第194話の停学ルート…。
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ある日の事。Afterglowが教室で大喧嘩をし、その放課後に蘭が一人でいたところを他校の生徒が数名取り囲んでどこかに連れ去ろうとしたところ、それに気づいた飛鳥とモカ、つぐみ、巴、ひまりが駆け付け、逆上した男子生徒たちがモカたちに襲い掛かったが、飛鳥はやむを得ず男子生徒たちを格闘技でボコボコにしてしまう。
幸い蘭は無事で、ひまりの涙の説教やモカの説得もあり何とかAfterglowは仲直りできたが…。
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翌日、飛鳥は学園長室に呼び出され、教師と一緒に出てきた。そして心配してきたAfterglowや他のバンドガールズがやってきた。
ひまり「い、一丈字くん! どうだった…?」
ひまりの言葉に飛鳥は苦笑いした。
飛鳥「向こう側が先に手を出してきたことと、数人がかりで美竹さんに乱暴行為を働こうとしたことで、何とか損害賠償と慰謝料、治療費の支払いは免除になりましたが…」
「…それでも殴られた先方の生徒の怪我が酷くてな。今週いっぱいは停学だ」
「!!」
飛鳥が今週いっぱい停学になってしまい、Afterglowが慄然とした。
つぐみ「そ、そんな…!」
飛鳥「……」
つぐみがショックを隠せずにいると、飛鳥はばつが悪そうに視線をそらした。
巴「た、確かに怪我をさせたかもしれねーけど、一丈字は…」
飛鳥「宇田川さん。いいんですよ」
巴「けど!!」
飛鳥「相手の様子を聞いたんですけど、あれは停学になっても仕方がありませんよ。ちゃんと加減はしたつもりだったんですけどね…」
飛鳥が頭をかいた。
ひまり「て、停学の間一丈字くんはどうなるの!?」
飛鳥「自宅で謹慎して外出も禁止ですね。そしてずっと缶詰ですね」
飛鳥の言葉にモカは口角を下げた。モカ自身もこの結果に納得がいっていなかったが、飛鳥一人が不幸な結果を迎えることが一番納得いかなかった。
そして蘭も納得いってなかった。
蘭「先生」
「ん?」
蘭「どうして一丈字だけなんですか」
飛鳥「!」
蘭「あたしが問題を起こしたようなものなのに、どうして一丈字だけ…」
飛鳥「手を出したからですよ」
「!」
飛鳥が普通に言い放つと、蘭が飛鳥を見た。
飛鳥「どんな理由があろうと暴力はあってはなりません。それも怪我をさせたなら猶更です」
蘭「一丈字…」
飛鳥「とはいえ、仮に美竹さんが手を出していたとしても、恐らくお咎めはなかったでしょう」
蘭「ど、どうして?」
飛鳥「あなた自身を罰するより、私により厳しい罰を与える方が、あなたにとって一番いい薬になるからです」
飛鳥がそう言って目を閉じると、蘭はショックを隠せなかった。
香澄「こ、こころん! 何とかできないの!?」
こころ「そ、そうよ! 飛鳥は蘭を助けようとして…」
飛鳥「助けようとしても、結局ケガさせたんだ。それに弦巻家の力を使って助かるのは一番良くないんだよ」
こころ「どうして!?」
こころの言葉に飛鳥が困惑した。
美咲「最近一部の大金持ちが自分たちの権力を盾に好き放題してるのが問題になってるでしょ? 確かに一丈字くんが悪くないと思うけど、弦巻家の力を使って一丈字くんがお咎めなしになったら、この先一丈字くんが問題を起こしても弦巻家が助けてくれるって思われて、一丈字くんと皆の間に溝が出来ちゃうの。そうなったら一丈字くんもこの学園にいづらくなるの」
美咲の言葉にこころは理解できなさそうにしていた。
飛鳥「そういう訳ですので、しばらくは家で大人しくしときます。ご迷惑をおかけしました」
そう言って飛鳥は去っていくと、皆困った顔をしていたが、そんな中巴、モカと蘭は悔しさで震えあがっていた。
