そして稲を植える事になったが…。
飛鳥「……」
飛鳥は慣れた手つきで稲を植え続けた。パスパレはそれを見て驚きを隠せなかった。
飛鳥「…あ、すいません。これだと画が取れないですね」
飛鳥は5人の視線に気づいて、手を止めた。
日菜「飛鳥くん本当にすごーい!!」
飛鳥「え? あ、そうですか?」
日菜「ねえねえ! どっちが沢山稲植えられるか競争しようよ!」
飛鳥「画はいりますか?」
千聖「いいんじゃない? やっちゃいなさい!」
飛鳥「えー…」
そんなこんなで勝負をしたわけだが、才能マンと才能ウーマンの戦いぶりはとてつもなくハイレベルですぐに終わってしまった…。
彩・麻弥「……!!」
イヴ「とてもきれいに並べられてます!!」
日菜「ふー。楽しかったねー!!」
飛鳥(オレが出しゃばって大丈夫かなぁ…)
日菜「これならいいお米が作れるねー!!」
千聖「そうね」
*************************
ところが…
イヴ「み、水が…」
日照りが続いて水がすぐに乾いてしまった。
彩「このままじゃ…」
日菜「これは雨ごいをするしかないね!」
「雨ごい!?」
飛鳥「あ、ごめんなさい。出しゃばって申し訳ないのですが、ちょっとよろしいでしょうか」
飛鳥が手を上げた。
日菜「どうしたの?」
飛鳥「ちょっと見せたいものがあるので、待っててください」
そう言って飛鳥はその場を離れた。
彩「何だろう…」
そして帰ってくると、木の樽を台車に運んで持ってきた。
飛鳥「簡単な奴ですが、自作の木槽です」
飛鳥の言葉に彩、麻弥、千聖の3人が絶句した。
日菜「すごーい!! 木槽作ったの!!?」
イヴ「モクソウ?」
飛鳥「貯水タンクってご存じですか?」
イヴ「はい! 知っています!」
飛鳥「簡単に言うと木で作った貯水タンクですね。3つ作りました」
麻弥「3つ作ったんですか!?」
飛鳥の発言に麻弥が叫んだ。
飛鳥「まあ、小さい奴なんですが、これで一度に大量の水を田んぼに送る事が出来る筈です」
千聖「…それも、教えて貰ったの?」
飛鳥「あ、はい。私が住んでたところはため池がなかったので、入れ物に水を入れて流してたんですね。その時は樽だったのですが、時間もそんなにないので、枡みたいなのしか作れませんでした…」
彩「いや、十分だと思うんだけど…」
飛鳥「という訳で、地道に水と肥料をコントロールしながら作りましょう!」
飛鳥の号令で干からびた田んぼに水を入れる作業が行われた。飛鳥、麻弥、イヴの3人が木槽の水を家の水道から入れる作業を行い、日菜、千聖、彩の3人が田んぼに水を入れる作業を行った。
麻弥「あの、一丈字さん…」
飛鳥「何でしょう」
麻弥「その…いつ作ってたんですか?」
飛鳥「ずっと作ってましたよ。皆さんが寝てらっしゃる間とか」
麻弥「ええっ!?」
飛鳥「私離れの家で寝泊まりしてるじゃないですか。あそこをラボにしてました」
イヴ「どうしてそこまで…」
飛鳥「いやあ、農作業を経験した者として…少し力添えをしたかったのです」
飛鳥が苦笑いした。
飛鳥「ただ、何でもかんでもやってしまっては番組にならないので、肝心なところは大和先輩達に頑張って頂こうと」
麻弥「一丈字さん…」
飛鳥の言葉に麻弥とイヴが感動していた。
飛鳥「まあ、大和先輩達を驚かせたかったというのもありますが…」
麻弥「完全にしてやられました」
イヴ「マジックです!」
飛鳥「いやー。木を伐採して良いというのは助かりました」
麻弥「ちゃんと許可取っててくれて良かったですよ」
飛鳥「…伐採届を出さないと、森林法に引っかかって罰金ですし、番組が成り立たないと思います」
麻弥「ですよねー」
*************************
そんなこんなで水の配給も完了した。
彩「本当に助けられたよー…。ありがとう」
飛鳥「いえいえ」
千聖「それはそうと一丈字くん」
飛鳥「何です?」
千聖「あなた、この木槽をどこで作ったの?」
飛鳥「私の寝室とその外で作りました」
千聖「見せて頂戴」
飛鳥「はい」
そう言って飛鳥が寝泊まりしている離れの家に向かうと、すっかり工場みたいになっていて、唖然としていた。
飛鳥「こんな感じですね」
彩「す、凄すぎる…」
飛鳥「いえいえ」
そんなこんなで米作りは終盤に差し掛かったが…。
千聖「台風ね…」
彩「そ、そんな…」
嵐がやってきて、外は雨だった。
彩「このままだと稲が…」
麻弥「あ、彩さん!」
イヴ「危ないです!!」
彩「で、でもこのままじゃ!」
日菜「そうだ! こういう時はこれでしょ!!」
日菜がギターを取り出した。
彩「ギ、ギター…?」
日菜「雨ごいならぬ晴ごい!!」
麻弥「や、やってみる価値はありそうですね!」
こうして5人は晴れる事を祈って演奏をした。そして飛鳥はこっそり田んぼに近づいて、超能力でガードをした。
飛鳥(こういう時便利だよな…)
**************************
暫くして、外は晴れて虹も出ていた。そしてやっと白米を食べる事が出来た。
5人「おいしー!!」
飛鳥「……」
パスパレの5人が食べている姿を見て飛鳥は安心したが…。
飛鳥(やっぱりオレ、いらなくね…?)
そう思っていた。しかも結局半年間も一緒にやってきたので、これが滑ったら色々シャレにならないと感じていた。
飛鳥(ていうかオムライス作るまで、ずっとこれやるの!!?)
自分の将来が本当に不安になる飛鳥であった…。
おしまい