一丈字飛鳥です。私としたことがやっちまいました。
「」
経緯はこうなります。ある日の休日に戸山さん達が合同ライブをやる事になり、私も誘われて会場に向かったんですけど、案の定彼女たちのファンにつまみ出されて、どうしようか迷っていた所、ファンの一部が暴走して、戸山さん達に近づいたんですね。警備員たちが取り押さえようとしたんだけど、返り討ちにあって、気絶しちゃったんですね。ファンがあまりにも強い事から、戸山さん達もお客さん達も恐れをなしてしまって…。
で、超能力を使おうとしたその時でした。
「!!?」
偶然犯人グループと私の目が合ったんですけど、向こうが私の顔を見るなり驚いたんですね。
「あ、あいつは!!」
「!?」
彼らはいったい何を怯えているのでしょう。皆注目が私の方に向けられて、本当にぶっ潰してやろうと思いました。
「や、やっぱりあの気迫…間違いない!!」
「ああ…! 間違いない…!!」
「逃げろォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
そう言って犯人たちは私の顔を見るなり、逃げ出しました。
そして私は追いかけました。
「いやぁあああああああああああああああああああああああ!!!」
「ゆるしてぇえええええええええええええええええええええ!!!!」
犯人たちは泣きわめいていた。許さねぇよ。人をさらし者にした落とし前はきっちりつけて貰うぜ!
「か、勘弁してくれやァ!! ほんの出来心だったんじゃ!!」
飛鳥「!?」
主犯格の男がしりもちをついて、私に命乞いをしてきた。あれ、この顔…。
「出所して再就職できるように努力したけど、どうにもならんかったんじゃ!」
「せめて広島では迷惑かけんように遠くまで引っ越したけど…」
「勘弁してくれ! もうあの男の所に行くのはイヤじゃあ!!」
…ああ、数年前に私と仲間が捕まえた窃盗犯でした。性懲りもなく悪さしてたのか…。
飛鳥「ああ…思い出してきた…」
「体はすっかりでかくなったけど、顔に見覚えがある!」
「命だけは取らんでくれぇ!!」
「あ、あの二人は元気ですか? なんちゃってー…」
飛鳥「…もういい。とにかく今すぐ自首したら、和哉さんからは見逃すから」
そんなこんなで私は男たちを警察に引き渡しました。
「絶対だぞ!? 絶対だからな!!?」
飛鳥「もうさっさと警察行ってくれ…」
男たちがパトカーに乗せられて、その場を走り去った後、私は途方に暮れた。完全に顔を覚えられてしまったからである。
飛鳥(平穏な生活を過ごしたいとは言わないけど…。少々面倒な事になったな)
そもそも私が何故ここに来たかというと、簡単に言えば護衛である。
昨今ではガールズバンドが大盛況で、今は戦国時代とも言われている。その中でも5つの人気バンドを要する『バンドリ学園』では、人気は高いものの、彼女たちに関するトラブルが後を絶たないのだ。正門前に出待ちがいたり、バイトの勤務先とかでの迷惑行為。そしてバンドガールに対する性的嫌がらせ。数えきればキリがない。
そこで超能力を使って、手間のかかる仕事をサクっと終わらせるために広島から東京まで派遣されました。高校1年生です。ちなみに私の語りはここで終わります。
飛鳥(さっきの女の子達がもうすぐこっちに来る。存在感を消そう)
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香澄「あれー? おかしいなぁ」
香澄達は飛鳥を探していた。
たえ「まっすぐ走ってれば、ここにたどりつくけど、別のルート行っちゃったのかな…」
りみ「そ、それはそうとあの人いったい何者なんだろうね…」
香澄「分かんない…。見た目はただの女の子なのにね」
沙綾「でも、助けて貰ったんだし、お礼を言わないと…」
有咲「まあ、それはそうだな…」
そう言ってPoppin’Partyは飛鳥を探し続けた。
飛鳥(…やっぱり女に見えるんだなぁ)
黒髪ストレートで青い瞳が特徴だが、一番特徴なのは中性的な顔立ちだった。
飛鳥(年を重ねるにつれて、母さんに似てきてるって言われるんだよな。ちょっと複雑)
飛鳥はこれからどうするべきか悩んだが、
飛鳥(バンドリ学園でまた会う事になるし、ここはいったん退散しよう)
そう言って飛鳥は香澄たちに気づかれないように去っていった。そしてこの後飛鳥の身に出来事は…もちろん言うまでもない。
おしまい