「安心してくれ。敵はオレが倒した」
と、一人の男子生徒が、全校生徒の前で言い放つ。男子生徒の数m先にはいかにも怪しげの男が倒れていた。
「オレは皆を…この学園の平和を脅かそうとする奴は絶対に許さない!! これからもオレが守ってみせる!!!」
とか言ってるが、これが正しい。
「オレは皆(美少女たち)を…この学園の平和(とか言ってるけど美少女限定。男とNOT美少女は自分で何とかしろ)を脅かそうとする奴は絶対に許さない!! これからも(美少女たちは)オレが守ってみせる!!!」
あからさまに美少女たちに対してのアピールだった。
飛鳥「いてててて…」
一丈字飛鳥は転んでいて立ち上がって男子生徒を見た。実は先ほど倒れた男の相手をしていたのは飛鳥だったが、途中から男子生徒・檻主がやってきて突き飛ばされ、手柄を横取りされたのだ。
飛鳥(まあ、敵は倒されたし、いっか…)
飛鳥は檻主の強引さにあきれていたが、結果的に皆助かった為良しとした。
一瞬の静寂が起きると…ブーイングが鳴り響いた。
檻主「!?」
飛鳥「!?」
「ふざけるなー!!!」
「その子を突き飛ばしといて、何が守ってみせるよ!!!」
「どうせ女子達に良い恰好したいだけだろ!!」
「最低!!!」
と、檻主は断罪された。
檻主「な、何でだよ!! あいつを倒したのはオレなのに!! 一丈字がオレの足を引っ張ったのに!!」
飛鳥「……」
いや、普通に仲間を突き飛ばしている所を見て称賛する奴はいないだろ…と飛鳥は思った。実際に飛鳥の言う通り、自分達の為に一生懸命頑張ってくれていた人間を突き飛ばして、手柄を横取りした男を誰が称賛するだろうか。正直言ってバカとしか言いようがない。だが、この檻主は自分を中心に世界が回っていると信じており、自分の言う事は絶対。そして何をやっても許されると信じて疑わなかった。
だが、この男はチート無双というものをはき違えていた。例え何でもできる力をいれたとして、それが何をやっても許されるという事にはならない。それを言うなら、チート無双ではなく、自分が何やっても許される世界と、転生する前に言うべきだった。自分が何をやっても許される事と、チートを手に入れてその世界で無双する事は似ているようで全く違う。だから檻主が今のように断罪されるのは間違ってはいないのだ。
そして飛鳥も彼を見て呆れていた。本当のヒーローはわざわざ自分の手柄を見せびらかしたりはしないし、日頃から美少女には甘く、それ以外には厳しい彼の人柄を見て、誰が称賛するだろうか。今回の騒動であえて言うなら、『折角掴んだチャンスを知らないうちに自ら手放した』ようなものである。
どんなに力を手に入れても奢ってはいけないという師匠の言葉を思い出した飛鳥は、改めて自分は檻主のようにはならないと誓うのだった。
そして檻主は飛鳥を睨みつけると、
「飛鳥くーん!!!」
と、香澄たちがやってきた。Poppin’party、Afterglow、Pastel*Palettes、Roselia、ハロー、ハッピーワールド!の5バンドメンバー全員だった。
飛鳥(いや、多っ!!!)
