前回までのあらすじ
半年前、飛鳥は仕事の帰りにチケットを手配りしていたアイドルバンド「Pastel*Palettes」と出会う。男が投げ散らかしたチケットを回収し、一声をかけてその場を去っていった。
そして現在、飛鳥はある目的のために、Pastel*Palettesのいるバンドリ学園へと足を運ぶことになった。果たして…。
バンドリ学園。
「今日からこの学校に転校してきた一丈字飛鳥くんだ」
飛鳥「宜しくお願いします」
飛鳥は1年3組の教室に配属されて、そこそこ歓迎されていた。黒髪に黒い大縁の眼鏡をかけて、目立たないようにしていた。
飛鳥(反応はますますだな…)
と、何とか潜入する事に成功したと感じる飛鳥であった。
飛鳥(そういや1組と2組にターゲットがいるんだったな。まあ、無理にかかわる必要もないか…)
飛鳥はそう考えて、休憩時間はずっと教室にいた。クラスメイト達と適当に話をして、時間をやり過ごした。
そしてあっという間に昼休憩がやってきた。飛鳥は声をかけられないように静かにその場を去った。
飛鳥(そういやあっちは1組と2組だったな…。ちょっとだけ様子見とくか)
と、飛鳥は1組の教室の前を通った。すると…。
「……!?」
Pastel*Palettesのメンバーである若宮イヴが飛鳥に気づいた。
こころ「どうしたの? イヴ」
イヴ「ご、ごめんなさい! ちょっと用事が!!」
と、イヴが廊下を出ていき、飛鳥を追いかけていったが、飛鳥は瞬時に隠れた。
飛鳥(…どうしたんだろう)
飛鳥は思わず困惑した。
イヴ「おかしいな…確かこの辺にいたはずなのに…」
イヴがキョロキョロ見渡していた。
イヴ「半年前…私達を助けてくれたヒト…」
飛鳥(オレを探してたのか…)
飛鳥は驚いていた。
飛鳥(…どうしようかな。顔出そうかな。けど)
その時だった。
「イーヴちゃん」
と、男子生徒達が現れた。いかにも何か女に手を出してそうなチャラ男である。
イヴ「あ、あなた達は…?」
「こんな所で何してんの?」
イヴ「えっと、人を探してたんです!」
「人?」
「もしかしてオレ達?」
イヴ「いや、違いま…」
「まあ、そんな事よりもさ。オレ達と飯食わね?」
イヴ「え、えっと…」
「いーからいーから」
と、男子生徒の1人がイヴの腕を強引に引っ張った。
イヴ「は、離してください!!」
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃん」
「何? パスパレそういう事すんの?」
飛鳥(あ、これ訴訟案件だな)
飛鳥が存在感を消して、スマホで撮影して、超能力で男子生徒達を腹痛にさせた。
「ぐ、ぐあああああああああああああああああ!!!」ゴロゴロ
「は、腹が…」ゴロゴロ
「漏れるぅ…」ゴロゴロ
と、突然腹痛になりだした男子生徒達に対して、イヴが不思議がっていた。
イヴ「だ、大丈夫ですか?」
「心配してくれるの? ありがとう…」
「ま、また今度ね…」
「おい、早くしないともれる…」
と、男子生徒達が去っていった。イヴは何が起きているのか全く分からなかった。
飛鳥「……」
飛鳥が笑みを浮かべて、その場を後にした。
その後、飛鳥は普通に教室に帰ってきて、そのまま5時間目を受けた。その間イヴは飛鳥の事が気になって仕方なかった。
イヴ(あの顔…間違いない。私達を助けてくれたあの人だ…)
イヴは5時間目の間、ずっと飛鳥の事を考えていて、授業が全く頭に入らなかった。
5時間目終了後、イヴは教室を出て飛鳥を探した。
イヴ(もしかしたら近くにいるかも…!!)
と、イヴが2組、3組の教室を見て回ると、3組の教室に飛鳥がいた。
イヴ(いた!!)
その時だった。
イヴ「あ、あの!!」
イヴが思い切って声をかけると、皆がイヴを見た。飛鳥もイヴの方を見る。そしてイヴは飛鳥に近づいた。
イヴ「も、もしかして…半年前に私達に声をかけてくれませんでしたか!?」
と、イヴがそう言うと飛鳥は目を閉じた。
飛鳥「いえ」
イヴ「……!」
飛鳥がそう言うと、イヴは俯いた。
イヴ「そ、そうですか…。ごめんなさい」
飛鳥「いえ」
そう言ってイヴは落ち込んで帰っていった。
飛鳥「……」
飛鳥は口をへの字にした。
「い、一丈字くん…」
「もしかして、若宮さんと知り合いなの?」
飛鳥「いいえ。全く知りませんよ」
飛鳥がそう言い放つと、クラスメイトの女子が。
「…あのさ」
飛鳥「?」
「もしかして半年前、〇〇駅にいた?」
飛鳥「〇〇駅?」
「そこで丸山先輩にチケット渡してなかった?」
飛鳥「チケット?」
「…あの時の映像、拡散されてるの知ってた?」
飛鳥「……」
飛鳥は何も答えなかった。
「答えて。あなたでしょ!!」
飛鳥「ええ。その通りですよ」
「!!?」
飛鳥の言葉に皆が驚いた。
「どうして嘘ついたの!!?」
「イヴちゃん可哀そうだよ!!」
飛鳥「そうですね。彼女には酷な事はしましたが、今は黙っていた方が良いかと思います」
「どうして?」
飛鳥「今、大事な時でしょう。それなのに男の影があったら大変ですよ。それに、あそこで名乗り出たら売名行為だと思われますしね。恩を売る為にあんな事をしたわけではございません」
飛鳥の言葉にクラスメイト達が黙った。
「ね、ねえ…」
飛鳥「?」
「もしかして半年間、パスパレのCDとか買ったりした?」
飛鳥「いいえ全く。色々バタバタしてたもので」
「えっ」
飛鳥の言葉に皆が驚いた。
飛鳥「まあ、彼女たちが元気そうで何よりですよ」
と、飛鳥は強制的に話を終わらせてしまった。
1組
イヴ「……」
イヴは落ち込んで帰ってきた。
香澄「イヴちゃんどうしたの?」
イヴ「私が探してた人…。人違いでした…」
沙綾「人違い?」
りみ「もしかして、半年前Pastel*Palettesを助けてくれた人?」
イヴ「はい…。顔も声もそっくりだったから、本人かと思ってたんですけど…」
沙綾「ちなみにどんな感じ?」
イヴ「こんな感じです」
と、イヴが飛鳥の似顔絵を描いたが、飛鳥にそっくりだった。
こころ「飛鳥!!?」
こころが叫ぶと、皆がこころを見た。
こころ「…あっ!!」
こころが青ざめた。
イヴ「ココロさん!! 何か知ってるんですか!?」
イヴがこころに詰め寄ると。
こころ「し、知らないわ!!? 飛鳥の事なんて全然知らないわ!!」
美咲「いや、嘘つくの下手すぎ!!!」
こころが必死にごまかそうとしたが、物凄く焦っていて顔に出ていた為、美咲に突っ込まれた。
イヴ「ココロさん!!!」
こころ「……!!」
案の定、バレました。
おしまい