全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第182話「うどんの腰・完結」

 

「いやー。くったくったー」

 

 と、橋の上を飛鳥、こころ、モカの3人が食べていた。

 

飛鳥「本当によく食べたね…」

モカ「飛鳥くんもでしょ~」

飛鳥「やっぱり遠慮しとくべきだったな…。店主さん凄く驚いてたし…」

 

 店主の言葉を失った姿を思い出して、飛鳥は罰が悪そうにしていた。そんな時、こころがあるものを見つけた。

 

こころ「あら!? お相撲さんだわ!」

モカ「あ、ホントだ~」

飛鳥「……」

 

 3人が前方に力士がいる事を発見するが、何やら様子がおかしい事に気づいた。

 

モカ「あれ~? 何か元気ないね~」

飛鳥「……!」

 

 すると、力士が履物を穿いておらず、しかも力士の背後に遺書らしきものが置かれていたので超能力で止めた。

 

飛鳥「飛び降り自殺をする気だ! 力士の後ろに下駄と遺書がある!」

モカ「えっ!?」

こころ「本当だ!!」

 

「な、何だ!? 体が…」

こころ「お相撲さーん!!! 自殺はやめなさーい!!」

飛鳥「……」

 

 ストレートに自殺という言葉を使っていて、飛鳥は唖然とした。

 

***********************

 

 とある喫茶店

 

「ううう…」

 力士は両手で顔を覆っていた。

 

こころ「自殺なんてしたらダメよ。何があったの?」

「そ、それは…」

 すると飛鳥は力士の顔を見て、ある事を想いだした。

 

飛鳥「あなた確か金剛部屋の高谷関では…」

「!!」

モカ「金剛部屋って今日優勝した…」

「…はい。わしはそこで10年相撲をやっておりますが、結果は出せずにおるんです」

こころ「だからって死ぬのはダメよ!」

「…すんません」

 と、高谷は頭を下げた。

 

高谷「…ちゃんこ番としての腕は買われ、何とか部屋には置いて貰っているものの、後から来た力士にドンドン追い越されていき、わしは存在価値を失ってしまったんですばい」

モカ「ちゃんこ番~?」

こころ「飛鳥。ちゃんこ番って何かしら?」

飛鳥「力士の料理を作る当番の事なんだけど…。もしかしてずっとちゃんこ番としてやってたんですか?」

高谷「はい。もう相撲の方は出世の見込みがないので、ずっとちゃんこを作っておりました。ちゃんこの腕に関しては親方も認めてくださってるくらいで…」

こころ「じゃあそれでもいいじゃない。誰かの役に立ってるんだから」

モカ「そうだよ~。もしかしたら、今日の試合で吉葉若が優勝できたのだって、もしかしたら高谷関のちゃんこのおかげかもしれないよ~?」

高谷「そう言ってくれるのは有り難いけど、わしは相撲取り。相撲で結果を出せなければお終いなんじゃ」

飛鳥「…勝負の世界だからなぁ」

 飛鳥が腕を組むと、テレビに吉葉若が映っていた。

 

『優勝の決め手は何ですか?』

吉葉若『そうですねー。日頃の練習もそうですけど、やっぱりちゃ…』

 と、おっさんがチャンネルを変えてしまった。

 

飛鳥「ちなみに、今相撲を止めたらあてってあるんですか?」

高谷「ありません…」

こころ「だったらうちのちゃんこ番をすればいいのよ!」

 と、こころがとんでもないことを言いだした。

モカ「えー…」

飛鳥「言うと思った」

高谷「も、もしかしてお嬢ちゃんの家って料理屋をしているのかい?」

こころ「そうねー…。確かやってたわね」

飛鳥「あ、この子弦巻財団の一人娘なんですよ…」

高谷「つ、弦巻財団!!? あの弦巻財団の!!?」

飛鳥「はい、あの弦巻財団です」

 

 とてつもなく驚く高谷に対して、飛鳥が苦笑いした。

 

