『もしも飛鳥が喧嘩が強いことが学園内に知れ渡ったら』
バンドリ学園。今日この日、事件が起きた。
「ひ、ひぃ…!!!」
「……」
飛鳥はいつものように絡まれていたが、今回はファンの男子生徒たちではなく、不良生徒たちだった。陰キャだのガリ勉だの馬鹿にしていたが、遂に飛鳥も堪忍袋の緒が切れたのか、不良生徒の一人を返り討ちにした。
だが、一撃で気絶させた為、見ていた人間全員が慄いていた。
飛鳥「あまり大したことございませんね」
飛鳥が不良生徒たちを見つめると、不良生徒たちはまた慄く。
飛鳥「これで終わりですか?」
飛鳥がそう問いかけるが目は完全に笑っていない。目で殺す勢いだった。
飛鳥「これで終わりなら、あの女子生徒の方々にもお伝えいただけますか?」
「!?」
飛鳥「次はないと」
飛鳥の発言に生徒たちは凍り付いた。
飛鳥「それでは失礼します」
そう言って飛鳥は去っていくと、不良生徒たちはおろかその場にいた生徒たちは呆然と立ち尽くすしかなかった。
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その後、飛鳥は誰からもちょっかいをかけられる事はなくなったのだが…。
飛鳥「おはようございます」
「お、おはよう…」
飛鳥が教室に入ってきて挨拶をすると、クラスメイト達は少し驚いたように返事をした。それを見て飛鳥は少し苦笑いした。
飛鳥(まあ、そうなるわな…)
そして廊下を歩くと、皆飛鳥の方を見てひそひそ話をしている。
飛鳥(久しぶりに派手に暴れたもんなー…)
事もあろうに…。
「一丈字の奴、喧嘩めちゃくちゃ強いって聞いたぞ」
「マジかよ!!」
「くそう! このままPoppin’Partyはあいつのものになってしまうのか!!」
「でもボコられたくない…」
飛鳥が不良生徒をぶちのめしたことで、トラブルは一切なくなってしまった。これにより、飛鳥がバンドリ学園にいる理由もなくなってしまったのである。
飛鳥「……」
だが、飛鳥はとても嬉しそうだった。聞けば女子生徒にセクハラしようとすると、飛鳥が暴れるといううわさも耳に入っていて、抑制力になっていたのだった。
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そして帰り道、彩たちのバイト先に偶然近づくと、そこには長蛇の列が並んでいた。
飛鳥(誰かバイトしてんのかな…)
飛鳥が列を見ていると、列を並んでいた同じ学校の生徒が飛鳥に気づいて、慌てだした。
飛鳥「……」
モカ達のバイト先ややまぶきベーカリー、羽沢珈琲店も見て回ったが、皆自分に警戒してファンが大人しくなったのである。
その結果…。
飛鳥「分かりました。残念ですが、広島に帰ります」
携帯で和哉から問題ないと判断され、契約終了となった。バンドリ学園に残ってもよいという話も出ていたが、仕事の為に来ており、いずれ何らかの理由で学校を離れなければならなくなった。いざとなれば弦巻家の黒服たちからがいるので、飛鳥も問題はないと判断し、受け入れた。
電話を切った後、飛鳥は部屋を見渡した。
飛鳥「…さて、荷物を片付けるか」
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翌日、飛鳥が何気なく自分の教室でゆっくりしていると、
「飛鳥くん!!!」
香澄たちが慌てて教室にやってきた。
飛鳥「ど、どうしたんですか急に…」
香澄「転校するって本当!!?」
香澄の発言にクラスメイト達が驚いた。
「ええっ!!?」
「そうなの!? 一丈字くん!!」
飛鳥「え、ええ…。残念ながら…」
クラスメイト達からの問い合わせに、飛鳥が苦笑いして説明した。
有咲「お、おい…冗談だよな。お前がいなくなったら、誰があいつらを…」
飛鳥「心配しないでください。弦巻さん家の黒服の方々に引き継ぎをお願いしました。市ヶ谷さんや奥沢さんは心配することは何一つございませんよ」
飛鳥が有咲に対して安心させるように言い放った。
美咲「一丈字くん…。まさかとは思うけど、此間の事件が原因で…」
飛鳥「それはないです」
とか言いながら、ある意味間違ってはいなかったので、飛鳥は複雑な気持ちになっていた。まさかあんな簡単に任務が終わるとも思ってもいなかったからである。
たえ「それで…いつ転校するの?」
飛鳥「今月末です」
香澄「今月末って…今日で最後じゃん!!」
香澄の発言に皆が驚いた。
飛鳥「本当は帰りのHRで発表する予定だったんですよ」
「いやいやいやいや!!」
「急にも程があるって!!」
飛鳥「すみませんね。いきなりこんな事になって」
と、何とかのらりくらりかわしながら、飛鳥はその場をやり過ごして、超能力でほかの生徒たちが気にしないようにした。
4時間目・休憩時間
飛鳥「まさかこんな大ごとになるなんてな…。モカ達にも一応連絡したけど」
