これは、ずっと一緒だった幼馴染5人が、ある事を理由に仲が悪くなってしまった「もしも」の物語…。
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ひまり「お助けください!! お助けください!!」
ひまりは縄で縛られていた。そしてひまりの前には般若の形相をした蘭・モカ・巴・つぐみの姿があった。
モカ「ポットの準備は出来たよ~」
蘭「そのポットを握りつぶすのは?」
巴「私。せめてもの情けだ。私の手で引導を渡してやる!!」
ひまり「ちょっと何でこんな事になったのよ~~~~~!!!!」
と、ひまりが泣き叫んだがつぐみが黒い笑みを浮かべて近づいた。
つぐみ「それはこっちの台詞だよ? ひまりちゃん」
ひまり「ひっ!!」
つぐみのドスの利いた声色にひまりが怯えた。
つぐみ「此間飛鳥くんと一緒に歩いてたでしょ」
ひまり「あれはたまたま一緒になっただけだって言ってるでしょ!!?」
モカ「でもその「たまたま」が多すぎるんだよね~。これで何回目?」
巴「完全に狙ってるとしか思えないな」
ひまり「そ、そんなぁ~!!」
実際の所、モカ達の言う通りであり、ひまりは偶然を装って飛鳥に会っていたのだ。そう、所謂「抜け駆け」である。
つぐみ「抜け駆けは重罪だって、5人で話し合ったよね?」
ひまり「つぐ。貴女は落ち着こう。本当に落ち着こう?」
つぐみはずっと笑っているが、正直恐怖でしかない。ひまりはガタガタ青ざめる。
ひまり「み、皆落ち着いて! よーく考えて!?」
蘭「ひまり。今更見苦しいよ」
ひまり「こんな事したら…一丈字くんに嫌われちゃうよ!!?」
一丈字飛鳥。全ての元凶である。
蘭「い、一丈字の名前を出すなんて…」
巴「卑怯だぞ!!」
モカ「……」
つぐみ「ひまりちゃんが約束破って抜け駆けしなかったら、私達だってこんな事しなかったんだよ?」
蘭・巴「そうだそうだ!」
ひまり「だから誤解なんだってば~!!!」
と、ひまりが涙目で叫ぶと、
「おーい」
「!?」
蘭たちは声がした方を見ると、飛鳥とこころがいた。
飛鳥「何されてるんです?」
「あっ…」
飛鳥が困った顔で蘭たちを見つめると、
ひまり「一丈字くん助けてぇ!! 蘭たちが誤解してるみたいなのよ!!」
蘭「誤解もなにも、何度もわざと一丈字に会ってたでしょ!!」
巴「すまん一丈字。ひまりが迷惑かけたみたいで…」
つぐみ「ごめんね?」
蘭たちが弁解するが、縄で縛ってるあたり普通ではないと感じていた飛鳥。
こころ「縄で縛るのはやりすぎよ! 喧嘩は良くないわ!」
モカ「そうだそうだー」
蘭・巴「モカァ!!!」
つぐみ「モカちゃん!!!」
モカがいつの間にか飛鳥側にいたので、蘭・巴・つぐみの3人が吠えた。
こころ「さあ、ひまりに謝るのよ!」
ひまりは解放されて、Afterglowは飛鳥、こころの立ち合いの元仲直りさせられた。
蘭「ごめん…」
巴「ごめんな…」
つぐみ「ごめんねひまりちゃん」
ひまり「あ、うん。いいのよ…」
絶対反省してないなこいつ等。と、ひまりは思ったが、これはチャンスと考えていた。
モカ「ごめんよひーちゃん」
ひまり「あ、うん…」
モカも謝ったので、ひまりも許す事にしたが、ひまり達は感づいていた。モカはこういう時謝らず、うやむやにすることが多いが、あえてすぐに謝ったという事は、完全に飛鳥に対する点数稼ぎをしているのだと。
ただ、飛鳥もそれを肌で感じ取っていた。
飛鳥(あぁ…。昔椿のけんかの仲裁をしてた時こんな感じだったなぁ)
中学時代、女子同士のけんかの仲裁をした事があったが、仲直りさせるのにとても苦労したという。
こころ「これで仲直りね!」
と、こころがそう言うが、
モカ「ところでこころちゃんは飛鳥くんとどうして一緒にいたの?」
こころ「あら! いけないかしら?」
こころはいつも通りの反応だった。
蘭「いや、いけなくはないけど…」
ひまり「よくよく考えたら何でいつも一緒なのかな~って…」
巴「ずっと気になってたんだ」
つぐみ「…もしかして、付き合ってるとか?」
飛鳥「いいえ?」
こころ「付き合ってないわよ?」
飛鳥はきっぱり否定すると、こころもあっけらかんとしていた。
モカ「あんまり飛鳥くんと一緒にいると、ハロハピの皆が寂しがると思うな~」
こころ「大丈夫よ! はぐみはソフトボールがあるし、薫は演劇、花音はアルバイトで、美咲には羊毛フェルトがあるわ。あたし以外にもお友達がいるから、ちっとも寂しくなんて無いわ?」
アフグロ(グッハァ!!!)
こころがいつも通り過ぎて、アフグロはその眩しさにやられそうだった。
蘭(弦巻さん…めっちゃ大人…!!)
モカ(くぅ…。こころちゃんの方が一枚上手だったか…)
ひまり(ただのお金持ちじゃなかったのね…)
巴(そうか…。道理で一丈字がずっとそばに置いてるわけだ…)
つぐみ(……)
こころ「さて、そろそろあたし達はお暇するわ!」
蘭「ど、どこ行くの!?」
こころ「これから飛鳥と賞金稼ぎをするのよ!」
「!!!?」
飛鳥「失礼します」
飛鳥がこころを連れて去っていった。
「……」
その日の夕方。
『さあ! アマチュアテニストーナメント! ダシマカップもいよいよファイナルとなりました!』
ここはとあるテニスコート。テニスのトーナメントが行われた。
実況『それでは選手の入場です!! バンドリ学園高等部1年生コンビ! 一丈字飛鳥・弦巻こころペア!!』
スポーツウェアに着替えた飛鳥とこころが登場した。こころは髪を結んでいる。
こころ「優勝するわよ! 飛鳥!」
飛鳥「勿論」
そしてその様子を観客席からアフグロが見ていた…。
蘭「ずるい…こんなのずるい…」
モカ(モカちゃんだって、飛鳥くんの秘密知ってるのに~)
ひまり「テニスなら私テニス部なのに!!」
巴「ラーメンの大食いなら…」
つぐみ「いいなぁ…!!!」
と、皆こころを羨ましがり、その邪念を飛鳥が感じ取っていた。
飛鳥(本当に好きだなぁ…)
だが、見に来ていたのはアフグロだけではなかった…。
飛鳥「さあ、優勝するぜ!!」
こころ「ええ!!」
飛鳥はもう細かい事を気にするのはやめて、目の前の試合に集中する事にした。
おしまい