高谷「いえいえっ!! わしのような素人が弦巻財団で働くなんてそんな…!!」

 

 と、高谷が恐れおののくと、モカがある事を想いだした。

 

モカ「あ、それもいいけど~。さっきのうどん屋さんで働くのはどうかな~」

飛鳥「あ、そっか」

高谷「?」

 モカと飛鳥の会話に高谷は頭に「?」マークを浮かべた。

 

********************

 

 後日、リキ屋…。

 

飛鳥「…という訳です」

「まさか働き手まで紹介してくれるとは!!」

高谷「今、親方やおかみさんと話をしている最中ですが、もし雇っていただけるなら身を粉にして働きます!」

 

 と、飛鳥、モカ、こころの紹介で高谷をリキ屋で働かせるようにした。

 

飛鳥「こんな大男がいれば、チンピラも恐れおののいて店に来ませんよ」

「そうだと良いんだがね…」

 店主は不安そうにした。

飛鳥「大丈夫です。奴らはまた報復しにこちらに来ると伺いますが、我々で作戦を考えております」

「え?」

飛鳥「少しばかりお騒がせしますが…」

 飛鳥が苦笑いした。

 

**********************

 

 その夜。チンピラたちがリキ屋の前に現れ、店の中に入った。

 

「おいコラぁ親父!! 酒や酒!!」

「はよもってこんかーい!!」

 と、チンピラたちが暴れだすと、どっかりと一つのテーブルの椅子に座り始めた。

 

「美味いもん持ってこんと店の中メッタメタにしてまうど!!」

 チンピラがそう言うが、誰も返事しなかった。

 

「おいコラ聞いとんのかぁー!!?」

「お客様~」

「ああん!!?」

 

 高谷が現れた。

 

高谷「お店の中で暴れんといてください」

「ああん!?」

「舐めてんのかこのデブ!!」

「あの親父だせやオラァ!!」

 と、チンピラの一人が高谷の胸ぐらをつかんだが、高谷は豪快にチンピラを投げ飛ばした。

 

「ぐわあああああっ!!」

「ヤス!!」

「てめぇオラァ!!!」

 と、仲間のチンピラが暴れたが、高谷一人になすすべもなかった。10年も幕下だったとはいえ、一般人相手にはほぼ無敵状態だった。

 

「く、くそう!!」

 チンピラたちは逃げ出そうとするが、

 

「そこまでだ!!!」

「!!」

 

 と、松永たち警察官が出そろっていて、チンピラたちはうろたえていた。

 

松永「器物破損、および脅迫の容疑で現行犯逮捕だ!!」

「く、くそぉおおおおおお!!!」

 チンピラたちが凶器を取り出そうとしたその時、陰で隠れていた飛鳥が超能力で動きを止めた。

 

「か、体が…」

松永「かかれぇええええええええええ!!!」

 

 松永の号令によって警察官が一斉に突撃し、チンピラ達を取り押さえて現行犯逮捕した。

「く、くそォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

飛鳥「…よし!」

店主「バンザーイ! バンザーイ!!」

 飛鳥は店主、高谷と共にチンピラが連行される様子を目の当たりにした。すると飛鳥はスマホからグループ通話を開いた。安全の為、自宅待機をさせているモカとこころに対してだった。

 

飛鳥「作戦成功だ。チンピラ達は予想通り襲撃したけど、高谷さんが追い払ってくれたよ」

こころ「それは良かったわ!」

モカ「それじゃ明日はモカちゃん達の出番だね~」

飛鳥「ああ。宜しく頼むぜ!」

モカ「りょーかーい」

こころ「任せといて!!」

 

*******************

 

 後日…。

 

「中々大盛況だな!!」

「そうだね」

 

 Afterglowと飛鳥、こころ、松永がリキ屋にやってきていたが、飛鳥たち以外にもお客さんが沢山来ていた。

 

飛鳥「あのチンピラ達によって離れていた客も、どんどん戻ってきたみたいですね」

モカ「そうだねー」

 その時だった。

 

