全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第317話「人生に王道はない」

 

 バンドリ学園。この学校はガールズバンドがとても有名な学校なのであるが…。

 

 

有咲「い、一丈字…その…//////」

美咲「一丈字くん。あのさ…//////」

友希那「飛鳥。Roseliaのクリスマスパーティに参加してほしいのだけど」

イヴ「アスカさん! クリスマスはパスパレと一緒にいてください!」

ひまり「い、一丈字くん!!」

 

 一丈字飛鳥という少年がそのガールズバンドにクリスマスパーティに誘われていた。こんな展開はフィクションでなければありえない話だった。

 

「な、なんでだ…!!」

 

 そんな中、一人の少年が驚きを隠せなかった。というのも、この少年はこの世界の人間ではなかったのだ。

 

*********************

 

 そう、この世界はアニメ「Bang! Dream」の世界であるのだが、諸事情により設定が異なっているのだ。元々バンドガールズは花咲川と羽丘の2校に分かれていたのだ。だが、ハーレムものを書くにあたり1校に統一されている。

 

 そしてこの男は『転生者』なのである。最近の漫画や小説でよくあるトラックにひかれたり、事故にあって死んでしまった奴が神様の力を借りて、新しい世界で生まれ変わったりして、いろいろ活躍する人間だ。

 

 だが…。

 

「まず女にモテるのはマストで、顔もイケメンにしてね。あと、体は屈強で。マッチョすぎず普通よりも筋肉質ね。あと頭もよくて金持ちで、家族だけど、男とブスはいらないから。そうだな。妹だな! とてもけなげで従順の。それから…」

 

 悲しいことにこの少年は死ねば異世界転生できると考えていて、創造と現実の区別がつけられていない悲しき陰キャである。これでは陽キャに馬鹿にされてもおかしくはなく、しゃべってる時もとても早口だった。話を聞いている老人が困惑するほどである。

 

「あのー…」

男「あ? なんだよ」

「異世界転生とかないから。普通にあの世に行ってください」

男「はぁ!!? なんでだよ!!」

 

 文句を言いたいのはこっちだと老人は思った。男は顔を真っ赤にして怒っていたが、その怒っている顔は本当に滑稽そのものだった。

 

男「死んだら異世界転生出来るんじゃねーのかよ!!」

老人「あのさ、嫌なことがあったからって、自分から命を絶った奴にそんな楽をさせると思うか?」

男「そんなことはどうだっていいんだよ! オレの願いかなえろや!」

老人「周りの奴も悪いかもだけど、結局お前も努力しなかったやん。それで楽して女にモテようとか馬鹿なの?」

男「うるせぇな! オレだってこんな顔じゃなかったらあんなことになってなかったんだよ!」

 

 男が地団駄を踏んだが、正直みっともないったらありゃしなかった。

 

老人「うるせぇ。さっさと行け」

 

 そういって老人が手をかざすと、男は消えた。

 

********************

 

 天国

 

老人「…なんでさえないやつ程、異世界転生したがるかなぁ」

 

 老人は同僚と話をしていたが、同僚もうんざりした顔をしていた。

 

同僚「それだけ現実の世界にうんざりしてたんだろう。男も女も考えることは一緒。自分を美形にしろ、最強にしろ、イケメンもしくは美人の恋人を用意しろ。環境には同情できなくはないけど、それでも少しは自分で努力しろって話だよな」

老人「それな」

 

 そういって老人は暇つぶしに下界が見える水晶玉で下界の様子を見ていたが、ひとりの少年が目に映った。その少年こそが一丈字飛鳥である。

 

老人「ええこと思いついた」

同僚「え?」

 

 そして老人は飛鳥をスカウトして、あの冴えない男たちに如何に努力している人間と努力してない人間に差があるかを思い知らせようとしていた。

 

*********************

 

飛鳥(だからってハーレムにせんでも…)

 

 飛鳥としてはただ悪徳転生者からヒロインたちを守るように指示を受けていたのだが、ヒロインたちが自分に恋心を寄せてしまったのだ。はっきり言ってちょっと帰りづらいと思っている。

 

転生者「な、なんでだよ! オレのほうが顔もよくて金持ちだし頭もよくて強いのに!!」

 

 転生者は憤慨していたが、飛鳥はそれを見て呆れていた。

 

飛鳥(…この人たちの中にもお金持ちがいて、皆がいいし、頭良い人いるし、強いよ)

 

 完全に自分さえ良ければいいと考えている転生者に対して、飛鳥は静かに目を閉じた。

 

麻弥「あの、一丈字さん。無理なお願いなのは承知なのですが…」

飛鳥「え、ええ…。一度に5グループもお誘いを受けているので、どうしようかと…」

 

 飛鳥がそう言い放ったその時、

 

転生者「おい!」

飛鳥「?」

 

 転生者がずがずがと飛鳥のところにやってきて、胸ぐらをつかんだ。

 

転生者「ちょっと面貸せ」

飛鳥「……」

 

 転生者の言葉に飛鳥が困惑すると、

 

紗夜「いきなりなんですか?」

日菜「邪魔しないでほしいんだけど」

 

 紗夜と日菜が割って入ると、転生者が青筋を立てた。

 

転生者「オレはこいつに用があるんだよ。いいから来い!!」

 

 転生者が飛鳥を連れて行こうとしたが、皆が転生者を冷めた目で見ていた。

 

転生者(くそう!! なんでだよ!! なんで皆オレをそんな目でにらみつけるんだよ!!)

 

 転生者としては、突然神様からアニメの世界に転生できるようになったので、そのテスト生を募集され、嬉々としながら応募して見事「バンドリ」の世界に入ることができた。

 

 だが、そこで待っていたのは過酷な現実で、イケメンにしてもらい、チート能力を手に入れたものの、女性にモテるという機能は供えられておらず、転生者が無駄にかっこつけたり、人を見下した態度をとり続けた結果、バンドリのヒロインたちはおろか、皆が離れて行ってしまったのだ。

 

 それとは逆に、飛鳥は分け隔てなく接して、顔がよかろうが悪かろうが、困っていれば人助けして、それを自分一人の手柄にせず、仲間と助け合ってきた結果、たくさんの人たちからの信頼を得ることができ、最終的にヒロインたちが好意を寄せるようになったのだ。

 

 これが神が言っていた『努力をせずに楽をし続けた人間』と、『苦労をしても努力をし続けた人間』の差である。

 

 未だに自分の非を認めようとしない転生者は、この先も誰からも愛されることのない人生を送ることになるのだった。

 

飛鳥(こっちもこっちでどうしようなんだけどね…)

 

 

 

おしまい

 




cast

一丈字 飛鳥

市ヶ谷 有咲
上原 ひまり
大和 麻弥
若宮 イヴ
湊 友希那
奥沢 美咲

転生者

神様
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