『もしも千聖からデートに誘われたら』
ある日のことだった。飛鳥が教室の自席でぼーっとしていると…。
「一丈字くん」
Pastel*Palettesのベース担当である白鷺千聖がやって来た。千聖の登場にクラスメイト達は勿論、廊下にいた男子生徒達は驚いていた。
飛鳥「あれ? 白鷺先輩…」
飛鳥も千聖の姿を見て驚き、席から立ち上がった。
飛鳥「どうされました?」
千聖「今日の放課後暇?」
飛鳥「あ、ごめんなさい。学校終わったらすぐに郵便局に行かないと行けなくて…」
千聖「それってすぐに終わる用事?」
飛鳥「一時間はかかりますね」
千聖「郵便局で一体何するつもりなのかしら?」
飛鳥「親に荷物送るんですけど、ちょっと手続きが必要でして…」
飛鳥が苦笑いした。
千聖「それなら仕方ないわね」
飛鳥「申し訳ありません…」
千聖「それなら明日はどうかしら?」
飛鳥「空いてますけど…どうされたんですか?」
千聖「ちょっと買い物に付き合って欲しいんだけど」
千聖の言葉に皆が驚いた。
飛鳥「私ですか?」
千聖「あなた以外に誰がいるのよ」
飛鳥「Pastel*Palettesの皆さん」
千聖「そうね…。だけど、ちょっと男性の意見も聞きたいのよ」
飛鳥「それでしたら私以外にも適任者が沢山いる筈では…」
「そうだよ!! 僕達がいるじゃないか!!」
と、ファン軍団が現れた。
飛鳥「何かご不満でも?」
千聖「最初は彼らでも良いかと考えたんだけど、やっぱりあなたにお願いしたいの。この際、一時間待ってもいいわよ?」
飛鳥「そんなにですか?」
千聖の言葉に飛鳥が反応すると、ファンの男子たちが騒いだが、聞きつけた先生達に取り押さえられていた。
で、結局千聖に一時間待って貰って、飛鳥は郵便の手続きを行う事にした。
飛鳥「お待たせしました」
千聖「…ええ」
飛鳥の様子を見て千聖は困惑していた。飛鳥が郵便局員と手続きをしているのを遠くから見ていたが、高校生であそこまで出来るか? と疑問に思っていた。
千聖(…やっぱり、この子普通じゃないわ。高校生にしては)
飛鳥(…やっぱり気づきかけてるな。白鷺先輩も芸能人だから、ある意味似たような環境に置かれると、やっぱり影響大きいんだろうなー。何とか誤魔化そ)
千聖の表情を見て、飛鳥は自分の正体がバレかけている事に気づいた飛鳥。まあ、バレたところでどうもこうもしない為、様子を見る事にした。
そんなこんなで千聖の用事に付き合う事になった飛鳥。タクシーで移動していた。
飛鳥「タクシー何て豪勢ですね」
千聖「仕方ないわよ。この時間帯、電車やバスなんかに乗ったら混乱するわよ」
飛鳥「ですよね」
千聖は飛鳥を見た。
千聖(…私が芸能人でも慣れたようにしてるわね)
飛鳥(芸能人が相手ってどのように接するのが正解なのかな…)
こういう場合、2パターンに分かれる。1つ目は普通に芸能人だのアイドルなど、特別な目で見るか、2つ目は漫画の主人公みたいに馴れ馴れしくするか。だが、飛鳥の場合は芸能人だと特別な目で見ていても、実際は普通の先輩や同級生のように接する。
千聖(不思議な子。今までこんな男の子なんかいなかったわ)
千聖が飛鳥をじっと見つめていた。千聖の周りには自分と同じ男の子役や、俳優もいたが、飛鳥のような人間はいなかった。
そして目的地に到着して、飛鳥と千聖はタクシーから降りて、そこからちょっと歩いた。
飛鳥「どちらへ行かれるんですか?」
千聖「あそこのカフェよ?」
