全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第103話「雨宿りのPastel*Palletes」

 

 

 ある日の事だった。

 

「あーん!! もう最悪~!!!!」

 

 と、Pastel*Palletesのボーカル担当の丸山彩が叫んだ。彩だけではなく、メンバー全員がいる。彼女達は事務所でバンドの練習をしていたのだが、突然雨に降られてしまったのだ。

 

麻弥「うう…とても冷たいっす…」

イヴ「風邪引いちゃいますね…」

 麻弥とイヴが震えていると、

 

日菜「へっくち!!」

 日菜がくしゃみした。

千聖「大丈夫日菜ちゃん」

日菜「へーきへーき」

 

 日菜が返事をすると、千聖が嫌そうな顔をした。

 

千聖「それにしてもだいぶ濡れてしまったわ…」

日菜「そうだねー。服もスケスケ。ブラも丸見えだよー」

千聖「そういう事言わなくていいから/////」

 

 どこまでもマイペースな日菜に千聖が困惑した。その時だった。

 

「おい、見ろよ。あれ、パスパレじゃね?」

「ホントだ」

「何か濡れてるぞ!」

 

 と、同じ学校の男子生徒5人がやってきた。

 

彩「!!」

千聖「あいつらは…」

 千聖の予想通り、男子生徒達が近づいた。

 

「そんな所でどうしたの?」

「濡れてるじゃん。風邪ひくよ?」

 と、優しく声をかけてくるが、顔が完全に下心丸出しだった。能天気な日菜や、純粋無垢なイヴでも分かった。

 

 これは完全にヤバい奴だと。

 

イヴ「うう…」

 

 男子生徒の気味悪さにイヴがしり込みすると、

 

「そんなに怖がらなくてもいいじゃん」

「オレ達はただ心配してるんだよ?」

 

 と、必要以上にイヴと距離を縮めようとする男子生徒達。それを千聖が遮る。

 

千聖「ありがとう。けど、心配は無用よ?」

(うほっ、結構丸見え…)

(うひょー。こりゃついてる)

 

 男子生徒達は千聖の濡れた姿を見て、興奮していた。

 

「とにかくオレ達と行こうよ」

「駅までさ」

千聖「お生憎様。迎えに来させてるので」

「どうせ一丈字だろ?」

「大丈夫だって。オレ達が送るから」

「無理やりこさせたら悪いよ」

 

 と、男子生徒達も引かないどころか、千聖の手を無理やりつかんだ。

 

千聖「!!」

麻弥「千聖さん!!」

 

「ゴッホン!!」

「!!?」

 

 という咳払いが聞こえたので、皆が同じ方向を見ると、

 

「あー。女の子が襲われてるって通報があったんだが?」

「君たち、ちょっと署まで来てくれるかな」

 

「ひ、ひぃいいいいいいいいいい!!!」

「待て!!」

 と、男子生徒達が退散すると警察官が追いかけて行った。

 

彩「な、なんだったんだろう…」

麻弥「よく分かりませんが…助かりました」

 彩と麻弥が安心していると、日菜がある事に気づいた。

 

日菜「あ!! 飛鳥くんだ!! しかもスマホ弄ってるよ!!」

「!!?」

日菜「おーい!! 飛鳥くーん!!!」

 と、日菜が飛鳥に向かって叫んだが、飛鳥は気づいてないのか、そのまま去っていった。

 

日菜「電話かけよ」

 日菜が電話をかけた。

 

 数分後

 

飛鳥「いや、私通報してませんよ?」

日菜「うっそだー」

飛鳥「それでしたら履歴見ます?」

千聖「履歴って消せるから証拠にならないわよ?」

飛鳥「それでは証拠になるものは何でしょうか」

千聖「私に聞かないで」

飛鳥「私本当に何もしてないんですよ。で、何もしてなくてお礼などをされて、後で違った時に色々言われるの嫌です」

千聖「…正直でよろしい」

 飛鳥の言葉に千聖が困惑しながら突っ込んだ。

 

日菜「えー。本当に飛鳥くんじゃないのー?」

飛鳥「ええ。残念ですが。それよりも早く風呂に入った方が良いですよ」

千聖「それが出来たら苦労しないわよ」

飛鳥「いや、後ろの温泉ハウスなので、風呂入れますよ?」

「!!?」

 飛鳥の言葉に5人が反応すると、確かに温泉ハウスと書いてあり、服や下着も売っている旨が書いてあった。

 

