全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第106話「ありがた迷惑」

 

 

 一丈字飛鳥です。このシリーズも106回目を迎えました。まあ、数字だけ見れば中途半端なんですが、戸山さん達ガールズバンドの人気は衰えを知りません。

 

 ライブハウス「CiRCLE」をはじめ、色んなライブハウスでライブをしてはお客さんを集め、大成功を収めています。男性ファンが多い事から、抽選になるそうです。

 

 中にはチケットの奪い合いや、Twitterでチケットを譲ってほしいと書き込みが…って、某大手アイドル事務所にもあったな…。

 

 それはひとまず置いておいて、ファンも結構個性が強かったりします。女性だと推しにあやかったり、サイリウムを持ってたりしてますね。で、男性の方だと戸山さん達の写真をプリントしたものを着てますね。

 

 勿論、うちの学校の生徒達もライブハウスに足を運んでは、ライブを楽しんでいます。まあ、ここまでは良いんですが…。

 

 問題はここからですね。

 

「こころちゃ~ん。ムヘヘヘヘ」

「薫ちゃんをメスにしてやらぁ!!」

「友希那様ぁ…」

 

 こんな感じでヤラカシもいるんですね。弦巻さんに至っては、黒服の人たちが秒殺しました。実は私も裏で超能力を使ってヤラカシを懲らしめたりしてるんですね。

 

 黒服さんと同じ格好をして…。あ、私の語りはここで終わりです。

 

「お疲れ様です。一丈字様」

飛鳥「いえいえ…。いつも大変ですね」

「いえ。お嬢様の笑顔を考えれば大したことはございません」

飛鳥(この人たちはこの人たちでちょっと妄信的な感じがするんだよな…)

 

 顔色一つ変えず、こころの為に身を粉にして働く黒服達に対して、複雑な感情を抱いていた。

 

 そしてどうなるかというと、

 

「ハァ…」

 友希那が教室で不機嫌そうにしていると、傍にいたリサが苦笑いしていた。

 

リサ「まあ、それだけアタシ達も有名になったって事よ」

友希那「だからって自分のパンツを送る馬鹿がどこにいるっていうの」

リサ「…確かにキモいけど」

 

 先日、ライブをしてファンたちから出待ちをされたが、とあるファンから自分のパンツをプレゼントされたのだ。しかも色々汚くて即座に捨てた。

 

友希那「弦巻さんのおうちの方に頼んで、シベリアに飛ばしてもらおうかしら」

リサ「何でシベリアなの…」

友希那「寒いじゃない。凍死すればいいわ」

リサ「コラコラ」

 

 友希那が物騒な事を考えていたので、リサは諫めたがリサ自身もあのような迷惑なプレゼントは今後はやめてほしいと考えていた。

 

 そんなある日の事だった。

 

飛鳥「……」

 飛鳥の机の引き出しに沢山プレゼントが入っていた。カミソリだったり呪いの手紙だったり、あまり嬉しくないプレゼントだった。

飛鳥「まあ、当然の結果と言えば当然の結果だろうけど、随分古風だな…」

 飛鳥が苦笑いした。

 

「あれ? どうしたの一丈字くん」

飛鳥「奥沢さん」

 

 美咲が3組の教室を通り過ぎようとしたが、飛鳥が困った顔でカミソリを持っているのに気付いたため、声をかけた。

 

飛鳥「いやあ、私もファンからプレゼントをもらいまして」

美咲「は?」

 

 飛鳥が皮肉気味に冗談を言うと、美咲が片眉を上げた。そして美咲の様子を見た飛鳥は事情を説明した。

 

美咲「…マジ?」

飛鳥「まあ、それだけ有名な証拠ですね。パスパレのファンが一番多いです」

美咲「ちょっと一丈字くん。大丈夫…って言っても大丈夫じゃないよね」

飛鳥「まあ、私が我慢していれば大ごとにはならなくて済むのですが、こっちがやり返したら大ごとになりますからね」

美咲「…お、おう」

 

 何かとんでもない奴敵に回してないか? と、美咲は悪寒を感じた。実際に「バンドリ学園の異空間」と呼ばれるこころに対してトレーナーのように接している彼の事は一目を置いていたが、今までの活躍を考えて、絶対只者じゃないと考え始めていた。

 

美咲「な、何かあったら相談して頂戴ね」

飛鳥「ありがとうございます」

 

 そう言って美咲が去っていった。

 

