前の話で、もしも飛鳥が直接助けて居たら…。
途中までは前の話と同じです。
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白鷺千聖は天才子役として名をはせていた。勿論、本人が演技に対して熱心に研究していた事もあるが、彼女の演技は見ている者を魅了した。勿論、容姿も端麗である為男女問わず、近づいてくる者も多い。
大して一丈字飛鳥という少年は、それほど有名ではなく、千聖と共演した事や、そのドラマ自体が大ヒットしたから少し注目されたくらいだ。そして、彼自身もそのことを理解して、千聖とは距離を置こうと考えていた。
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飛鳥「……」
飛鳥は自分の教室で大人しくしていると、クラスメイトに話しかけられた。
「一丈字くん。そういえば昔、あのドラマに出てたよね?」
飛鳥「オムラム・ルールですか?」
「そうそう」
「そういや、今芸能活動ってどうしてるの?」
と、飛鳥の周りに人が集まったが…。
飛鳥「もう辞めたんですよ。子役」
「えっ…?」
飛鳥「役者の仕事は楽しかったんですけど、いろんな事がやってみたくなりまして」
「そ、そうなんだ…」
飛鳥がそう言うと、男子生徒は残念そうにした。
「あ、そういえば1個上に千聖ちゃんがいるの知ってる!?」
飛鳥「先ほどお会いしましたよ」
「と、特に話とかしなかったの?」
飛鳥「ええ。昔共演したからって、あまりでかい顔するのもよろしくありませんもの。幻滅させたなら、ごめんなさいね」
飛鳥が苦笑いしてそう言うと、クラスメイト達は飛鳥と千聖は本当は仲が悪いのかと誤解していた。
「あ、それはそうとさ!」
飛鳥「?」
女子生徒がまだ粘ろうとする。
「千聖ちゃん、どうだった!? 最近会ってなかったんでしょ!?」
飛鳥「ええ。そりゃあもう綺麗になりましたねぇ」
飛鳥がそう言うと、クラスメイト達が沸き上がった。
「ま、まさかとは思うけど、付き合ったりとかは…」
飛鳥「それはございませんね」
飛鳥がきっぱりと断った。
「どうして?」
飛鳥「だって彼女、今アイドルやってるんですよね? だったらスキャンダルを作ったらまずいじゃないですか。それに、私もこれからの身の振り方について色々考えないといけませんし」
そう言って、飛鳥はその場を離れると、クラスメイトはシーンとしていた。
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放課後
千聖(確かに今の私はアイドルだけど、あそこまでよそよそしくする必要なんかないじゃない)
千聖は教室にいたが、休憩時間に飛鳥に素っ気なくされたことで、不機嫌そうにしていた。女子のクラスメイトもそのことを察したのか、何も言う事はなかった。
そんな時だった。
「白鷺さん大変!!」
クラスメイトが慌てて教室にやってきた。
千聖「どうしたの?」
「イヴちゃんが別の学校の男子達に連れていかれそうになってるの!」
千聖「何ですって!!?」
そう言って慌てて外に出ると、イヴと彩が複数の男子生徒に絡まれ、つれていかれそうになっていた。あまりにも柄が悪そうだったので、男子生徒達は助けられずにいた。
千聖「彩ちゃん! イヴちゃん!!」
千聖が叫ぶと、彩達が千聖の存在に気づいた。
彩「千聖ちゃん! 来ちゃダメ!」
「あいつ、白鷺千聖じゃね?」
「あいつも連れて行こうぜ」
「多い方がいいしな」
と、男子生徒達は彩とイヴを人質に取った。
千聖「!」
「君、白鷺千聖ちゃんだよね?」
「オレ達と遊ぼうよ」
