全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第75話「頑張れお姉ちゃん」

 

 

 それはある日のことだった。

 

「……!?」

 

 飛鳥は困惑していた。というのも目の前には沙綾の妹である紗南がいたからだ。そして紗南の横で沙綾は申し訳なさそうにしていた。

 

沙綾「ゴメン…。妹がどうしてもあなたに会いたくなったみたいで…」

飛鳥「……」

 

 色々あって沙綾の弟妹達に懐かれた飛鳥。しかし、飛鳥が中々やまぶきベーカリーに来ないせいか、紗南が寂しがり、遂に学校に訪れた。

 

 そしてその日の放課後、飛鳥は仕方なしに山吹家にお邪魔する事になった。純は友達とサッカーをしに外に出かけていた為不在。

 

紗南「えへへへ…」

 と、紗南は飛鳥にべったりくっついていて、飛鳥は苦笑いしていた。

 

沙綾「本当にごめんね。一丈字くん…」

飛鳥「いえいえ…」

沙綾「紗南。今日だけだからね? お兄ちゃんだって忙しいんだから」

紗南「はーい…」

 

 沙綾の言葉に紗南がしょんぼりすると、飛鳥はまた苦笑いした。ここで優しい言葉をかけると、紗南の為にならないと考えた為、あえて何も言わず、明日から様子を見にやまぶきベーカリーの前を通る事にした。まあ、小さい子というのは気まぐれである為、すぐに自分から興味が変わるだろうが、それまでは付き合う事にした。

 

 暫くして、夕方になった。

 

飛鳥「そろそろ帰らなきゃ…」

沙綾「あ、そうだね」

紗南「……」

 その時だった。

 

「ふざけんじゃねぇ!!」

「?」

 

 男の怒声が聞こえた。紗南は怯えて沙綾に抱き着いていた。

 

沙綾「レジの方からだわ!」

飛鳥「あ、山吹さんはここにいてください。私が様子を見てきます」

沙綾「でも…」

飛鳥「いいから」

 そう言って飛鳥がその場を離れた。

 

飛鳥「……」

 

「てめぇのパンを買ってみたら虫が入ってやがった!! どう落とし前つけてくれんだ。ああ!!?」

 と、チンピラ3人組が沙綾の母親にいちゃもんをつけていた。

 

沙綾母「そんだけ大きな虫なら気づいてます!」

「ざけんじゃねぇ! シラを切ろうってか!!」

 と、リーダー格の男が叫ぶと、椅子を蹴り飛ばした。

 

「だったら客が来ねぇようにしてやるよ」

飛鳥「……」

 飛鳥は超能力でチンピラたちを腹痛にさせて、動けないようにチンピラの足に対して金縛りを仕掛けた。

 

「い、いででででで…」

「は、腹が…!!」

「やっぱりパンに何か入れ込んだな!!」

 

 そして飛鳥は警察に通報した。

 

飛鳥「早急に来てください。場所はやまぶきベーカリーです」

 そう言って飛鳥が電話を切ると、

 

「く、くそが!!」

 と、主犯格のチンピラが刃物を取り出すと、沙綾母は怯えた。

 

「こうなったら力づくでも痛い目に遭わせてや…」

 飛鳥が念力を放つと、今度は激しい頭痛がした。

 

「ぐああああ――――――――っ!!!」

「ア、 アニキ!!」

 飛鳥はもうやむを得ないと判断した為、姿を現した。

 

飛鳥「どうかされました?」

沙綾母「あ! い、一丈字くん!! 来ちゃダメ!!」

「な、なんだてめぇ…!!」

飛鳥「お客様ですか?」

沙綾母「違うのよ! こいつらいちゃもんをつけに来て…」

「ふざけるな!!」

「こいつが作ったパンに虫が入ってたから文句を言いに来たんだよ!!」

飛鳥「虫?」

「こいつだ!! こんなもん食わせてただで済むと思ってんのか!!」

 

 チンピラたちの言葉に飛鳥が頭をかいたが、飛鳥はすぐに自作自演の芝居だと気づいていた。沙綾母の言っていた通り、それだけ大きい虫がパンに混入しているならすぐに気づくと。

 