飛鳥「……」

 

 またある日の事だった。

 

ひまり「……」

 ひまりは激怒していた。

 

モカ「仕方ないってー」

巴「とはいえ…」

ひまり「何で私の差し入れ、下着ばっかりなのよー!!! モカや巴はパンやラーメンとかなのにー!!」

 

 Afterglowも差し入れを貰っていたが、ひまりだけ何故か下着が差し入れされるというセクハラまがいの事をされていた。ちなみに他の4人の差し入れは食べ物が多い。

 

ひまり「しかも何か最近Afterglowのセクシー担当とか言われてるし…!」

巴「その…ドンマイ」

 巴がそういうと、蘭とつぐみが困惑していると、飛鳥が通りかかった。

 

モカ「あ、飛鳥く~ん」

飛鳥「?」

 飛鳥がモカの方を見ると、ひまりが不機嫌そうになっていることに気づいた。

 

飛鳥「どうかされました? 上原さん」

ひまり「聞いてよ!!!」

 ひまりが涙目で飛鳥に不満をぶちまけた。

 

飛鳥「…それは、いろいろ辛いですね」

ひまり「そうなのよぉ!! 好きでこんなに大きくなったわけじゃないのにぃ!!」

飛鳥「落ち着いてください」

 ちなみに、男子生徒が皆振りむいていた。

 

飛鳥「その…慰めになるかどうかはわかりませんが、上原さんはまだマシだと思いますよ」

「?」

モカ「そういや飛鳥くん、カミソリとか呪いの手紙貰ってるんだって~?」

飛鳥「あ、奥沢さんから聞きました?」

ひまり「ええっ!!? そうだったの!!?」

 

 飛鳥の発言に蘭、巴、ひまり、つぐみが驚いた。

 

飛鳥「あ、でも大丈夫ですよ。人に嫌われるのは昔から何で」

蘭「そういう問題じゃないでしょ!!」

巴「一体誰だ!? そんな姑息な事する奴らは!! うちの学校からか!!?」

飛鳥「もう色んな所から来てますね。この学校の人たちからもそうですし、あなたがたのファンからも来てますし、ほかのグループからのファンからも来てます。ある意味人気者ですね」

 

 飛鳥が一息つくと、モカ以外の4人が言葉を失った。

 

友希那「一丈字くん」

 友希那、リサ、美咲が現れた。

 

飛鳥「湊先輩」

リサ「…今の話マジ?」

飛鳥「はい。多分今後も来ると思います」

 飛鳥が苦笑いした。

 

飛鳥「そして今も…」

 飛鳥が男子生徒達を見つめると、

 

「こ、こっち見んな!!!」

「言いがかりだ!!」

「いや、違うんだってマジで!!」

「ふざけんなよ一丈字!!!」

 

飛鳥「じゃあこれで送られる事はございませんね。少なくとも学校からは」

「……」

 すると飛鳥が美咲を見つめた。

 

飛鳥「そういう訳なので奥沢さん」

美咲「!」

飛鳥「外部の人たちをどうすればよいかは、これから考える事にします」

美咲「そ、それはいいけど…随分楽しそうね」

飛鳥「そうですか?」

友希那「そんなの決まってるわ。強いわよ。この子」

「!!」

 

 友希那の言葉に皆が反応した。

 

友希那「希望を捨ててないもの。流石仮装大会でAfterglowを破っただけあるわね」

 友希那の言葉に蘭がカチンと来て、リサ、ひまり、巴、つぐみが青ざめた。

 

友希那「けど一丈字くん。あまり無理はしては駄目よ」

飛鳥「はい」

友希那「私は此間、男性物の下着を送り付けられたわ」

飛鳥「え」

 友希那の発言に男子生徒達は発狂した。

 

友希那「そういう訳だから、変なものを送り付けられた者同士、仲良くしましょう」

飛鳥「は、はあ…」

ひまり「それじゃ私とも仲良くしましょ! エッチな人なんてもう知りません!!」

モカ「モカもー」

 と、よりいちゃこらするようになった。

 

「何でやぁあああああああああああああ!!!」

「また読者に怒られろ!!!」

「ていうか誰だよ!! 使用済みのパンツ送ったのォ!!!」

「友希那ちゃんのパンツほしい…」

 

 

 今日もバンドリ学園は平和…だったのか?

 

飛鳥「聞くな!!」

 

 

おしまい

 


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