今回の設定
・ 飛鳥 ← パスパレ
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一丈字飛鳥です。今日は千聖さんの女優の仕事に同行することになりましたが、千聖さんの相手の男がとんでもない奴だったので…。事前に調査をして相手の悪事の証拠をつかみ、当日に御用にしました。
「は、離せぇ!! まだ千聖ちゃんとキス…キッスしてないんだぁ!!」
「何で言い直したんだ!!」
「高校生とキスしたいって、お前いい大人だろ!!」
男は警察官に取り押さえられてなお大暴れしていたが、とにかく千聖さんとキスがしたいと叫んでいた。学校の中でも外でもこんな奴っているんですね。
「せめてチューさせてくれぇ~!!!」
「言い方直しただけやん!!」
「てか、もう諦めろ!! 連れていけ!!」
「千聖ちゃああああああああああああああああああああああん」
…頭痛くなってきた。で、問題なのはここからである。
千聖「彼がいなくなった事で代役を探す必要がありますね」
監督「そうだな」
千聖さんが食い気味に監督にそう言い放つと、私はもうこの時点で超能力を使った。嫌な予感がするからである。
千聖「本日中に仕上げる必要があるので、この中の誰かにやって貰いましょう」
監督「誰がいい?」
千聖「それは…」
千聖さんが周りの男を見渡した。私は超能力で存在感を消してるので、気づかれていません。多分…。まあ、指名される訳ないんですけど、そうやって高をくくっていると当たってしまうのが、ギャグ小説のお約束なんですね。
千聖「……」
千聖さん。早く選んでください?
「白鷺。皆さんを困らせないの」
そう言って、パスパレの事務所の女性スタッフさんが声をかけてきた。20代後半で仕事が出来る人だけど、持ってくる仕事がいつも変なものばかりだと千聖さんが不満に思っていて、無茶ぶりもさせるのである意味天敵である。
監督「よし分かった。それじゃああなたが千聖ちゃんの相手役やって!」
「は?」
監督の言葉に千聖さんとスタッフさんが同じ反応をした。似た者同士なのかなぁ…。
千聖「ちょ、ちょっと待ってください! 彼女は素人で…」
監督「大丈夫。このキスシーンだけだから。それに知ってる人なら千聖ちゃんも安心できるでしょ」
「わ、分かりました…。やります…/////」
スタッフさんは恥ずかしそうにしながらもやる気満々で、千聖さんは絶対嫌そうにしてたけど、これ以上駄々をこねると自分のキャリアとイメージに傷をつけかねないので、やる事にしたが…。
千聖「……」
スタッフ「……//////」
なんだかとてもシュールだった…。知ってる人同士がこんなことしてるって、演技とはいえちょっと複雑な気分…。この時、私は超能力を解いて、他のスタッフの方々と一緒に演技を見ていたが、皆ガン見していた。
監督「よーしOK!! いいよ!!」
千聖「あ、ありがとうございました…」
スタッフ「……/////」
監督さんの声で何とか撮影を終わったが、千聖さんとスタッフさんはなんか気まずそうだった。
で、事務所に帰ろうとしたが…。
千聖「……」
バスの中で案の定千聖さんに睨まれました。私は悪くございません。
千聖「飛鳥くん?」
飛鳥「いや、あなたアイドルでしょう…」
千聖「今時こんな言い方すると怒られるかもしれないけど、あなた男の子でしょう? 私がやりますって言うものでしょう?」
飛鳥「千聖さん。そういう時に限って相手が決まったり、やらせて貰えないのが鉄則なんですよ」
そう、漫画のお約束でやる気のない主人公は無理やり戦わされるが、やる気のある主人公は中々戦わせてもらえないのだ。早い話、主人公の思い通りになったら面白くないのである。
千聖「じゃあ面白くないじゃないのよこのお話!」
飛鳥「面白くないかもしれませんが、一応「主人公も人間」というテーマでやらせていただいておりま…」
千聖「そんな言い訳が通用すると思って…」
スタッフ「白鷺。わがまま言わない! 大人げないわよ!」
千聖「うっ…」
スタッフさんに怒られて千聖さんは大人しくしたが、耳まで真っ赤にしていた。
スタッフ「…まだカレシとこういう事した事もないのに/////」
本当にごめんなさい。ありがとうございました。
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そんなこんなで事務所に戻ってきたが…。
日菜「あー! おかえり千聖ちゃん! 飛鳥くん!」
そう言って日菜さんは私に抱き着いてきた。この人たちアイドルですよね?
飛鳥「只今戻りました…っていうか、あなたアイドルでしょう」
麻弥「例のドラマの件、丸く収まったそうですね!」
千聖「え、ええ…。一応ね…」
千聖さんが複雑そうに返事をする。多分これどこかで仕返しされるパターンかな? でもそんな事したら…。
『仕返しされたい~!!!』
『ていうか一丈字てめー。何パスパレの事務所に行ってんだよ!』
『ま、まさかキス…いや、キッスしたのか!?』
『オレも千聖ちゃんとキッス…いや、ベロチュー…』
…ああ、なんか星が見たくなっちゃったなぁ。
日菜「飛鳥くん天体観測に興味あるの!?」
飛鳥「ちゃいますよ。ただもう空を見上げて、ぼーっとしたいだけですわ」
日菜さんが何故か私の考えていたことが理解できていたようですが、もう突っ込む体力もございません。
千聖「全く…。あのスタッフさんとキスシーンをやる事になってしまって、うんざりよ。ここは誰かさんが自分がやりますって言ってくれたら良かったのに」
そう言って千聖さんが私の方を見てきましたが…。
麻弥「いや、それは千聖さんが悪いですよ」
日菜「そーだよ。飛鳥くん素人だし、普通に抜け駆けじゃん」
彩「私にはあんなに厳しいくせに…」
イヴ「そーです! ブシドーじゃないですよ! チサトさん!」
とまあ、日菜さん達に怒られて、流石の千聖さんも黙ったそうです。
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そして迎えたドラマ放送日当日。女性スタッフさんの演技が思ったほか良かったのか、スタッフさんがインタビューされてました。
飛鳥「危ないところだったぜ…」
私がカフェテリアでそのインタビュー映像を見ていると、千聖さんがやってきた。
千聖「ドラマに出てみたいとか思わなかったの?」
飛鳥「千聖さん。私の本業をお忘れですか?」
千聖「決まってるわ。能力者だものね」
千聖さんはわざと聞こえるように若干大きな声で言い放った。当然周りの生徒にも聞こえているので…。
飛鳥「その通りですよ」
その時、男子生徒たちがやってきた。
「能力者ってどういう事だ!?」
「一丈字! やっぱり千聖ちゃんを操っていたのか!!」
「ゆ、ゆるせーん!!」
そう言って男子生徒たちは私に突撃してきて、千聖さんから遠ざけた。
千聖「ちょ、ちょっと!!」
その時だった。
「能力者…?」
「え、白鷺さん。どうしちゃったの…?」
「やっぱり疲れてるんじゃ…」
「最近忙しかったものね…」
能力者なんてのは漫画の中だけでしか存在しない為、それを堂々と言い放ったことで、千聖さんは『痛い子』になってしまいました。
千聖「……!!」ゴゴゴゴゴゴゴ
皆さん。生きてたらまたお会いしましょう。さようなら。男子生徒たちの件に関しては、自力で何とかします。
おしまい