飛鳥「まあ、何でもいいですけど、最近この辺を警察官がパトロールしてるんで、早く逃げた方が良いですよ」

沙綾母「!?」

「ヘッ、どうせハッタリだろ!」

「そうはいくかよ!」

 

 チンピラたちが吠えたその時、警察官が二人やって来た。

 

「動くな!!」

「って、またお前らか!!」

 

 警察官の登場により、チンピラたちはあえなく御用となった。ちなみに捕まった瞬間に超能力を解いた。

 

「離せー!!」

「くそう!! 何がどうなってるんだ!!」

「オレらを逮捕したら上の奴らが黙ってないからな!!」

警官「あー。上の奴等なら下着泥棒してたから捕まえたよ」

 

 と、飛鳥の活躍によって事なきを得た。

 

飛鳥「だから言ったのに」

 飛鳥が一息ついた、

 

 その後…。

 

沙綾母「本当になんてお礼を言ったら良いか…!」

飛鳥「あ、気にしなくて結構ですよ」

 沙綾母が何度も頭を下げるので、飛鳥は苦笑いしていた。

 

沙綾「いや、本当にありがとう! 警察も呼んでくれてたなんて…」

飛鳥「はははは…」

 

 警察官からの口コミで結局バレた。

 

飛鳥(コンプライアンス大丈夫か!?)

 飛鳥は心の中で突っ込んだ。

 

沙綾母「紗南の事もそうですけど、ここまでしてくれるなんて…」

飛鳥「いえいえ」

 飛鳥が反応すると、紗南がじーっと飛鳥を見つめていた。

 

飛鳥「あ、もう大丈夫だよ。こわいおじさん達もういないから」

紗南「うん…」

 飛鳥が一息ついた。

 

沙綾母「是非お礼を…」

飛鳥「いやいや、本当にお気遣い要りませんよ。お礼を受け取ってしまったら、うちの親が飛んでくるので」

 沙綾母が気を利かしてお礼をしようとしたが、飛鳥が慌てて止めた。

 

沙綾母「あ、そうだ。沙綾、紗南をお風呂に入れてあげて」

沙綾「あ、はーい。紗南、行くよ」

紗南「やだ」

「え?」

 皆が驚いた。

 

沙綾「どうして?」

紗南「おにいちゃんといっしょにいる」

 この言葉に飛鳥は察した。

 

沙綾「紗南。お兄ちゃんはお母さんと大事な話をしてるの。邪魔しないで」

紗南「やだ」

 と、紗南がいつになく駄々をこねていた。

 

沙綾「…紗南。いい加減にしないと、お姉ちゃん怒るよ?」

 沙綾の言葉に紗南が怯えると、

 

飛鳥「山吹さん」

 飛鳥が沙綾の名前を呼んだ。

沙綾「一丈字くん…」

飛鳥「いったん落ち着いて。次に紗南ちゃん」

紗南「!」

 紗南が反応した。

飛鳥「紗南ちゃんはどうしたいのかな?」

 すると紗南はとんでもない事を言いだした。

 

紗南「おにいちゃんとおねえちゃんといっしょにおふろはいりたい」

 空気が止まった。

 

飛鳥「…えっと、沙綾お姉ちゃんと純お兄ちゃんの事かな?」

紗南「ううん。沙綾おねえちゃんと飛鳥おにいちゃん」

飛鳥「わあ」

 飛鳥が困惑した。

 

沙綾「あのね紗南ちゃん。どうして飛鳥お兄ちゃんと私とお風呂に入りたいのかな?」

 さっきまで不機嫌だった沙綾も流石にこれは苦笑いした。

 

紗南「ふたりともだいすきだから…」

沙綾母「ちなみに純お兄ちゃんは?」

紗南「ふつう」

飛鳥(純おにいちゃーん!!!!!)