千聖「彩ちゃんとイヴちゃんを離しなさい!」
「一緒に来てくれるなら、離してあげるよ?」
千聖の説得にも全く応えようとしないばかりか、男2人が千聖に近づいて捕まえようとしていた。
彩「千聖ちゃん! 逃げて!」
イヴ「チサトさん!!」
誰もが千聖が連れていかれそうになったその時、飛鳥が普通に近づいた。
「!?」
「あ? 何だテメェ」
「誰だよ」
男子生徒達が飛鳥にメンチを切ったが、飛鳥は動じなかった。
飛鳥「ちょっとそちらの二人に用があるので離してもらえませんかね」
「用?」
「何だお前。お前もこの2人狙ってんのかよ」
飛鳥「いや、先生が呼んで来いって」
飛鳥が普通に言い放つと、千聖が近づこうとしたが、後からやってきた麻弥に止められた。
麻弥「千聖さん! 危ないっすよ!」
千聖「離して! 彩ちゃんとイヴちゃんが!」
日菜「あれ? あの子どこかで見たような…」
千聖たちが話している間に、男子生徒達が飛鳥に近づいた。
「オレ達はこの子達と遊ぶの。だからモブはどっか行ってろ…よッ!!」
「!!」
男子生徒の一人が飛鳥に殴りかかったが、飛鳥は普通に拳を手で受け止めた。それを見て皆が驚いていた。
「な、何…!!?」
飛鳥「こちらとしても早く呼ばないといけないんですわ。退いて貰えます?」
「ふ、ふざけやがって!!」
「やっちまえ!!」
2人がかりで飛鳥を倒そうとしたが、返り討ちにされ宙を舞った。
「……!!」
驚く生徒達をよそに飛鳥は彩とイヴを捕まえている男子生徒達を見つめた。男子生徒達は飛鳥の気迫に息をのんだ。
飛鳥「さて、引き渡して戴きましょうか」
「!」
飛鳥「どちらが宜しいですか?」
飛鳥の雰囲気が変わり、恐ろしいものになった。
飛鳥「大人しく引き渡すか、二度と太陽の元で人生が送れなくなるか」
飛鳥の気迫に男子生徒達は気おされそうになったが、
「た、ただのモブが何だ!!」
「これでもくらえ!!」
残りの男子生徒達が、彩とイヴを離して飛鳥に襲い掛かったが、飛鳥は瞬時に男子生徒達の後ろに回り込んで、一撃を食らわせて気絶させた。それを見て周りの生徒達は更に驚く。
千聖「……!!」
千聖が一番驚いていた。自分が知っている飛鳥は格闘技をやるイメージが全くなかったからだった。
そして飛鳥はそんな千聖の思いを無視するかのようにのびた男子生徒達を見つめていた。
「おーい!! 一体何があったー!!」
教諭が数名遅れてやって来ると、飛鳥は事情を説明し、女性教諭に彩とイヴを保護するように指示を出し、男性教諭には自分と一緒に男子生徒達を拘束するように命じた。それを千聖たちは不思議そうに見つめていた。
千聖(飛鳥くん…)
飛鳥の様子からきっと自分と離れている間に何かあったのだろうと判断した。
日菜「あの子、とっても強いね!」
千聖「え? そ、そうね…」
麻弥「だけどあの顔…どこかで見た事があるような…」
千聖「そうね…」
麻弥や日菜と話しているうちに、飛鳥はいつの間にか男性教諭と共にいなくなっていた。
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後日…
「おい、聞いたかよ…」
「昨日他校の男子が乗り込んできて、彩ちゃんとイヴちゃんが絡まれたらしいぞ」
「だけど、1年の奴が助けたって…」
「名前は確か…」
飛鳥が他校の男子を退け、彩やイヴを助け出した事が話題になっていた。
「あのー。一丈字くんいるかしら?」
千聖、彩、イヴが教室を訪ねたが、飛鳥の姿はどこにもなかった…訳ではなく、超能力で存在感を消して、気づかれないようにしていた。
飛鳥(…超能力が使えなかった頃の癖で、ついつい前に出過ぎちゃった。気を付けないと)
おしまい