第55話
今回のお話は、アニメの主人公みたいにカッコつけたかったが、結局うまくいかなかったイタい男と、一丈字飛鳥の攻防戦(?)である…。
ちなみにバンドガールズは全員飛鳥側。
飛鳥「下手なハーレム小説よりも酷い…」
モカ「いいんじゃない? ダシマ劇場ってギャグがメインなんでしょ?」
飛鳥「うん」
そんなこんなで今回も物語が始まる…。
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(オレは面倒な事が大嫌いだ。面倒な事を避けて平凡に生きていたい。それでいいんだ)
…とか言ってるこの男の主人公は檻主次郎。先日、飛鳥に完全に打ちのめされて転生の神に元に戻されたエセチート・檻主太郎とは全く関係ない。
こうやって最近のアニメの主人公みたいに、何やらブツブツ心の中で言ってるが、全くの嘘で、本当は超モテたいと思っている。ハーレムを作りたいと思っている。可愛い女の子大好き人間だ。もしも香澄たちの誰かが、「もし正直に話してくれたら、脱ぎたての靴下をあげる」という誘惑をしたら、もう完全に変態丸出しで食いつくほどである。顔はイケメンである。まあ、何か最近のテンプレ主人公を性欲丸出しにした感じである。とにかく女に飢えているのだ。
だが、現実はこうである。
沙綾「一丈字くん。此間はありがとう。これ、お礼のパン」
飛鳥「え、宜しいんですか?」
沙綾「勿論」
モカ「あ、やまぶきベーカリーのパンだ~。モカにもちょうだ~い」
りみ(チョココロネ…)
と、別のクラスの男子生徒である一丈字飛鳥が、同じクラスで美少女の1人である山吹沙綾と話をしていたが、パンを直接貰っていた。そしてパンが大好きな青葉モカと、沙綾と同じバンドグループの牛込りみがやってきて、ハーレム状態を作っていた。
(本当はそこにいるのはオレなのに!!)
と、次郎は歪んだ表情で飛鳥を睨みつけていた。客観的に見てイケメンな彼だが、嫉妬している時の顔は完全に不細工丸出しであり、女子は完全に近寄らなくなった(彼の本性を知るまではイケメン扱いしていた)。彼女たちにとっては気の毒だが、これも社会勉強になっただろう。男だろうが女だろうが、人間は顔で決めてはいけないのである。
そんな不細工丸出しにしてる彼に、沙綾をはじめとする美少女たちも近づくはずがない。ましてや、沙綾やりみは彼と同じクラスである筈なのに、近づかないとなればもう学校としての立ち位置も危うくなっているので、ハーレムとか言ってる場合ではない。だが、この男にとっては、自分が頂点に立つ事、すなわちこの学校のメスは全て自分を称賛しなければならないという危険思想を持っている。本来であればもう1回で退学にすればよいのだが、それはそれで話が面白くない。これは誰かが言っていたが、面白い話は誰かの不幸で成り立っている。人の不幸は蜜の味ともいう。なんて残酷だろう。
だが、次郎がどれだけ飛鳥の事を嫉妬しても、女子達の評価は変わらない為、こうやって遠くから羨ましがる事しか出来なかった…。
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そんなある日のことだった。この学校の芸能人グループ「Pastel*Palettes」が今度全員でドラマに出演する事が決まったのだ。しかも撮影はこの学校で行われるため、大半の生徒達のテンションが高かった。
それだけでなく、何とPastel*Palettesのメンバーはドラマに出演するにあたり、練習に付き合ってくれる男性を探しているという噂があったのだ。
次郎(これはオレが目立ち、Pastel*Palettesをハーレムにするチャンスだ!!)
などと、どこかの戦闘民族が見ていたら、お前の姿はお笑いだったぜぇ? と言われるであろう。そりゃそうだ。人から嫌われている顔だけの人間が出しゃばるなんて、身の程を弁えろというのだ。
そしてこの男は何をしたかというと…。
次郎「イヴ!」
イヴ「な、なんですか…?」
次郎がPastel*Palettesのメンバーの1人であり、クラスメイトの若宮イヴに話しかけた。イヴは若干困惑気味である。イヴもまた、次郎の事はあまり好きじゃないのである。理由としてはただの女好きならまだ良いが、突然怖い顔をしたりするので、怖がっているのだ。以前、怖い顔をするのは飛鳥のせいだと次郎が弁明したが、飛鳥の事を信じ切り、実際に何回かパスパレを助けてくれた彼の事を悪く言う彼の姿に、流石のイヴも嫌になったのだ。
そんな嫌な相手に話しかけられて、イヴは嫌な予感しかしなかった。
次郎「劇の相手探してるんだって? オレがやってあげてもいいけど」
やってあげてもいいけど。こいつはどの口でそう言ってるんだろうか。相手は芸能人であり、学園のアイドルである。こんな態度で物事を言うなら、校舎裏に呼び出されてボコられるのがオチだ。どこまでも自分を過大評価し過ぎていた。
イヴ「ご、ごめんなさい…」
次郎「遠慮する事ないって。どうせまだ見つかってないんだろ?」
イヴ「いや、もう相手は…」
次郎「分かってるよ。オレだろ?」
と、イヴを困らせる次郎の姿に、クラスメイト達は段々苛立ち始めていた。その時だった。
「おーい、イヴちゃーん」
イヴと同じPastel*Palettesのメンバーである氷川日菜が現れた。イヴよりも1年上である。
イヴ「ヒナさん!!」
日菜「ドラマの練習相手、飛鳥くんがやってくれるって!」
イヴ「そうですか!!」
日菜の言葉にイヴがぱあっと表情を輝かせたが、次郎は信じられなさそうにした。
次郎「ど、どうしてオレじゃなくてアイツなんですか!」
日菜「え? みんな飛鳥くんがいいって言ってるし、るんってするから。それじゃ、宜しくねー」
イヴ「はーい」
と、日菜は去っていき、妙な空気になった。
次郎「なあ、イヴ! 考え直してくれよ!!」
有咲「いい加減にしろ!」
美咲「あんたしつこすぎ!!」
しつこく迫る耳郎を、有咲と美咲がぶっ飛ばした。
次郎「ちくしょおおおおおおおお!!! 何でこうなるんだよぉおおおおお!!!」
と、次郎は泣き喚くが、皆あきれるばかりだったという。
おしまい