第12話「香澄の桃太郎・1」
ある日のバンドリ学園。放課後、飛鳥達が食堂の特別スペースで集まっていた。バンドガール25人と飛鳥がいた。
こころ「黒服の人が面白いものを持ってきてくれたの!!」
と、こころがいかにも怪しげな装置を持ってきた。大半の生徒が困惑していた。
はぐみ「こころん! それ、なーに?」
こころ「この装置を寝ている人の頭に嵌めて、ケーブルをテレビにつないだら、その人が見ている夢を見る事が出来るの!!」
「弦巻家一体何者!!?」
こころの発言に大半の生徒が驚愕していた。
こころ「皆にも見せてみたいんだけど…」
美咲「いやあ、そんな都合よく寝てる人なんか…」
と、美咲が苦笑いしながら横を見ると、香澄が爆睡していた。
「おったぁ!!!」
有咲「香澄の奴、夜更かししてたからなぁ…」
こころ「丁度いいわ!!」
美咲「いや、ちょ…」
有咲「人が話してる途中で寝てる香澄が悪いんだ」
有咲も思った他ノリノリで、こころが香澄の頭に装置をはめ、いつの間にか用意していたモニターにケーブルを差し込むと、映像が映し出された。
――――
『昔々ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました
『なんか昔話始まっちゃった!!!』
ナレーションの言葉を聞いて、有咲達が突っ込むと、モニターにおじいさんとおばあさんが映し出された。おじいさんが有咲でおばあさんが香澄だった。
有咲「何で私がおじいさん役なんだよ!!」
沙綾「ていうか自分がおばあさん役って…」
たえ「じゃあ私とりみと沙綾がお供?」
りみ「あはは…」
たえ「そういやナレーションまりなさんだ」
有咲が憤慨し、沙綾とりみは苦笑い。たえは冷静に分析していた。
ナレーション(まりな)「おじいさんは山へ芝刈りに」
有咲(夢)「何で私がこんな事を…」
夢の中の有咲はめんどくさそうに山で芝刈りをしていた。
まりな(夢)「おばあさんは家で洗濯をしていました」
香澄(夢)「はー。楽ちーん」
有咲「ずるいぞ!!!」
と、夢の中の香澄は自宅で洗濯機を回してゴロゴロしていて、有咲に突っ込まれていた。
有咲「おかしいだろ!! 何で昔話なのに洗濯機があるんだ!!! 電気代とかどうしてんだよ!!」
沙綾「まあ、香澄らしいと言えば香澄らしいね」
りみ「そ、そうだね…」
有咲が抗議するが沙綾とりみは苦笑いするしかなかった。他のバンドグループも同様だった。
まりな(夢)「しばらくして、洗濯が終わりました」
香澄(夢)「よーし! 終わったら遊びにいこーっと!」
と、香澄(夢)は洗濯物を適当に干して、出かけていった。
沙綾「ああもう本当に適当だし…」
有咲「嫁の貰い手あるかなー」
モカ「いそうな人を一人知ってるけど…どうなのかなー」
飛鳥(なんか嫌な予感がする…)
場面が切り替わって、夢の中の香澄が川の水面に向かって石を投げて遊んでいた。
まりな(夢)「おばあさんが川で遊んでいると、川の上流からどんぶらこどんぶらこと…桃が流れるという事はなく、一人の少年が向かい側の道を歩いていました」
「いや、何でだよ!!!」
「いや、原作そのままにしたら色々マズい気が…」
「ていうかあの少年って一丈字くんじゃない!?」
飛鳥「あ、私モブですか…」
まりな(夢)「いいえ? あなたが桃太郎です」
「何で会話通じとんねん!!!」
まりなの言葉に有咲達が突っ込んだ。そう、映像のナレーションと現実世界にいる人間が会話をするのはまずありえないのだが…。まあ、それは御愛嬌という事でお願いします。
まりな(夢)「そう。この一丈字飛鳥くんこそが今回の主人公「桃太郎」なのです!! 名前は飛鳥なのですが、彼の故郷で桃の大食い大会で38個食べた事から「桃太郎」という異名が付き、そしてそれが広まり、遂には本名を忘れられがちになってしまうという悲しい過去を持っているのです!!」
「いや、絶対後半の設定要らないよね!!?」
「桃太郎そういう話じゃないから!!!」
と、バンドガールがツッコミを入れた。
沙綾「何か凄くまりなさんが自由過ぎて新鮮…」
たえ「前のシリーズ、最終回しか出番無かったからじゃない?」
まりな(夢)「たえちゃん。あまりそういう事言わないで…」
ナレーションのまりなが苦しそうに言った。
まりな(夢)「そんな桃太郎とおばあさんが遭遇しましたが、特に話しかける事はなく、桃太郎はそのまま村の人たちを困らせるという鬼退治へ出かけていきました」
「あ、そういうストーリーなのね…」
と、皆が納得した。
香澄(夢)「ええっ!!? 私の出番もう終わり!!? ねー!! ちょっと待ってよー!!!」
香澄(夢)が声をかけると、飛鳥(夢)が逃亡した。
有咲「まあ、そうなるな…」
まりな(夢)「桃太郎は鬼退治に出かけるにあたって、お供を連れていくか悩みましたが、手に持っていた黍団子一つで仲間になるなんて今どきありえないと考えていたので、一人で行く事にしました」
「ええっ!!?」
「ちょっと飛鳥くん!!」
飛鳥「いや、私に言わないでくださいよ…」
夢の中の自分の行動に責められる飛鳥。飛鳥としてもどうしろというのが本音である。
飛鳥「それでしたら、あなた達は黍団子一つで、命をかけて戦いますか?」
「戦わない」
飛鳥「ですよね」
まりな(夢)「そんな時、一匹の犬と出会いました」
りみにそっくりな犬である。
りみ「も、もしかして私…?」
日菜「かわいいー!!!」
紗夜(かわいい…//////)
まりな(夢)「犬はとてもお腹を空かしていて、桃太郎は犬を見ました」
飛鳥(夢)(そういや…犬って黍団子食べるかな…)
夢の中の飛鳥は現実的に考えた。
飛鳥(夢)(ドッグフードもなさそうだし、やっぱり骨とか生肉の方が良いのかな。黍団子じゃどうにもならないな…)
まりな(夢)「そう考えていると、桃太郎もおなかをすかしました」
飛鳥(夢)「そういやオレも全然食べてなかったな…。そういや次の村でパン屋があるからチョココロネでも食べるか…」
有咲「いや、何でだ!!!」
まりな(夢)「桃太郎が放ったチョココロネという単語に犬が反応し、桃太郎の前に立って尻尾をふりふり立てました」
りみ「……///////」カァァァ
男性の前でおすわりをしていたので、りみは顔を真っ赤にして俯いた。
飛鳥(夢)「…チョココロネ。食べたいの?」
りみ(夢)「わんっ!」
りみ「み、見ないでぇ~!!!!///////」
りみが飛鳥の前に立って飛鳥の両眼を塞いだ。
つづく