「いいよ」

飛鳥「そうですか! ありがとうございま…」

日菜「…でもさ飛鳥くん」

飛鳥「?」

日菜「本当にそれでいいの?」

 

 日菜の言葉に飛鳥は目を大きく開いて動揺すると、彩たちも引き込まれた。

 

飛鳥「…そうですね。私が間違っていました。忘れてください」

日菜「うん! 良く言った! それでこそ飛鳥くんだよ!」

 

 日菜が満面の笑みで飛鳥の方を抱いてそう言うと、演技が終わった。

 

麻弥「あの、演技も良かったですし、セリフも良かったんですけど…これ、サンド〇イッチマンさんとヒ〇シさんじゃないですか!!!」

日菜「でも、イメージ湧いたでしょ?」

麻弥「話をそらさないでください!!」

日菜「じゃあ今度麻弥ちゃんやってよ」

麻弥「え゛…」

日菜「前に飛鳥くんも言ってたでしょ。人に文句を言うときは、自分がやってみせないとダメだって」

 

 日菜の言葉を聞いて飛鳥、彩、イヴ、千聖は思った。日菜を敵に回してはいけないと…。

 

************

 

 そんなこんなで麻弥。

 

飛鳥「大和先輩」

麻弥「な、なんですか? 一丈字さん」

飛鳥「急で悪いんですけど、お金を貸してほしいんです」

麻弥「お金!? 家族じゃダメなんですか!?」

飛鳥「帰りの電車賃が無くて…」

麻弥「か、帰りの電車賃ですか…」

飛鳥「まあ、その気になれば数時間で帰れるんですけど…」

麻弥「いやいや! 数時間って大変じゃないですか! と、とにかくお金は貸しますので、明日返してくださいね!」

 

******

 

千聖「ちょっと待って。帰りの電車賃ってなに?」

飛鳥「いや、そこそこお金を貸してくれそうな理由でないと…」

彩「なんか途中からコントになってた気がするのは気のせいかな…?」

飛鳥「いやあ…あんまりギスギスするのも良くないなと思って」

日菜「前から思ったんだけど飛鳥くん。本当に頭いいよね。アドリブにしては切り返しもうまかったし」

 

 日菜が不思議そうに見つめると飛鳥は苦笑いしていた。一度正体がバレかけた事があるのだ。千聖もちょっと辟易していた。

 

 

麻弥「まあ、日菜さんはともかくジブンの奴を見て、少しは参考になりましたかね…」

彩「う、うん…。とにかく自分の気持ちを伝えることが大事だよね」

日菜「じゃあ今度は彩ちゃんやってみよっか!」

彩「う、うん!」

 

***************

 

飛鳥「丸山先輩」

彩「な、なあに? 一…飛鳥くん」

飛鳥「え、なんで言い直したんですか?」

彩「え? あ、ご、ごめん…」

飛鳥「まあいいです。お金貸してくれませんか?」

彩「え、お、お金? 何に使うの?」

飛鳥「いや、あなたにお金を借りてみたいだけなんです。すぐ返すのでいくらでも構いませんよ」

 

 この時、千聖たちは分かっていた。彩がどんなリアクションを取るのか試していると、彩も少し考えている様子だったが、すると彩は毅然な態度をとり、アイドルっぽく怒る。

 

彩「こらっ! 先輩をからかわないの!」

飛鳥「っ!」

 

 すると、彩が苦笑いした。

 

彩「そんな事しなくても、私は君の傍にいるよ。一緒に帰ろっ!」

 

***

 

飛鳥「今の良かったんじゃないですか」

日菜「うん。とっても良かった!」

 

 思ったほか大絶賛で彩本人も驚いていた。

 

千聖「まあ、強いて言うなら彩ちゃん。あなた先輩なんだからもうちょっと堂々としなさい」

彩「は、はい…」

イヴ「でも、これでイメージがつかめたんじゃないでしょうか!」

彩「う、うん。ありがとう皆!」

 

 と、無事に解決した。

 

日菜「…でもよく考えたら、千聖ちゃんとかお金貸してくれなさそうだよね」

千聖「そうね…」

 

 千聖もあっさり認めたが、

 

日菜「ちなみにどんな感じかやってみて!」

飛鳥「え…」

千聖「それはいいわね。一丈字くんの腕前を見せてもらいたいわ♪」

飛鳥(下手なことを言ったら殺される奴だ…)

 

 という訳でおまけ。

 

飛鳥「白鷺先輩」

千聖「貸さないわよ」

(やっぱり!!)

(ていうかこわい…)

 

 まあ、千聖も千聖で少々悪乗りをしていた事を麻弥は見逃さなかった。

 

飛鳥「まだ何も言ってないじゃないですかー」

千聖「いくらあなたでもお金は貸せないわ」

飛鳥「本当に貸してくれないんですか?」

千聖「まずそもそも何に使うの? あと、私が貸さないといけない理由はなに?」

(こわい)

(本当にアイドル?)

 

 千聖の圧に彩・麻弥・イヴが涙目で身を寄せ合っていた。

 

飛鳥「使う理由は帰りの電車賃で、あなたに貸さないといけない理由ですけど…貴女ならすぐに分かって頂けると思ったのですが」

 

 飛鳥も飛鳥で煽る。

 

千聖「…何かあったかしら?」

飛鳥「忘れたんですか? 此間美術の課題があって、私が代わりに作ってあげたじゃないですか!」

麻弥(そりゃ確かにお金貸してあげないといけませんけど、美術って!!!)

 

 千聖は絵がとてつもなく下手だったのだ。そして案の定千聖も怒髪天になっていた。

 

千聖「そうだったかしら…!?」

飛鳥「何をそんなに怒ってるんですか。東洲斎写楽に関するレポートの提出ですよ!」

千聖「と、とうしゅうさいしゃらく…?」

 

 いきなり分からない単語が出てきて、千聖が困惑していると、

 

麻弥「と、東洲斎写楽って…」

日菜「だれ?」

イヴ「江戸時代末期に活躍していた浮世絵師で、活躍したのはたったの10か月ですが、皆さんが良く知っているような浮世絵を描いた人です!」

 

 日本マニアの若宮イヴが興奮しながら解説していた。

 

飛鳥「忘れたとは言わせませんよ。その東洲斎写楽についての考証もやってくれないかといわれて…徹夜でやったんですよ」

(そりゃ確かにお金出さんとダメだわ…)

 

 すると千聖は苦悶の表情を浮かべていた。飛鳥の悪乗りがここまで酷かったとは思わなかったからだ。

 

飛鳥「…まあ、レポートの件は置いといて、本当に困ってるんですよ。明日色をつけて返すので、お金を貸していただけないでしょうか」

千聖「……!!」

 

 

 この後千聖がどうしたかはご想像にお任せします。

 

 

おしまい

 

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