全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

27 / 487
元ネタ:美味しんぼアニメ第7話「炭火の魔力」


第68話「炭火の魔力・1」

第68話

 

 ある日のことだった。

 

「ふざけんじゃねぇーっ!!」

 

 と、一人の男が商店街で暴れていた。周りにいた通行人たちは彼に怯えている。そして飛鳥が通りかかった。

 

飛鳥(何だ!?)

 飛鳥は異変に気付いて、超能力で男を眠らせて、走って男に近づいた。

 

飛鳥「大丈夫ですか!? しっかりしてください!!」

「くーくー…」

 

 眠らせたのは飛鳥自身だが、周りに怪しまれないようにわざと男に声をかけた。

 

「どうしたの!!?」

 と、はぐみがやって来た。

 

飛鳥「北沢さん! 警察を呼んで貰えますか。私がこの人を見ますので」

はぐみ「わ、分かったよ!!」

 そう言ってはぐみは警察を呼びに行った。

 

飛鳥「しかし何でこんな事を…」

 と、飛鳥がふと横を見ると、何かが落ちている事に気づいて、飛鳥は超能力で調べた。ちなみに直接触ったりすると、警察の捜査の邪魔になる為である。

 

飛鳥(ウナギ包丁…?)

 飛鳥が男を見つめていた。

 

 後日、飛鳥は事情聴取のために警察に連れていかれた。

 

「いやあ、まさか大阪府警の神楽さん(飛鳥の親戚、警察官が多い)所の坊主が解決するたぁ、大したもんだ!!」

 

 と、高笑いする中年の男は松永。警部である。

 

飛鳥「どうも…」

 飛鳥もちょっと困惑気味だった。そして飛鳥の向かいには暴れていた男が座っていて、俯いていた。

 

「その…」

飛鳥「?」

「先日はご無礼を働き、申し訳ございませんでした!」

飛鳥「あ、別にいいですよ私は…。ただ、壊したものとかは…」

「はい…。それは責任もって弁償致しますが、あなたにも何てお詫びをすれば良いか…」

 男の名前は小塚であり、暴れていた時とは打って変わって大人しい性格だった。

 

飛鳥「…お詫びは構いませんが、何があったか教えて頂けませんか?」

小塚「それが…」

 

 小塚は商店街の中心部にあるうなぎ屋「あだきや」で働いており、主任的存在であったが、父親から後を継いだ二代目とうなぎの作り方について対立し、追い出されてしまったのだ。

 

飛鳥「…ウナギをガスで?」

 飛鳥は喧嘩よりもウナギの作り方が気になっていた。

小塚「はい…。二代目はよりお客さんをさばき、提供までにかかる時間を減らそうと、ガスを使おうとするんです」

飛鳥「技術があれば問題ないと思いますけど…」

小塚「…ですが、二代目は経営の事ばかりで、ウナギの作り方なんて全くわかってない。店がつぶれるなんて時間の問題ですよ。今まで来てくださってたお客様が離れていくのは目に見えてます!」

 と、小塚は頭を抱えた。

 

飛鳥「…分かりました。ただ、それでああやって大暴れしてよいという理由にはなりませんよ」

小塚「それは仰る通りです。私は結果的に、あだきやの名前に傷をつけてしまった。もうこの手から身を引く事にします」

 小塚の言葉に松永が激怒した。

 

松永「ざけんじゃねぇ!!」

「!!?」

 松永が机をたたいた。

 

松永「自分のやり方を拒否されたくらいで、すぐに諦めんのか!? ああ!? てめぇそれでも男か!!」

飛鳥「いや、松永警部。実際に器物破損で…」

松永「そりゃそうだ。本来ならすぐに豚箱行きだが、どうもすぐに諦めようとするこいつの根性が気に食わねぇ」

飛鳥「えっ」

 飛鳥が驚いた。

 

松永「暫くはオレが面倒を見てやる」

飛鳥「ええっ!?」

小塚「そ、そんな!」

松永「どうするんだ? このまま二代目に好き勝手やらせて、あだきやの味が綺麗さっぱりなくなるか、てめぇのプライドを捨てて、あだきやの味を守り抜くか。どっちか選べ!!」

小塚「……!!」

飛鳥「……」

 

 こりゃあ大事になって来たぞ…と飛鳥は考えた。

 

 警察署から出た後、飛鳥は困惑していた。

 

飛鳥「はぁ…」

 

 結局松永にも協力させられる事になった飛鳥は、どうすれば良いか迷っていた。

 

 すると、

 

「一丈字様」

飛鳥「!?」

 

 弦巻家の黒服達が出迎えていた。

 

