日菜「へー…。あなた面白くてるんってするね! お名前は?」
飛鳥「え? 私ですか?」
日菜「うん。君」
飛鳥「一丈字飛鳥です」
日菜「一丈字…変わった苗字だね」
飛鳥「よく言われます」
高山「そういや出身地は?」
飛鳥「大阪です」
「大阪!?」
飛鳥が出身地を言うと、皆が驚いた。
日菜「え!? やっぱりアレ!? なんでやねんとか言うの!?」
飛鳥「その発言に対してまさに「なんでやねん」なんやけどね」
「関西弁!!」
「ツッコミスキル割と高かった!!」
飛鳥「関西出身って言うと皆面白い事言うだろうなーってイメージがありますけど、大きな間違いですよ。私みたいな暗くて乗りの悪い陰キャもいます」
日菜「いや、見る限りノリ良さそうに見えるんだけど…」
と、日菜はどんどん飛鳥に興味を持ち始めた。
日菜「いやー。飛鳥くんって本当にるんってするね…」
飛鳥「るん?」
日菜「るんはるんだよ!」
その時だった。
「日菜! 何をしてるの!」
と、日菜にそっくりの少女・氷川紗夜が現れた。
日菜「あ、おねーちゃん!」
飛鳥「おねーちゃん?」
日菜「うん! あたしの双子のおねーちゃんなの!」
紗夜「…氷川紗夜です。妹がご迷惑をおかけしました」
飛鳥「あ、いえ。お構いなく…」
紗夜が謝ると飛鳥が困った様子を見せた。
紗夜「日菜。相手の方が困ってるじゃないの」
日菜「はーい。それじゃまた後でねー」
と、日菜は紗夜と共に去ろうとしたが、友希那とリサがやってきた。
飛鳥(また増えた…)
飛鳥が困惑すると、リサが飛鳥の作った鍋を見た。
リサ「これ、君が作ったの?」
飛鳥「え、ええ…」
リサ「す、すごい…サツマイモとか牛蒡が入ってて、栄養バランスもいい…」
と、リサがお世辞抜きで驚いていた。
飛鳥「…そんなに驚く事ですかね」
リサ「だって男の子でこんなに料理できるなんてすごいよ!」
友希那「私達と組んだあの男子達とは大違いね」
「グハァ!!」
リサ「友希那!!」
友希那の辛らつな発言に男子生徒達は吐血し、リサがそれは言い過ぎといわんばかりにツッコミを入れた。
友希那「そうだわ。この人のグループに入れて貰いましょう」
リサ「いや、友希那。流石にそれはダメだよ…」
飛鳥「もうそんなに時間もないですし、簡単な料理でも作った方が良いんじゃないでしょうか」
リサ「それもそうね。ありがとう」
と、リサが日菜たちを連れて戻ると、方針を男子達に伝えた。男子達は悔しそうにしていたが、これ以上リサたちに迷惑をかけるわけにはいかなかった為、大人しく従った。飛鳥はその様子を苦笑いしてみていた。
飛鳥「あ、出来上がったみたいだな」
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高馬「とても美味いじゃないか!! 蒸し鍋! わさびを入れるとこんなに美味いんだな!」
飛鳥「ちゃんこ鍋も美味しいですよ。スープも肉と野菜の旨味が取れてますね」
と、飛鳥達は一足先に料理を食べていたが、あまりのクオリティの高さに他の生徒達も遠くから見ていた。
高谷「へへへへ。しめはうどんがあるとよ!」
飛鳥「いいですね」
そうやって4人で食べていると、日菜がやってきた。
飛鳥「あ、氷川さん」
日菜「日菜」
飛鳥「え?」
日菜「おねーちゃんと被るから。あたしにもお鍋頂戴!」
飛鳥「そちらの野外炊飯は終わったんですか?」
日菜「うん。リサちーが余った食材で、野菜スティック作った! まやちゃんが好きだから!」
飛鳥「野菜スティック…」
友希那「ハァ…」
リサ「文句言わない! ね?」
「うぅぅぅぅ…」
麻弥「アハハハハ…」
薫「これも一つの儚い思い出…」
友希那達は野菜スティック地獄に見舞われていた。
飛鳥「そういえば野菜スティックのソースって…」
日菜「マヨネーズだよ?」
飛鳥「そ、そうですか…」
日菜「それよりもお鍋ちょーだい!」
飛鳥「あーはい…」
と、飛鳥が蒸し野菜を器に入れて日菜に渡して食べさせた。
日菜「おいしーい!!」
飛鳥「そうですか…」
日菜「とっても美味しい!! るんってするよ!!」
飛鳥「そ、そうですか…」
日菜の「るん」とする発言に苦笑いする飛鳥。
日菜「そっちのお鍋も貰っていい?」
高谷「どうぞどうぞ」
と、高谷がよそおうと、
日菜「こっちも美味しい! なんていうお鍋?」
高谷「ちゃんこ鍋でごわす」
日菜「ああ! お相撲さんが食べるお鍋だね!」
高谷「へへへ。わしは相撲部でごわすので」
日菜「そうなんだー。やっぱり体も大きいねー」
日菜はすっかりその場になじんでおり、飛鳥は苦笑いしながらその場をやり過ごそうとしたが、
日菜「どっちも美味しいよ!」
飛鳥「それは何よりです…」
高谷「しめにはうどんもあるでごわすよ!」
日菜「すごーい!!」
と、完全に友希那達をすっぽかしてこっち側に来ている日菜に対して、飛鳥は気まずそうにしていた。
飛鳥「…日菜さん」
日菜「なあに?」
飛鳥「戻らなくていんですか?」
日菜「だいじょーぶだよー。後は野菜スティックを乗せたお皿を洗うだけだし、自由だもん! それに…」
日菜が飛鳥を見つめた。
日菜「君ともっと仲良くなりたいしね?」
と、日菜が妖艶な笑みで飛鳥に迫ったが、飛鳥はじーっと見つめていた。
日菜「…どうしたの?」
飛鳥が苦笑いした。
飛鳥「いえ、少々昔の事を想いだしただけですよ。忘れてください」
日菜「えー!! 何なのー!? 気になるー!!」
と、すっかり日菜と仲良くなっていた。
彩「ひ、日菜ちゃん…」
紗夜「あの子ったら…」
千聖「気持ちは分かるわ…」
1組のテーブルから彩達が見ていたが、日菜の様子に苦笑いするか呆れていた。
友希那「やっぱりあの子の所に入れて貰いましょう」
リサ「ちょ、それはダメだって!」
友希那「リサの分まで蒸し鍋食べてくるわ」
この後、ちゃっかりありついたのは言うまでもなく…。
飛鳥「……」
リサ「ごめんね。手伝うから…」
飛鳥「いえ…」
追加の鍋を作る羽目になった飛鳥であった。
おしまい