檻主「オレを讃えに来てくれたんだな。おーい!! オレは無事…」
と、檻主が声を上げるが、香澄たちは檻主を通り過ぎて飛鳥の所に向かった。
香澄「飛鳥くん大丈夫!?!」
たえ「痛かったでしょ…」
飛鳥「あ、私は大丈夫ですよ」
と、Poppin’partyに囲まれて飛鳥は立ち上がると、檻主が歪んだ顔で飛鳥を睨みつけた。
檻主「おい!! あのバケモノを倒したのはオレだぞ! 何でそいつの方に行くんだよ!」
蘭「うるさい!!」
モカ「飛鳥くんを突き飛ばしといて、女の子たちから褒められると思ってたの~? 考えが甘いんじゃな~い?」
ひまり「最低」
巴「一丈字を突き飛ばさなかったら、素直に認められたんだけどなぁ」
つぐみ「……」
と、Afterglowが檻主を断罪した。
檻主「そいつが足手まといだったから…」
彩「足手まとい? あなたがいなくても一丈字くん一人で出来たんだよ!?」
日菜「そーだよ! 寧ろ飛鳥くんの邪魔して!」
麻弥「しかもケガさせるなんて…」
イヴ「ブシドーじゃありません!!」
と、千聖以外のPastel*Palettesも憤慨した。
友希那「ま、助けてくれた事には感謝してるわ。ありがとう」
檻主「……!!」
友希那が感謝の言葉を告げたが、心がこもっておらず、寧ろ皮肉気味に答えた。紗夜、リサ、燐子、あこも軽蔑した視線で檻主を見つめる。
友希那「行きましょ。バカがうつるわ」
と、飛鳥を連れて退散させようとすると、
「待てよ!!」
と、檻主が追いかけようとすると、飛鳥が前に出た。
こころ「飛鳥!!」
飛鳥「皆さんを連れて先に行ってください」
はぐみ「飛鳥くん!」
美咲「あいつの事なんかほっといて!」
飛鳥「いえ、あなた方が捕まる可能性があるので…」
檻主「何訳の分かんない事をゴチャゴチャ言ってやがるこのザコが!!」
と、檻主が襲い掛かると、
花音「ふぇえええ!!」
薫「一丈字くん!!」
飛鳥は檻主の動きを見抜いて、一瞬で地面に伏せさせた。
檻主「く、くそ…!! 離せ…!!!(何だ…!!? ち、力が出ない!!!)」
飛鳥「早く行ってください!!」
飛鳥の言葉に香澄たちが離れた。離れたのを確認すると飛鳥が檻主から離れた。すると檻主は飛鳥をこれでもかという程睨みつけた。
檻主「てめぇえええええ」
飛鳥「……」
飛鳥は何も言う事は無かった。
檻主「ぶっ殺してやる!!」
と、襲い掛かったが、飛鳥が一瞬で檻主を仕留め、気絶させた。
檻主「が…!!!」
檻主はそのまま倒れて、動かなくなった。
飛鳥「ハァ…やっと終わった」
飛鳥が汗をぬぐうと、倒れていた男を見た。
飛鳥「奴も回収しとかないとな…」
その時、歓声と拍手が降り注いだ。
飛鳥「?」
「よくやったぞ一丈字―!!!」
「お前こそが真のヒーローだ!!」
「檻主めいい気味だ!!」
「もう一発…いや、百発ぶちこんでやれ!!」
と、いつもは飛鳥の人気ぶりに嫉妬している男子生徒達も今回ばかりは飛鳥を絶賛していた。
飛鳥(まあ、オレも若干反則気味なもんだけどね…)
飛鳥は苦笑いして、一礼した。
「お見事だったわ。一丈字くん」
飛鳥「白鷺先輩」
千聖が現れた。そして24人のバンドガールズ達もいる。
飛鳥「お怪我はございませんか?」
千聖「ええ。あなたが本当の意味で守ってくれたもの。それにしても…」
千聖が檻主を見つめた。
千聖「可哀想な男(ひと)。本当の強さを知らないで虚勢を張り続けても空しいだけなのに」
飛鳥「…いつか、分かる日がくればいいんですがね」
飛鳥は叶いそうにもない願いをつぶやいた。
千聖「まあいいわ。帰りましょ。もうこんな所に用はないわ」
飛鳥「いえ、まだ後始末が…」
こころがやって来た。
こころ「それは黒服の人たちがやってくれるわ。飛鳥がやる必要はないのよ?」
飛鳥「あ、そう?」
すると黒服達が現れた。
「一丈字様。後始末は我々にお任せください」
「本当にお手数をおかけしました」
飛鳥「ありがとうございます。お気をつけて」
「はっ!」
飛鳥「あ、そうだ。檻主さんは…」
「…こちらで引き取ります。凄く嫌ですけど」
飛鳥(黒服の人たちにまで嫌われてる…)
千聖「もうゴミ捨て場にほっといて大丈夫ですよ?」
飛鳥「女優が何とんでもない事言ってくれてるんですか」
こころ「ダメよ! ゴミ回収業者の人が困るわ!!」
飛鳥「弦巻さん。あんなんでも一つの命だから」
千聖「とにかく帰りましょ。こんな薄汚い所からさっさと出たいの」
と、千聖が飛鳥の手を引っ張ると、こころも飛鳥達についていった。
その後、檻主は今回の騒動を盾にマウントを取ろうとしたが、全く相手にされなかったという。
おしまい