それはある日のことだった。
飛鳥「…すみません。今、何て言いました?」
千聖「私達Pastel*Palettesのマネージャーになって欲しいの」
飛鳥「ごめんなさい」
「えーっ!!!?」
バンドリ学園の食堂で飛鳥はPastel*Palettes全員からマネージャー就任の要請が出た。
千聖「それなりに報酬は弾むわよ? 待遇だって破格にさせるし」
飛鳥「フリーでいたいんですよ。業務提携ならまだ分かりますが」
彩「いや、部活とか入ってないし、いいかなって思ったんだけど…」
飛鳥「こう見えて色々やってるんですよ」
日菜「どんな事?」
飛鳥「賞金稼ぎとか、技術のスキルアップとか、鍛錬とかいろいろです」
麻弥「…色々やってるんスね」
飛鳥「まあ、若宮さんで言う所の武者修行という奴ですね」
イヴ「ムシャシュギョー!! た、確かにマネージャーをやっている暇はありませんね…」
千聖「それじゃシフトでいいわ」
飛鳥「そういう訳にも行きませんよ。今やあなた達も売れっ子なんですから」
と、飛鳥は毅然とした態度で断った。
彩(千聖ちゃんが言ったとおりだ…)
日菜(飛鳥くん。真面目だからな~。でもこのままだと…)
千聖(他のグループに取られてしまうわ。Roseliaやこころちゃんに)
麻弥(一丈字さんの気持ちも分からなくはないっすけど…)
イヴ「アスカさん」
イヴが口を開いた。
飛鳥「何ですか?」
イヴ「今日空いてますか?」
飛鳥「どうされました?」
イヴ「ヤマトダマシイについて、教えて欲しいです!」
「!!?」
飛鳥「大和魂?」
イヴ「アスカさんにはそれがひしひしと伝わります!」
飛鳥「…そんな大したものではございませんよ。剣道だってちゃんとしたルールも知りませんし」
と、話をし始めると、他の4人がヤキモチを妬いた。
日菜「イヴちゃんだけずるいよー! あたしともお話ししよ!?」
彩「私ともお話しようよ!」
麻弥「一丈字さん、機械に詳しいって聞きましたよ!」
千聖「……」
と、飛鳥はPastel*Palettesとずっと話をしていた。
「一丈字の野郎…!!」
「パスパレとあんな親しげに…」
「羨ましい~~~~~~~~~!!!!!」
「ファンをやめたいっていうけど、やっぱり可愛いんだよ~~~~~~~~!!!!」
男子生徒達の嫉妬を買って、飛鳥はげんなりしていた。
千聖「ほっときなさい。言わせておけばいいのよ」
飛鳥「!!?」
彩「確かにファンの人たちには申し訳ないと思ってるんだけど…」
日菜「飛鳥くんとお話しできなくなるなんて嫌!」
麻弥「まあ…ジブンはそんなに可愛い方ではないので…」
イヴ「そんな事ないですよ!」
と、遠回しにファンを否定していて飛鳥は困惑していた。
******************
そんなある日の事だった。
日菜「飛鳥くん!」
日菜が飛鳥の教室を訪ねてきた。
飛鳥「どうされました? 氷川先輩」
日菜「日菜!!」
飛鳥「いや、他の人もいますし」
日菜「今度パスパレで打ち上げがあるんだけど、飛鳥くんも来て!」
飛鳥「…いつですか?」
日菜「今度の土曜日!」
飛鳥「土曜日か…」
飛鳥が困惑した。
日菜「都合悪いの?」
飛鳥「勉強会があるんですよ。あこさんが赤点取ったらしくて、このままだとバンド禁止になる可能性があって助けて欲しいって」
日菜「あ、それだったらあたしも行っていい?」
飛鳥「打ち上げどうするんですか」
日菜「休む!」
飛鳥「いや、アイドルとしてどうなんですか!」
どこまでもマイペースな日菜に飛鳥は思わずツッコミを入れた。
日菜「そんな事言って勉強会が終わったら遊ぶんでしょ」
飛鳥「ありませんよ。本当にRoseliaのバンド活動がかかってるので、白金先輩も今回は心を鬼にすると言ってました」
日菜「飛鳥くんがいればやる気出るってあこちゃんが言ったんでしょ」
飛鳥「……」
飛鳥が困惑する。
飛鳥「まあ、そういう訳なので打ち上げは参加できません」
日菜「じゃあ明日あたしと…」
「日菜ちゃん?」
日菜「!!?」
日菜が後ろを振り向くと、千聖たちがいた。
千聖「何一人だけ抜け駆けしようとしてるのかしら?」
飛鳥「いや、本人の目の前で何言ってるんですか」
日菜「えー。千聖ちゃんだってしようとしてたくせに」
千聖「……」ピキィ
日菜の言葉に千聖の額に青筋が立った。彩、麻弥、イヴが青ざめる。
千聖「でも安心して。打ち上げだけど日曜日に延期になったから」
飛鳥「えっ」
日菜「それじゃ飛鳥くん来れるね!」
飛鳥「そりゃあ来れますけど…」
千聖「お休みしたいなら、私に考えがあるわ」
飛鳥「え?」
千聖「私が膝枕してあげるわ。そこで寝なさい」
飛鳥「何かありました?」
千聖の言葉に飛鳥が突っ込むと、皆が驚いた。
「あ、あの白鷺千聖が膝枕…」
「やって貰おうと思えば数十万は払わないといけないとされる…」
飛鳥「すみません。流石にお金は…」
千聖「取ってないし、タダよ」
「!!?」
飛鳥が更に驚いた。
千聖「アイドルが膝枕するのよ?」
飛鳥「ファンに刺されそうですね…」
彩「うーん…」
彩が苦笑いした。
「待てーい!!!」
と、毎度おなじみファン軍団が現れた。
飛鳥「思ったんですけど、パスパレってそういうファンサービスとかは…」
彩「流石にしてないよ」
麻弥「ええ…」
「千聖ちゃんの膝枕だとぉ!!?」
「一体何をしたらそうして貰えるんだぁ!!」
飛鳥「なんででしょうね…」
千聖「思いだして。あなた今まで私達を助けてくれたじゃない」
「そんなのご都合主義だろうが!!」
「お前の力があったらオレだって!!!」
千聖「それはどうかしら?」
「!!」
千聖「仮に彼と同じ能力があったとしても、殺されるかもしれないという恐怖に勝てるかしら?」
千聖の言葉にファンが驚いた。
千聖「確かに能力は凄いかもしれないけど、彼の凄い所はそれだけじゃないの。犯罪者に立ち向かう勇気と、恐怖に対して屈する事が無い精神力、そして前に出過ぎず常に人を思いやる謙虚さ、優しさ。それでいて現状に満足することなく成長し続けようとする姿勢。貴方達にはそれがあるかしら?」
千聖の言葉にファンたちは何も言えなかった。
千聖「それに、何も知らないで人の事を悪く言ってるあなた達とこの子じゃ扱いも違うわよ。行きましょ」
飛鳥「いや、あのどこに…」
日菜「あー!!!」
千聖が飛鳥をどこかに連れていこうとすると、日菜達も続いた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!」
ファン達は泣きわめいた。
おしまい