飛鳥が考えていたが、思った以上に大騒ぎになって困っていた。
その時、メールを確認すると着信履歴がいっぱい来ていた。
飛鳥「こんなに…!?」
飛鳥がメールを確認すると、各バンドから昼休憩時間が取れないかというものだった。飛鳥は気を遣わなくてよいし、ちょっとした騒ぎになるので遠慮した。
だが、昼休憩
「一丈字はいるか!!」
「出てこい!! 話がある!!」
男子生徒たちが押しかけてきたが、飛鳥は既にいなくなっていた。
「そこはいる所だろ!!」
「ていうか、いつの間にいなくなってる…」
飛鳥は中庭にいた。
飛鳥「……」
飛鳥が一人で空を見上げていると…。
「やっぱりここにいたのね。一丈字くん」
飛鳥「……」
飛鳥が横を見ると、千聖・モカ・こころがいた。
飛鳥「千聖さん。それにモカやこころも…」
モカ「いや~。水臭いにも程があるよ~。何も言わずにいこうとするなんて~」
飛鳥「ごめん」
モカの言葉に飛鳥は何も言い訳することはなかった。
こころ「でも、これで日向や椿たちの所に帰れるわね!」
飛鳥「まあ、それだけじゃないけどね…」
千聖「……」
千聖が飛鳥を見つめた。
千聖「一丈字くん」
飛鳥「なんですか?」
千聖「本当にありがとう。何回も助けてくれて」
飛鳥「……」
千聖の言葉に飛鳥はうつむいて笑みを浮かべた。
飛鳥「いいえ。自分のやる事をやっただけですので」
千聖「本当に謙虚ね」
飛鳥「そんな事はございませんよ」
千聖が悲しそうに見つめた。
千聖「まだあなたには返さなきゃいけない恩があったのに…」
飛鳥「それらに使う活力はあなたの夢を叶えるために使ってください」
飛鳥が苦笑いした。
飛鳥「短い間でしたが、とても楽しかったです」
こころ「でもやっぱり寂しくなるわね」
飛鳥「…そうだな。賑やかだったし。でもまた賑やかになるよ。諦めないだろうから」
千聖「それは諦めてほしいのだけど…」
飛鳥「人気者の運命ですよ。でも、これからはいろんな人が力になってくれます」
飛鳥がそう言うと、3人を見つめた。
飛鳥「千聖さん、モカ、こころ」
「!」
飛鳥「他の人達にも言わなきゃいけないけど、まず3人へ」
飛鳥が頭を下げた。
飛鳥「短い間でしたが、お世話になりました」
飛鳥の姿を見て、
千聖「こちらこそ、お世話になりました」
モカ「なりました~」
こころ「……」
こころだけは何も言わず、頭を下げなかった。そして飛鳥は頭を上げた。
飛鳥「これで完全にさよならではないので、またいつかお会いしましょう」
モカ「って、まだ完全に帰る訳じゃないでしょ?」
飛鳥「そうなんだけどね」
その時だった。
「飛鳥くん!!!」
「!!?」
香澄たちや男子生徒たちがやってきた。
飛鳥「これはこれは…」
香澄「その…飛鳥くん。本当に行っちゃうんだね…」
飛鳥「ええ」
香澄の言葉に飛鳥が頷いた。
「おい、一丈字!!」
飛鳥「?」
いつもは香澄たちの事でいがみ合っていた男子生徒たち。だが、いつもと様子が違った。
「香澄ちゃんたちをこんなに泣かせやがって!!」
「やっぱりてめーだけは許せねぇ!!」
「一発殴らせろ!!」
「何も学校辞める事ないだろ!!!」
男子生徒たちも寂しいのか、涙ぐんでいた。これに関しては飛鳥も驚きを隠せなかった。なんだかんだ言って彼らも寂しいのである。
飛鳥「……」
飛鳥は困惑していた。まさかここまで大ごとになるとは思ってもいなかったからである。
香澄「あ、そうだ! 今日送別会…」
沙綾「あ、ごめん。店番が…」
有咲「あたしも…」
モカ「モカちゃんもシフト入ってる…」
ひまり「あ、私も」
巴「あたしもだ…」
つぐみ「私も…」
そう言って皆用事が入っていたのだった。
飛鳥「もうお気持ちだけで十分ですし、これでさよならではありません」
「!」
飛鳥「生きてれば、またどこかで会えます」
香澄「飛鳥くん…」
飛鳥「本当にありがとうございました!」
こうして、飛鳥は本当に転校し、数日後には広島に帰っていった。
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暫くたって…
「飛鳥くん。これ見て」
「ん?」
広島の猪狩学園に帰ってきた飛鳥は普通の高校生活を送っており、教室で事績に座ってぼーっとしていると、同級生の林日向がある雑誌を持ってきていた。
飛鳥「ガールズバンドの雑誌か…」
日向「このページ!」
京「どれどれ?」
日向が飛鳥にあるページを見せると、そこにはバンドリ学園のガールズバンドについての記事が書かれていた。香澄たちがとても輝いている表情で演奏している写真が載っていた。同じく同級生の奈良川京も雑誌を見ていた。
飛鳥「とても輝いてるな」
そう言って飛鳥が微笑んだ。
飛鳥「ありがとう。見せてくれて」
日向「うん」
飛鳥が窓側に移動して、空を見上げた。
飛鳥(夢を叶えてくれよ、皆!)
おしまい
飛鳥(…やっぱり終わるんだなぁ)