「お待たせしましたー」

 と、鍋の材料と土鍋を持った高谷がやってきた。

 

飛鳥「高谷さん!」

モカ「調子はどう~?」

高谷「へへへへへ。お陰様で順調ですわ! うどんの方はまだまだ親方には遠く及びませんが、筋が良いと褒められとるんですよ!」

飛鳥「そりゃあ良かったですね」

高谷「へへへ。これも一丈字さんや青葉さん、弦巻さんのお陰ですわ!」

飛鳥「そんな事はございませんよ。高谷さん自身の努力の賜物です」

 

 飛鳥が苦笑いした。

 

高谷「へへへ…。まあ、あの時はもう相撲しか生きる道がないと思っていたもので、一生懸命だったんですわ。相撲でうまくいかなかった分、せめてこっちでは横綱ばりの活躍をして、いつかのれん分けをして貰うのが夢なんです」

飛鳥「そうですか」

松永「その意気だ! 頑張れよ!」

高谷「はい! お巡りさんもあの時はありがとうございました!」

 と、高谷が頭を下げると、周りにいた客たちも拍手した。

 

「頑張れよー!!」

「応援してるからね!!」

「ちゃんこの横綱目指せ!!」

 

 皆から賞賛されて高谷は照れたが…。誰かが入ってきた。

 

高谷「!!」

「高谷さん」

 

 と、そこには飛鳥達が数日前に千秋楽で見た横綱・吉葉若がいた。高谷より年上で先輩だった。

 

高谷「よ、吉葉若関!!」

「!!」

 

 突如横綱が現れた為、店は騒然としていた。

 

高谷「ど、どうしてこのような所に…」

吉葉若「君がここで働いていると聞いて、顔を出しに来たんだ」

高谷「ど、どうしてですか? わしのような幕下が、横綱に何か…」

吉葉若「ちゃんこだよ」

高谷「え?」

 吉葉若が苦笑いした。

 

吉葉若「…言いにくい話だが、君が辞めてからちゃんこの味が大幅に落ちてしまっていて、今まで誰が作っていたか親方に聞いたんだ。そしたら君だって」

高谷「……」

吉葉若「高谷さん。私がこの一年で優勝できたのは、あなたが作ったちゃんこのお陰だと言ってもいい。具材のバランスが良く、栄養価も申し分ない」

 吉葉若の言葉に高谷は目が潤み始めたが、吉葉若は次のような行動に出た。

 

吉葉若「本当にありがとう。感謝してる」

「!!」

 

 なんと横綱が大勢の前で幕下に頭を下げたのだ。これには高谷も涙が止まらなかった。

 

高谷「何て恐れ多い!! 顔を上げてください! 吉葉若関!! あんたはわしのような人間に頭を下げるべき人間なんかじゃない!!」

吉葉若「そうは言うが、おかみさんが言っていただろう」

「!」

吉葉若「どんな立場になっても、飯を作る人間には感謝の気持ちを忘れるなと。だから身分も関係もない。本当にありがとう」

高谷「吉葉若関…」

 

 と、店はそのまま暖かい空気に包まれた。

 

*************************

 

 そして吉葉若関が帰り、高谷が仕事に戻ると、飛鳥達も鍋にありついたが…。

 

ひまり「美味し~!!」

蘭「…ひまり。もうちょっと落ち着いて食べなよ」

 ひまりの食べるペースが速かった。

ひまり「だって、どれもこれも美味しいんだもん…」

巴「食べ過ぎると関取みたいになるぞ」

ひまり「」

 巴の言葉にひまりが石化した。

モカ「最近は女相撲も盛んだから~」

蘭「…そうなると、Afterglowの活動もちょっと考えて貰わないといけなくなるかも」

ひまり「ちょ、ちょっと皆やめてよ~!!! 男の子もいるのに~!!!/////」

 と、ひまりが慌てると、皆が笑いだした。

 

 

おしまい

 

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