飛鳥「そういう訳ですので、これにて失礼いたします」

 飛鳥が去ろうとすると、日菜が飛鳥をつかんだ。

 

飛鳥「何でしょうか」

日菜「あたし達がお風呂あがるまで待ってて」

飛鳥「ごめんなさい。私ちょっと用事がございまして…」

千聖「用事って何?」

 千聖がジト目で見つめる。

飛鳥「郵便局まで荷物取りにいかないといけないんですよ」

麻弥「た、確かに用事っすね…」

飛鳥「そういう訳ですので」

日菜「それじゃ、荷物を取ってきたらまた戻ってきて! 待ってるから!」

飛鳥「よろしいんですか?」

日菜「うん!」

飛鳥「あ、はい」

 

 そう言って飛鳥は去っていった。

 

 30分後、飛鳥が温泉ハウスの中に入ると、風呂を浴びたパスパレ5人がロビーで待っていた。

 

飛鳥「お待たせしました」

日菜「荷物何だったの?」

飛鳥「中華鍋です」

 空気が止まった。

 

「中華鍋…?」

麻弥「あ、そういや前にお料理されるって言ってましたね!」

飛鳥「そうなんですよ。で、ちょっと新しいの買ったんですけど、いろいろあって郵送と言う事にしてもらってたんですよ」

 と、飛鳥が苦笑いした。

 

日菜「今度飛鳥くんの手料理食べてみたーい!」

麻弥「いや、日菜さん。流石に迷惑っすよ…」

飛鳥「まあ、そのうちご招待します」

日菜「約束だからね!?」

 

 それなりにパスパレと話をした。

 

 一時間後。空は晴れあがっていた。

 

飛鳥「あ、晴れましたね」

日菜「ホントだ!」

 6人が表に出た。

 

イヴ「うわー…!!」

日菜「虹出てるかな!?」

千聖「流石に出てないわね…」

彩「でも綺麗な空…」

 と、感動していた。すると、先ほどの2人の警察官がやってきた。

 

日菜「あ、さっきのおまわりさんだ」

「!」

日菜「あのー! すみませーん!」

「ん?」

 ひなの声に反応した警官2人が日菜たちを見た。

 

「あ、さっきの…」

日菜「さっきの男の子たちどうなりました?」

「ああ。あまりにも舐めた口を利いてたから、警察署にしょっぴいたよ」

「今頃親御さんに怒られてるだろうな」

飛鳥・麻弥(そこまでするか)

 飛鳥と麻弥が心の中で突っ込んだ。

 

千聖「すみません」

「何ですか?」

千聖「先ほどは助けていただいてありがとうございました」

 千聖が頭を下げると、彩、イヴ、麻弥も頭を下げた。

千聖「どなたかが通報されたのですか?」

日菜「この子が通報したんですか?」

「いやいや、今日はこの子じゃないよ」

「そうそう。パトロール中に…」

千聖「今日『は』?」

 

 警官の言葉に千聖が引っ掛かり、飛鳥を見ると、飛鳥は横を向いた。

 

千聖「顔向けなさい。何かあったんでしょ」

麻弥「え、彼…通報したことがあるんですか?」

「通報というよりかは…」

「3日前。女子高生を付け回してたストーカーをつかまえてくれた事があってね」

日菜「3日前に付け回してたって…女の人の特徴は?」

「そうだな…。君とそっくりだったな」

日菜「やっぱり! おねーちゃん、前に知らない男の人につけられたって言ってたけど、3日前から見なくなったって言ってた!!」

 日菜たちも飛鳥を見たが、飛鳥も千聖たちを見た。

 

飛鳥「はい、それは私がやりましたが、何か間違ったことしましたか?」

彩「いや、なに一つ間違ってないよ」

千聖「その態度は大間違いよ」

 千聖が腕を組んだ。

 

飛鳥「あ、日菜先輩。もちろんお分かりですよね」

日菜「おねーちゃんに喋らないでって事でしょ?」

飛鳥「違います。紗夜先輩が気を遣うので、喋らないでください」

日菜「だいじょーぶだよー。じゃあ電話するねー」

 

 と、日菜は紗夜に電話をかけた。

 

 どうなったかというと…。

 

紗夜「本当にありがとうございました…!!」

飛鳥「あ、いえいえ…」

 

 紗夜にすごく感謝された。

 

 

おしまい

 


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