全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第164話「もしもPastel*Palletesがチョロかったら」

 

 

 一丈字飛鳥です。私は今、『Pastel*Palletes』というアイドルバンドグループの握手会の会場にいます。散歩してただけなんですけど、近くで握手会をやってたんですね。握手会なんてあまり見た事ないから、興味本位で行ってみました。入場料もただだったので…。

 

 ですが、それが運の尽きだったのか、早速事件が起きたんですね。一人のおっさんがベースを務めている白鷺千聖さんという方といつまでも話してるんですね。警備員さん…というかはがしの方がそのおっさんを取り押さえるんだけど、格闘技の経験があるのかそれはもう見事な裏拳で大人しくさせるんですよ。で、何事もなかったかのように話しかけるので、皆怖がってるんですね。

 

 誰かが叫んで注意しても無視だし、皆どうすればわからないんですね。

 

 ここは早い所超能力で…。

 

「おい!! いい加減にしろこの税金泥棒!!!」

「…あ?

 

 私の隣にいた爺さんが叫ぶと、おっさんがこっちを睨みつけてきた。税金泥棒?

 

「…って、この子がいっとったぞ!!」

 

 これを見ている高齢者の皆さん。若者を労わって下さい。

 

「何だとこのクソガキ…私を誰だと思っている!!」

 

 まあ、これで白鷺さんから完全に離れて私に突っかかってきたので、これがチャンスですね。爺さんいつの間にか逃げてるし。

 

飛鳥「そんな事は言ってませんけど、他の皆さんに迷惑なのでやめて頂けないか…」

 

 私がそう言いかけた時、やっぱりおっさんは攻撃を仕掛けてきた。私も格闘技経験者なので、それを簡単に受け止めて、おっさんが振りかけてきた拳を離さない。

 

「!!」

 

 そして私は様子を見て、動けそうな人を探した。

 

飛鳥「あ、すいません」

「!?」

飛鳥「あそこにうずくまってる警備員さんを介抱して貰えませんか?」

「はぁ!? なんでオレが…」

「いいからさっさとやらんか!! 近頃の若いもんは!!」

 

 爺さん、色々突っ込みたいけどグッジョブ。

 

「ぐっ…離せぇ!!」

飛鳥「そういう訳にはいきませんよ」

「そうじゃ!! そのまましっかり取り押さえておけ!! わしが警察に通報する!! そう、このわしが!!」

飛鳥「……」

「フン…。私は国会議員だぞ。逮捕などできるものか!!」

 

 数十分後

 

「離せぇ!! 私は政治家だぞ!!」

「うるさい!!」

「あ、大臣がお前クビだって」

 

 おっさんは警察官にあっさり捕まっていた。国会議員は国会議員でも、そんなに偉い人じゃなかったのね…。

 

「だーはははは!! 正義は必ず勝つのじゃあ!!」

「じーさん! また人に迷惑をかけて!」

 

 ぬか喜びする爺さんを、奥さんらしき女性が叱っていた…。多分ずっと苦労してたんだろうな…。

 

 さて、騒ぎになる前に皆と合流しないと。存在感も消しとこう…。

 

「おお、そうじゃ!! そこのお前!!」

「?」

 

 爺さんが私に話しかけてきた。そうですよね。超能力で逃げてたらお話になりませんもんね…。

 

「若いのに大したもんじゃ! まあ、わしがけしかけたけどな!!」

「爺さん!!」

 

 するとおばあさんが私の顔を見て申し訳なさそうにした。いや、そんなに申し訳なさそうにされると、こっちも申し訳なくなります…。

 

「…ごめんなさいねぇ。うちの主人が」

飛鳥「いえいえ。最終的にあの人たちも助かったみたいですし、私はここで失礼させていただきますね」

「あ、あの!!」

 

 おっと、パスパレの人たちもやってきた。

 

「助けて頂いてありがとうございました…」

 

 白鷺さんが頭を下げた。

 

飛鳥「あ、いえ。お気になさらず」

「わしが声をかけたんじゃ。わしにも…」

「爺さん。これ以上年寄りのイメージを下げるんじゃない! さっきの政治家と同じじゃないか!」

 

 …確かにこの爺さんが声をかけなかったら、超能力で何とかしてたんだけど、うーん…。

 

飛鳥「それではここで失礼させていただきますね」

 

 私は逃げるように去ろうとした。

 

「待たんか!!」

「あ、えっと。お名前だけでも!!」

 

 ボーカルの丸山彩さんが私に話しかけてきた。まあ、ここで黙っていなくなるのも失礼なので、一言だけ言って帰ろう。振り向いて…。

 

飛鳥「ごめんなさい。名前は名乗れません」

「!」

飛鳥「私の事は忘れて、前に進んでください。それでは!」

 

 何とかそれっぽい事を言って、その場を後にした。今頃何だったんやあいつみたいになってるだろう。まあ、それが良いよね! だって、アイドルと仲良くなっちゃったら色々大変だし…。あ、私の語りはここで終わります。

 

「……」

 

 飛鳥がその場を後にすると、皆が唖然としていた。

 

「何だったんじゃあいつは…」

「私からみたら爺さんが一番何なんですか。あなた達も大丈夫…」

 

 老婆がパスパレを見つめると、メンバー全員の顔が赤かった。

 

それに対して老婆は赤い理由に気づいてほっこりしていた。爺さんも気づいて…。

 

「あの男…若い頃のわしにそっくりじゃ」

「若いころから爺さんの事を知ってますけど、真逆よ」

 

飛鳥「ふぅ…」

 

**************************

 

 時は流れて…。

 

飛鳥(同じ学校の先輩と同級生だったんだ…)

 飛鳥は学校でパスパレ全員を見かけてぎょっとしたが、当時かけていなかった眼鏡をかけて髪型も多少変えて地味な感じにし、ダメ押しで自身の印象も超能力で調節している為、パスパレに気づかれないだろうと思っていた。

 

 気づかれはしなかったものの、困った事になっていた。

 

「なにぃ!!?」

 クラスメイトがパスパレが表紙を飾っている雑誌を見つめた。

 

「どうしたんだよ」

「パスパレに好きな人がいますかっていう質問で、全員此間の握手会で助けてくれた男の人って答えてたんだよぉ!?」

「何だとぉ!!?」

 

 あ、これオレかなと思ったが、ワンチャン別の会場の握手会で全く同じことが起きた可能性があるので、希望を捨ててはいけないと自分に言い聞かせて飛鳥は本を読んでいた。

 

「どこの握手会だよ」

「〇〇公園!!」

 

 …間違いなくオレや。と飛鳥は思った。

 

「くっそ~!! どこのどいつだぁ!!?」

「ていうかアイドルが好きな人公開していいの…?」

「良くないけど、それでも可愛いんだよちくしょ~!! どこのどいつだぁ!!?」

飛鳥「……」

 

 

 絶対に黙っとこ。と飛鳥はそう思い、また本に目を通し始めた。

 

 

 

おしまい

 

 

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