全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第92話「前に出すぎることなかれ」

 

 

 今日も今日とて飛鳥が大活躍した。

 

「大丈夫!? 一丈字くん!!」

「あ、いえいえ。私は何ともございませんよ」

 

 Poppin’partyの山吹沙綾が話しかけてくると、飛鳥は何ともなかったかのようにふるまった。

 

「うえ~~~~~ん!!!」

「本当に…本当になんてお礼を言えば…」

飛鳥「いえいえ。お子さんがご無事で何よりです」

 

 事の顛末はこうだ。下校中、何も考えずに飛鳥は歩いていたが、なにやら変な運転をしている車を発見。そしてその車が走っていた子供を轢きかけたため、飛鳥は瞬時に超能力を使って、少年を抱えて移動させた。

 

 本来であれば少年を自分のところに引き寄せればよいのだが、それを使用するにはあまりにも不自然で、騒ぎが大きくなる可能性が高かったため、このような対処を取る事になったのだ。

 

飛鳥「私はこれにて失礼します」

「あ、ちょっと待って! 名前だけでも…」

飛鳥「一丈字です。それでは」

沙綾「あ、ちょっと!!」

 と、飛鳥が去っていった。

 

沙綾「……」

「も、もしかしてお知合いですか?」

沙綾「は、はい。同級生です…」

 

 後日…。

 

飛鳥「……」

 飛鳥が学校に来たが、大騒ぎになる事はなかった。

 

飛鳥(よかった…。幸い大ごとにしないようにしてくれたんだな)

 

 沙綾や校長が気を利かしてくれたのだと思い、飛鳥は一息ついた。

 

 そして3組の教室にやってきても、クラスメイト達は事故の事は一切話さず、いつも通りにしていた。

 

飛鳥(クラスの皆もいつも通りだ)

 

 午前中の授業、昼休憩、午後の授業と時間が過ぎていったが、誰も事故の事について話さなかった。

 

飛鳥(…もしかして、弦巻家が関わってるのかな?)

 あまりにも事故の事について触れられないため、飛鳥も流石におかしいと感じ始めた。

 

飛鳥(まあいいや。結果的にあの子供が無事だったんだから。大体こういう時大騒ぎになってたから困ってたし…。本当に助かった…)

 

 飛鳥は心の底から安心していた。これがいつもなら、クラスメイトたちが騒いで、学校でも表彰されて、香澄たちから褒められて、彼女たちのファンたちから滅茶苦茶怒られるというのが、ルーティンとなっていたが、今回はなかった。

 

飛鳥(まあ、お約束がなくなったと考えればよいのか…)

 

 と、飛鳥はそう自分に言い聞かせながら、学校を去っていった。

 

 

 翌日。

 

飛鳥「おはようございま…」

「一丈字!!!」

「一丈字くん!!」

 

 飛鳥が3組の教室に来るや否や、クラスメイト達が飛鳥に詰め寄った。

 

飛鳥「どうかされました?」

「どうかされましたじゃねーよ!! お前此間車にひかれかけてた子供を助けただろ!?」

飛鳥「え?」

「新聞に載ってるわよ!! これ!!」

 と、飛鳥が女子生徒から新聞を見せてもらったが、確かに新聞に載っていた。

 

『大手柄 バンドリ学園の男子生徒が間一髪で男児を救出』

 

飛鳥(やっぱりダメだったか…)

 目撃者が沢山いた為、飛鳥はやっぱり誤魔化せなかったと諦めていた。

 

「それから弦巻さん達が探してたよ」

飛鳥「?」

「怒ってたみたい」

飛鳥「あー…」

 

 飛鳥が怒ってる理由について心当たりがあった為、素直に納得した。

 

飛鳥「分かりました。怒られてきます」

 

 そして…。

 

香澄「飛鳥くん!! 聞いたよ!! 車にひかれかけた子供を助けたって…」

飛鳥「ええ」

 香澄が困ったように言い放った。

たえ「間一髪って事は…下手したら一丈字くんも…」

有咲「昨日何事もなく登校してたから何も言わなかったけど、本当に大丈夫なのか!!?」

飛鳥「ええ。大丈夫ですよ。それよりも山吹さん…」

 飛鳥が沙綾を見た。

 

飛鳥「あなたがお話しされたのですか?」

沙綾「そうよ…」

飛鳥「そうですか…」

 

 沙綾の言葉に飛鳥はこれ以上追及しなかった。

 

美咲「その…子供が助かってよかったけど…、いくらなんでも無茶しすぎよ!」

はぐみ「そ、そうだよ!」

飛鳥「ご心配おかけしました。すみません」

 飛鳥が謝罪した。

 

香澄「本当に怪我とか大丈夫なの!?」

飛鳥「ええ。怪我はしておりません」

香澄「本当に?」

飛鳥「ええ。今日また事情聴取があるんですけどね…」

「!!」

 飛鳥が香澄たちを見た。

 

飛鳥「本当にごめんなさい。次はこんな事がないことを祈るしかございませんが、なるべく無茶しないようにします。失礼します」

「あっ…」

 

 と、飛鳥は逃げるように1組の教室を去っていった。

 

 夕方。警察署で事情聴取が終わった後、飛鳥は公園のベンチに寝そべっていた。

 

飛鳥「あーあ…。結局どうすればよかったんだろ」

 飛鳥は空を見上げてぼーっと考えていた。

 

飛鳥「まあ、後悔はしてないけどさ…」

 飛鳥が立ち上がって、助けた子供とその母親の事を思い出した。

 

飛鳥「それでも死んじまうよりかはマシさ」

 そう言って飛鳥はその場を後にした。

 

 

おしまい

 

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