第181話「うどんの腰」
一丈字飛鳥です。今日も今日とて、ヤラカシ退治です…。
「てめぇこの野郎!!」
「花音ちゃんのパンツ盗もうとしやがって!!」
「ひぇえええ…すみませーん!!!」
…いつもこんな感じです。
あまりにも変態が多すぎて流石に参り始めたころ、町内会の福引で相撲観戦のチケットが当たったため、気分転換に見に行く事になりました。で、当日…。
「楽しみね!」
「モカちゃん達の事は気にせずー」
どういう訳か、こころとモカがついてきました。まあ、別にいいんだけどチケットを当てた経緯をどうやって知ったのかだけ知りたい。
相撲の事はあまり詳しくはないけど、片方の横綱の全勝優勝がかかっていて、お客さんは超満員でした。私とこころとモカは一緒の所に座っていて観戦していたのですが、試合が始まると二人ともヒートアップして…。
こころ「がんばってー!!」
モカ「がんばれー!!」
飛鳥「……」
私にくっついていました。近くにいたおっさん達は力士じゃなくて私達の方を見て羨ましそうにしていました。で、隣にいたであろう奥さんに怒られてました。
結果としては横綱の全勝優勝で、会場は大盛り上がり。
こころ「やったやったー!!」
と、こころは相変わらず私にくっつくし、モカはそれを見てニヤニヤしてるし、おっさんはおっさん達で懲りずにまだこっちを見てるし…オレ、ここに何しに来たんだろう。
さて、今回のお話は相撲観戦が終わった後から始まります…。
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こころ「とっても楽しかったわね!!」
飛鳥「そ、そうだね…」
飛鳥は困惑していた。
モカ「それにしても飛鳥く~ん。女の子からくっつかれてどうだった~?」
飛鳥「生きた心地がしなかった」
こころ「え? どうしてかしら?」
飛鳥「もうね。相撲観戦ってテレビ中継されるから、万が一アレ見られたらどうすんの」
こころ「飛鳥は嫌なの?」
飛鳥「こころは嫌じゃないの?」
こころ「別に? 喜びを分かち合ってるんだし、アメリカじゃハグは普通でしょ?」
飛鳥「ここは日本だよ…」
こころのマイペースぶりに飛鳥は呆れるとともに、いつも面倒を見ている美咲に対して同情した。
飛鳥「さて、相撲観戦も終わったし、解散しよっか」
モカ「え~」
飛鳥「え~って何よ…」
モカの反応に対して飛鳥が困惑した。
こころ「そういえば飛鳥は晩御飯どうするのかしら?」
飛鳥「近くにうどん屋あるから、そこで食べて帰るよ」
モカ「うどん? 食べたい!」
こころ「あたしも食べたいわ!」
飛鳥「…言っとくけど割り勘だからね」
モカとこころの様子を見て飛鳥が困惑した。
モカ「え~。ケチ~」
飛鳥「親しき仲にも礼儀あり。誕生日やお祝い事以外は割り勘だよ」
こころ「あら。それだったらあたしの家でご馳走してあげるわよ?」
飛鳥「…ありがたいけど、払うのこころじゃないでしょ」
飛鳥が困惑した。
モカ「流石こころちゃ~ん」
飛鳥「…ハイハイ。ケチで悪うござんした。オレはもう行くからな」
モカ「待ってよ~」
と、結局3人でうどんを食べに行く事になった。歩いて10分した所で到着した。
飛鳥「あれ? おかしいな…」
こころ「どうしたの?」
飛鳥「此間来たときはもうちょっと綺麗だったのに、何か小汚いぞ…」
モカ「こういうお店程美味しいんだよ~」
飛鳥「……」
飛鳥が何かを感じ取った。
こころ「…どうしたの?」
飛鳥「場所を変えよう」
モカ「え? どうして?」
飛鳥「ヤバい奴らが来てるみたいだ。関わると碌な事がないぞ」
「誰が碌な事がないって?」
「!!」
飛鳥達が横を見ると、そこにはガラの悪いチンピラがいた。
こころ「あなた達は一体誰なの?」
「あ? 誰でもいいだろうが」
「それよりもお嬢ちゃん達、碌でもないって言うのは聞き捨てならないな」
「どういう事だ?」
飛鳥「こころ、モカを連れてここから離れるんだ」
こころ「えっ?」
飛鳥「いいから」
飛鳥が前に出た。
飛鳥「アンタ達…この店に対して悪さをしてるだろ」
「!」
飛鳥「数人がかりで店に来ては、店員に暴力を振るったり、ここに来た客に対してイチャモンをつけたりしてる。そうだろう?」
「あ!?」
「舐めてんのかねーちゃん!!」
「ちょっと教育する必要があるなぁ…」
「よく見たらねーちゃんも、なかなかいい顔してるなぁ…。体は貧相だけど」
と、チンピラが飛鳥達に近づいた。
飛鳥「こころ、早くしな!」
こころ「!!」
すると男性の黒服達が現れて、チンピラたちを捕らえた。
飛鳥「平三さん!」
「な、何をしやがる!!」
「離せぇ!!」
平三「こころお嬢様に危害を加えるこの愚か者共に地獄を見せてやるのだ!!」
「はっ!!」
「は、離せぇ!! 離せぇえええええええええええ!!!」
と、どこかに連れていかれた。
モカ「おー…」
飛鳥「ありがとうございました」
平三「いえ、こころお嬢様とそのご友人方をお守りするのが我々の使命ですので。失礼します」
と、平三たちは去っていき、また3人だけになった。
飛鳥「……」
モカ「あのおじさん達もバカだよね~。こころちゃんに手を出そうとするなんて~」
飛鳥「…そうだね」
飛鳥が苦笑いすると、店から老人が出てきた。
「騒がしいけど、何かあったんかいな?」
飛鳥「えっとですね…」
飛鳥が事情を説明した。
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「本当にありがとう。あのチンピラどもには前から嫌がらせをされていて困っていたんだ」
飛鳥「そうだったんですか…」
飛鳥、モカ、こころの3人はご馳走になっていた。飛鳥としては話をしただけで信じてくれるかどうか怪しかったが、平三が証拠のデータを送ってくれたため、証明できた。
「お礼と言っちゃあ何だが、好きなだけ食べて行ってくれ!」
飛鳥「えっ!? いいんですか!?」
飛鳥が驚いた顔をした。
「勿論。どうせお客さんは来ないし、あのチンピラどもがやられたのを知ってスカッとした。さあ、どんどん食べてくれ! トッピングもおまけするよ」
モカ「わーい」
こころ「嬉しいわ! おじさん!」
と、大盤振る舞いに飛鳥は困惑し、こころとモカは大喜びした。
飛鳥「いいのかな…」
モカ「飛鳥くんは結構気にし過ぎだよ~」
飛鳥「…職業病って奴かな」
飛鳥は首を横に振った。
おしまい