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その夜…。
飛鳥「はぁーあ…。課題もう終わっちゃったし、これからどうしようかな…」
本当に外に出ることが出来ない為、飛鳥は1週間何しようか考えていた。そんな中、モカから電話がかかってきた。
飛鳥「どうしたんだろ」
飛鳥が電話に出た。
飛鳥「もしもし…」
「もしもし…」
モカから電話がかかったが、元気がなかった。
飛鳥「どうしたんだ? 随分元気がないじゃないか」
モカ「飛鳥くんこそ、いつもより元気じゃん…」
モカの声色を聞いて飛鳥が苦笑いした。
飛鳥「何でかなぁ。誰かさんが落ち込んでるから、こっちも落ち込んでたら話が出来なさそうだなって思って」
モカ「…いじわる」
飛鳥の言葉にモカがそう言うと、飛鳥が苦笑いした。
飛鳥「まあね。オレの事は気にしなくても大丈夫って言いたいけど…気にしてくれるの?」
モカ「当たり前だよ」
モカの目が潤んだ。
モカ「それもそうだけどあたし…こんなに泣き虫だったかな…」
モカの涙声を聞いて飛鳥は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
飛鳥「いや、本当にごめんね」
モカ「謝らないで」
するとモカは涙を拭いた。
モカ「…明日からずっと家にいるんだよね」
飛鳥「いるよ。まあ、明日はちょっと親が来るから電話出れないけど」
モカ「そうなんだ…」
飛鳥「ああ。ちょっと色々話をしないといけないからさ」
モカ「…広島に帰ったりしないよね」
飛鳥「帰らないよ。というか今の状態で帰ったら、本当にイメージ悪いから」
モカの言葉に飛鳥が困惑したように突っ込んだ。
飛鳥「まあそういう事だからさ。明日も早いだろ。もうここまでな」
モカ「……」
飛鳥の言葉にモカは不安になった。
飛鳥「大丈夫」
モカ「!」
飛鳥「それじゃ、またな」
そう言って飛鳥は電話を切ると、モカはそのまま体育座りしてしゃがみこんだ。
その後も飛鳥の謹慎生活は続いたが、毎日のようにバンドガールズからメールや電話が来ていた。
飛鳥「有難い話だなぁ」
飛鳥は時間が空いているときにメールを返したが、中でもAfterglowは毎日連絡してくれていた。
そして学園では飛鳥が停学になった事で、チャンスと言わんばかりに男子生徒がバンドガールズにアプローチをかけた訳だが、当然そんな気持ちにもなれなかった。そして飛鳥の悪口を言おうものなら、本気でキレて黙らせることもあった。
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そんな調子で1週間過ぎた後、飛鳥は復学した。
飛鳥「お陰様で無事戻ってこられました」
「おかえりなさい」
クラスメイト達から温かく迎えられた飛鳥は困惑していた。
飛鳥「ああ…。やっぱり今までの環境が間違ってたんだなぁ…」
と、かつて自分を虐げた小学校の時の同級生たちを思い出した。
「ホントだよ。おかえり~」
飛鳥が振り向くと、バンドガールズがいた。
飛鳥「無事に戻ってまいりました」
ひまり「本当に良かったよぉ~!!!」
巴「本当にごめんな」
飛鳥「いえいえ」
とまあ、これで何もかも元通りになって一件落着になったかと思われたが…。
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「何かあっては危険だ!」
「僕が守るぅ!!」
と、バンドガールの周りを男子生徒たちが警備していたが、鬱陶しがられていた。
飛鳥「…私がいない間に何が」
モカ「飛鳥くんのまねごとをして、女の子達からチヤホヤされようって訳…」
飛鳥「ハァ…」
本当に進歩がないなと、飛鳥は男子生徒たちに呆れるしかなかったという。
おしまい