飛鳥「お疲れ様です。如何なされましたか?」

「こころお嬢様がご心配されておりました。ご同行をお願いします」

飛鳥「あ、はい…」

 

 飛鳥は車に乗って、こころが待つバンドリ学園に向かった。

 

 バンドリ学園。飛鳥が来るや否や、生徒達が驚いた顔をしていた。

 

飛鳥「すっかり有名人になっちまったぜ…」

黒服「ご安心ください。一丈字様の計画が順調に進めるよう、我々もサポートして参りますので」

飛鳥「…もしかして、全部知ってます?」

黒服「勿論でございます。盗聴させて頂きました」

飛鳥「そ、そうですか…」

 

 飛鳥はツッコミを放棄した。

 

「飛鳥!!」

 

 こころが出迎えたが、後ろに大勢のバンドガールズがいた。

 

飛鳥「わあ」

香澄「聞いたよ!? 警察に捕まったって!!」

飛鳥「私じゃございませんよ」

はぐみ「それはそうと、小塚さんどうなるの!!?」

飛鳥「あれ? お知り合いだったんですか?」

 飛鳥が驚いた。

友希那「気持ちは分かるけど、ゆっくり話せる場所がいいんじゃないかしら」

こころ「そうね! カフェテリアに移動しましょ!」

飛鳥「…あれ? 何もご説明されてないんですか?」

 飛鳥が黒服の方を見て、確認すると…。

 

黒服「一丈字様からご説明された方が宜しいかと」

飛鳥「あ、はい…」

 

 そしてカフェテリアの特別スペースに皆が集まって、飛鳥が事情を説明した。

 

飛鳥「という訳なんです…」

はぐみ「そ、そんな…」

 はぐみがショックを受けていた。

 

飛鳥「…聞きそびれたんですが、お知り合いなんですか?」

はぐみ「うん。元々はぐみのとーちゃんと、あだきやの店長さんが友達で、はぐみも昔から鰻を食べさせて貰ってたの。でも、店長さんが亡くなってから、あまりお店に行かなくなったんだ。でも、そんな事になってたなんて…」

 と、はぐみは泣きそうになっていた。

 

香澄「でも、聞いてて思ったんだけど、どうしても炭じゃないと駄目なの?」

飛鳥「ガスだと中まで火が通らないんですよ」

「!!」

 飛鳥が口を開いた。

飛鳥「炭は赤外線の輻射熱で中まで良く通るんですけど…」

香澄「…ふくしゃねつ?」

 香澄だけでなく、一部のメンバーがきょとんとしていた。

飛鳥「まあ、今回は話をスムーズに進める為に、難しい話は無しにしましょう」

リサ「よ、要は炭の方が美味しく出来るのよね!?」

飛鳥「ええ」

 

 リサのフォローに対して、飛鳥が苦笑いして反応した。

 

飛鳥「まあ、話を纏めると、時間はかかるけど、本来のうなぎの作り方で勝負したい主任と、時間を短縮して顧客のニーズに応えようとしている二代目。価値観の相違が原因で、対立してしまったという訳です」

 

巴「…なんかあたし達バンドみたいだね」

蘭「確かに…」

 まるで他人事じゃないと、巴と蘭が反応した。

 

飛鳥「だけど、結局二代目の方が権力があり、あだきやを追い出されてしまい、やけを起こしたと…」

千聖「結局権力がある方が勝つのよね。どこの世界も」

薫「……」

 

 するとはぐみが立ち上がった。

はぐみ「それじゃ、あだきやのウナギは美味しくなくなるって事なの…?」

飛鳥「ええ。ウナギの提供は早くなりますけどね…」

はぐみ「そんなのいや!!」

 はぐみが机をたたいた。

 

はぐみ「ねえ、何とかならないの!?」

飛鳥「…で、その事でちょっと弦巻さんに相談があるんですけど」

こころ「何かしら? 何でも言って頂戴!」

飛鳥「良い鰻を知ってたら、ちょっと見せて欲しいんですけど」

「一丈字様」

 黒服達が現れた。

 

飛鳥「?」

「もし宜しければ弦巻家にお越しください」

「選りすぐりの鰻を取り揃えてお待ちしております」

飛鳥「そうですか!? ありがとうございます!」

 飛鳥が一礼した。

 

飛鳥「あ、でもそれには少しだけお時間を頂けますか」

「?」

飛鳥「その職人さんも連れていきたいので…」

「……!」

 

 と、飛鳥の様子を見て、バンドガールズは違和感を覚えた。

 

(もしかして(飛鳥の呼び名)って…めちゃんこ凄い人?)

 

 

つづく

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。