飛鳥と千聖がカフェの方に向かって歩いていたが、カップルがいっぱいいた。
飛鳥「…見事にカップルが多いですね」
千里「ええ、そうね」
飛鳥が苦笑いすると、千聖はいつも通りだった。
飛鳥「時間大丈夫ですか?」
千聖「私は大丈夫よ。あなたは?」
飛鳥「私は大丈夫ですけど…。週刊誌とかが大丈夫じゃないですね」
千聖「気にしなくて大丈夫よ。うちの事務所、割と自由だから」
飛鳥「そういう問題じゃないでしょ」
千聖の言葉に飛鳥がまた苦笑いした。
千聖「何かあったら、私を守ってくれるんでしょ?」
飛鳥「ええ、それはそうですけど」
飛鳥はごく自然にそう言うと、千聖がちょっと照れた。
千聖「そ、そう…//」
飛鳥「何照れてるんですか」
千聖「て、照れてないわよ! とにかく行くわよ!」
飛鳥「あ、はい」
飛鳥と千聖が一緒に並ぶことになったが、飛鳥はいたって平然としていて、千聖がちょっと複雑そうにしていた。
千聖「ねえ、一丈字くん」
飛鳥「何ですか?」
飛鳥が千聖を見た。
千聖「…あまり自分で言いたくはないのだけど、私、女優よ?」
飛鳥「ええ、存じておりますが」
千聖「もう少し緊張とかしないのかしら?」
飛鳥「そりゃあ緊張してますよ」
千聖「全くそのようには見えないんだけど…」
飛鳥「いやあ、緊張しすぎてもう周りにいる人たちが、急に襲い掛かって来るんじゃないかって」
飛鳥が周りを見渡すと、千聖はあっけにとられて、クスッと笑った。
飛鳥「何か面白い事言いました?」
千聖「いや、あなたって本当に面白いわね」
飛鳥「何故か言われるんですよねー。なんででしょう」
千聖の言葉に飛鳥が不思議そうにしていた。
暫くして、店内に入る事が出来た飛鳥と千聖。
飛鳥「やっと入る事が出来ましたね」
千聖「ええ。そうね」
千聖が神妙な顔をした。
飛鳥「どうされたんです?」
千聖「ごめんなさい。実はあなたにお話があって、ここに連れてきたの」
飛鳥「話?」
千聖が飛鳥を見つめた。
千聖「こころちゃんから聞いたのよ。貴方の事」
飛鳥「何をです?」
飛鳥があっけらかんとした。
千聖「いい加減教えて貰えるかしら? あなたの本当の事を」
と、千聖が飛鳥をじっと見つめると、飛鳥が反応した。
飛鳥「あー…遂にバレましたか」
飛鳥が目を閉じた。
飛鳥「ええ。実はあなたに隠していた事があるんですよ。弦巻さんから聞いたんですね」
千聖「ええ…」
飛鳥「すみません。『ママはロボット』っていうドラマのDVDを彼女から借りてました」
千聖「…は?」
飛鳥が頭を下げて謝ったが、自分が予想していた内容と全く違っていた為、千聖は唖然としたし、よりにもよって、自身が黒歴史としているドラマのDVDを借りていた事が分かり、唖然としていた。
飛鳥「白鷺先輩が黒歴史とされていたとの事ですが、どうしても気になってしまい、弦巻さんからお借りしました」
千聖「そ、そう。出来ればもう見ないで欲しいんだけど…」
飛鳥「あ、はい」
千聖は冷静さを取り戻した。
千聖「まあいいわ。こうなったら…」
その時だった。
「あー!! 千聖ちゃんだー!!!」
と、日菜と彩がやって来た。
千聖「ちょ、ちょっと日菜ちゃん!!」
飛鳥「……」
Pastel*Palettesのメンバーが3人いる事が分かり、店内がパニックになってしまった。
飛鳥と千聖は早々と去っていった。
ちなみにどさくさに紛れて飛鳥が超能力を使って、千聖の記憶を消したため、バレる事はなかった…。
飛鳥(ありがとう。氷川先輩…)
おしまい