 

 先日、紗南が楽しみにとっておいたプリンを食べてしまい、ずっと拗ねている。

 

沙綾「あ、あのね紗南。お兄ちゃんにそんな無茶な事を言ったらダメよ」

紗南「どうして?」

沙綾「ど、どうしてって…」

 ちょっといいわけに困り始めた沙綾。それに気づいた飛鳥は

 

飛鳥「入っていいかお姉さんに相談してみるね。ちょっと来てくれます?」

 と、飛鳥は沙綾を連れ出した。

飛鳥「あ、お母さんは叱らないであげてください。少しだけお時間をください」

沙綾母「わ、分かったわ…」

 

 飛鳥と沙綾が二人きりになった。

 

沙綾「ごめんこんな事になって…」

飛鳥「いえ、ちょっと私に考えがあります。話を合わせて貰っても良いですか」

沙綾「う、うん…」

飛鳥「あと、あくまで芝居なので気を悪くしないでくださいね」

沙綾「え?」

飛鳥「行きましょう」

 飛鳥と沙綾が戻ってきた。

 

飛鳥「あー…紗南ちゃん」

紗南「?」

飛鳥「ちょっとお姉さんに相談してみたんだけど、お姉さん…おじさんと一緒に風呂に入るのが恥ずかしいんだって」

沙綾(いや、おじさんって)

 沙綾は自分が恥ずかしがってる事よりも、飛鳥が自分の事をおじさんと呼んでいる事に驚いた。

 

紗南「どうして?」

飛鳥「紗南ちゃんは、同じくらいの男の子に裸を見られても恥ずかしくないの?」

 飛鳥の言葉に紗南は頬を染めてモジモジした。

紗南「はずかしい…」

飛鳥「それと同じなんだよ。もしもお姉ちゃんが同じくらいの男の子と一緒に風呂に入る為に、裸になってって言われたらどうする?」

紗南「いや…」

 紗南が首を横に振った。

飛鳥「お姉ちゃんの為に、我慢してあげて」

紗南「……」

 紗南が考えたが、

 

紗南「…わかった」

飛鳥「ありがとう。お姉ちゃんの事を考えれて偉いね」

 と、飛鳥が褒めると紗南が照れた。

 

飛鳥(さあ、今です山吹さん)

沙綾(お、おう…)

 

 飛鳥が沙綾にアイコンタクトを送ると、飛鳥はちょこっとだけ超能力で紗南に暗示をかけ、結果的に未遂に終わった。

 

 そして…

 

飛鳥「いやー。ありがとうございました。こんなにクーポン券頂いて…」

 飛鳥が帰ろうとしていた。

沙綾母「いいのよ。またおいでね」

飛鳥「はい!」

紗南「……」

 紗南がじーっと飛鳥を見つめていると、飛鳥がしゃがんで紗南に目線を合わせた。

 

飛鳥「また来るよ」

紗南「…うん!」

 

 と、飛鳥と紗南が指切りをして、沙綾と沙綾母が苦笑いした。

 

 こうして、事件は解決したかに思われたが…。

 

沙綾「はぁ…疲れた…」

 と、沙綾が部屋に戻ろうとしたが、洗濯物が干しっぱなしだという事に気づいた。

 

沙綾(あ、いけない。洗濯物干し忘れてた!!)

 沙綾が慌てて洗濯物を干そうとしたが、その中に自分の下着があった。

 

 そしてある事に気づいた。

 

 もしかしたら飛鳥に見られた可能性があるかもしれないと…。

 

沙綾「……」

 

 沙綾はすっかり青ざめた。

 

 翌日

 

沙綾「一丈字くん」

飛鳥「あ、昨日はどうも…」

沙綾「ちょっと来て」

飛鳥「あ、はい」

 

 沙綾が飛鳥を教室から連れ出した。

 

沙綾「昨日…台所から一番近い和室に入ったりしてない?」

飛鳥「いいえ? ずっと紗南ちゃんの部屋にいましたけど…」

沙綾「そ、そう。良かったわ…。実は洗濯物干してて、見られたらどうしようって思ったの」

飛鳥「あ、そういう事ですか…」

 飛鳥が苦笑いした。

 

 

 だが…。

 

紗南「紗南もおっきくなって、おねえちゃんみたいなしたぎをつけたいな」

飛鳥「そ、そう…」

紗南「あのね。おねえちゃんはオレンジいろのブラジャーとパンツをはいてるの。あと…」

 

 沙綾が目を離したすきに、紗南が沙綾の下着について喋ってしまったのだった…。

 

 

飛鳥(当分いかない方が良いよなコレ…)

 

 と、沙綾にバレない事を心から祈る飛鳥なのであった。

 

 

おしまい

 

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