・ 飛鳥は中3でPastel*Palettesと会っている。
・ パスパレは本編開始前の1年前からバンドを組んでいる。
・ パスパレブレイクのきっかけは飛鳥。
第57話「雨上がり」
第57話
『もしも飛鳥とPastel*Palettesの初対面が違っていたら』
それは昔の話。飛鳥はWONDER BOYの仕事で東京まで来ていた。超能力を駆使して普通の人間では対処が困難、もしくは不可能な仕事をこなすのがWONDER BOY。
飛鳥は超能力だけではなく、頭脳や技術も常人離れしていた為、結構仕事が多かった。
飛鳥(最近流行りのチートだって言われるけど、私の場合は何の努力もしてないという訳ではございません。ちゃんとやる事やって、それを応用として活かしてます)
いわばリアルチートである。
さて、そんな事はさておき、仕事の帰りにとある場所に立ち寄った。
飛鳥(ん?)
飛鳥は5人組の少女が雨の中、傘を差さずにチケットを配っていた。この5人組の少女が「Pastel*Palettes(通称:パスパレ)」である。
「おねがいしまーす!!」
「おねがいしまーす!!」
と、配っていたが誰も興味を示さない。
飛鳥(…地下アイドルかな?)
飛鳥はそう思ってスルーしようとしたが、一人の男がパスパレに近づいた。
「おい、お前らパスパレだよな?」
「!?」
男は悪態をつくようにパスパレに近づいた。
「そ、そうですけど…」
リーダーの丸山彩がそう言うと、チケットを強奪してばらまいた。
「!!」
「インチキアイドルが、こんな事してんじゃねーよ!!!」
と、叫んで去っていった。彩はショックを受けていた。
「あ、彩ちゃん…」
「……」
と、他のメンバーが彩を見ていると、飛鳥がすぐにチケットを拾った。
「!!?」
飛鳥「早く拾わないと地面にくっつきますよ」
飛鳥がチケットを拾いながら、彩に話しかけた。
飛鳥「何があったかは分かりませんが、こうやって地道に努力してる事は必ずどこかで活かされます。気長に行きましょう」
と、飛鳥は普通に話しかけると、彩も慌ててチケットを拾い始めた。
そしてチケットを拾い終えると…。
彩「あの、ありがとうございました!」
飛鳥「いえいえ」
彩が頭を下げた。
飛鳥「あの、何があったんですか?」
彩「そ、それは…」
「その前にあたし達の事知らないの?」
「ちょ、ちょっと日菜さん!!」
日菜が話しかけると、麻弥が慌てた。初対面の人間に対して馴れ馴れしすぎるので慌てていたのである。
飛鳥「すみません。あまりアイドルには詳しくないもので…」
彩「あ、えっと。私達「Pastel*Palettes」っていうアイドルグループなんですけど…」
「事務所の意向でバンドをやらされたのよ」
と、白鷺千聖が話しかけた。とてもふでふでしい。
飛鳥「バンド?」
千聖「無理だって言ったのに、事務所の連中が初ライブはエアバンドでごまかすって言ったのよ。で、結果的に音響トラブルが発生して、エアバンドであることがバレて、大バッシング。こうやって雨の中でのチケット配りに泣く泣く甘んじてるのよ」
千聖はそう言った。
飛鳥「だからさっきの人がインチキって言ったんですね」
彩「ごめんなさい…折角チケットを拾ってもらったのに…」
飛鳥「それは別に構いませんよ。さっきの人の態度が鼻についたのでこっちもつい」
飛鳥が彩を見つめた。
飛鳥「それはそうと…バンド活動は続けられるんですか?」
麻弥「そうするしかないっす…。じゃないと、汚名も返上できないので」
千聖「…このままプラスになるとは思えないけどね」
麻弥「ち、千聖さん!!」
千聖が悪態をつくと、飛鳥は千聖を見つめた。
千聖「な、何よ」
飛鳥「お言葉ですけど、プラスにするしかありませんよ」
「!!?」
千聖「どういう意味かしら?」
飛鳥「事務所の無茶振りには同情しますが、1回逃げた仕事はずっとついて回るって、此間ドキュメンタリー番組でやってましてね。今の仕事を続けたいなら、ちゃんと向き合ったらどうですか?」
千聖「あなたに何が分かるのよ!」
彩「ち、千聖ちゃん!!」
飛鳥「分かりませんよ。初めて会ったのに」
飛鳥が口角を下げる。
飛鳥「だけどこのまま逃げてちゃ負け犬ですし、勿体ないですよ」
「!?」
千聖「どういう意味?」
飛鳥「できる事が増えれば増える分だけ仕事が来る。寧ろ今の状況でバンドが上達すれば、ちゃんと認めてくれますよ。知名度もあって、出来ていなかったからこそ。ある意味これはチャンスですよ」
飛鳥の言葉に皆が驚いた。
飛鳥「まあ、折角恵まれたチャンスを活かせないようでは…少し厳しいんじゃないんですかね。少なくとも金髪のあなたは」
千聖「……っ!」
千聖が口をへの字にした。
飛鳥「やるのか、やらないのか、どっちですか? 二つに一つですよ」
千聖「ず、随分舐めてくれるじゃない…!」
飛鳥「その発言から、やるんですね?」
千聖「…ああもう! 分かったわよ! やればいいんでしょやれば!」
飛鳥「そうですか。それでは、今後の活躍にご期待しております。それでは」
そう言って飛鳥が去ろうとすると、
千聖「待ちなさい! あなたチケットは!?」
麻弥「ち、千聖さん! 素が出てます!!」
飛鳥「申し訳ないんですけど、私行けないんですよ。これから広島に帰らないといけないので」
「えーっ!!?」
飛鳥の発言に皆が絶叫したが、
飛鳥「でも大丈夫ですよ」
「?」
飛鳥が周りを見渡した。
飛鳥「チケットを買ってくれそうなお客さん。沢山いますから」
と、5人が見渡すと確かにチケットを欲しそうにしている人たちがいた。
飛鳥「それじゃ、頑張って」
飛鳥が親指を立てると、そのまま去っていった。
彩「……」
その時だった。
「あの…」
彩「!」
「チケット、貰えませんか?」
「オレも!」
「あちきも!」
「なんだかんだ言って可愛いもんね!」
「ぶっちゃけオレ。ああいうトラブルも好きだ!!!」
と、ファンが押し寄せた。
彩「は、はい! はい!! ありがとうございます!!」
と、彩が涙ぐみながらチケットを配っていた。
そしてそんな人だかりを見て飛鳥は…。
飛鳥(…めっちゃ都合よすぎない?)
あまりにも上手く行き過ぎた為、困惑していたが、いつの間にか雨がやんで、空に虹がかかっていた。
飛鳥(…けどまあ、こんな展開ならいいかもね)
これが一丈字飛鳥。中3の夏だった…。
そして半年後。飛鳥はまたWONDER BOYの依頼で、バンドリ学園に行く事になった。
飛鳥「今回の依頼は、バンドガールズに近づくヤラカシの始末で、これがバンドガールズのリストか…」
飛鳥が新幹線の中でリストを見つめると、そこにはPastel*Palettesの写真があった。
飛鳥(あっ…)
おしまい