誠に申し訳ございません。
書き下ろしです。
第563話
おでんが出来るまでの間、飛鳥達はじっと待っていることにした。ただ、飛鳥は友希那と燐子がさっきから自分にずっとくっついているのが気になっており、話題を振る事にした。
飛鳥「そういや他の皆さんは大丈夫ですかね」
友希那「大丈夫じゃないと思うわよ」
飛鳥の言葉に友希那がそう返すと、飛鳥だけではなく燐子も困惑した表情を浮かべていた。確かにその通りなのだが、露骨に大丈夫じゃないと言った友希那に対しても困惑していた。
友希那「今頃男子達にウザ絡みされているに違いないわ」
飛鳥「そうですよね…」
友希那の言葉に飛鳥は何とも言えなかった。友希那と燐子に関しては自分がこっちに来ることを想定してこのコースを選んだという訳だから、リサ達と一緒じゃなくて良かったのかという質問は野暮だと思っていた。
友希那「まあ、紗夜達に後で話は聞くとして、今はこっちのコースに集中しましょう」
飛鳥「そうですね。畑作業とかどうでした?」
燐子「結構大変だった…」
飛鳥の質問に燐子がそう答えると、燐子はある事に気づいた。
燐子「あ、あの…飛鳥くん…」
飛鳥「なんです?」
飛鳥が燐子の方を見ると、燐子は頬を染めた。
燐子「その…汗臭くなかった?」
飛鳥「いえ、全く」
燐子の言葉に飛鳥は即答した。決してめんどくさいからとかではなく事実を言ったまでである。しかし、飛鳥にとってこういう質問はさじ加減を間違えると一気に信用を無くしてしまうので、出来る限り避けたい質問であった。
友希那「そういえば今日は思い切り汗をかいたわね」
飛鳥「……」
友希那「貴方に言っているのよ?」
飛鳥「あ、私だったんですか…」
てっきり燐子に話しかけているのかと思っていた飛鳥だったが、友希那の言葉に面食らっていた。
友希那「もし臭いなんて言ったら承知しないわよ」
飛鳥「言いませんよ」
友希那「その時は気絶するまで匂いを嗅がせてやるわ」
飛鳥「湊さん。貴女そういうキャラじゃないでしょう…」
燐子「わ、私も…」
飛鳥「あー。早くおでん出来ないかなー」
原作では考えられない2人の積極的ぶりに飛鳥は現実逃避をする事にした。ちなみに一緒に参加していた男子生徒達は遠くから飛鳥達を見守っていた。
「まあ、オレ達はね…」
「でも、一丈字くんすげーよな…」
「ああ…」
「とてもじゃないけど真似出来ねーよ…」
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そんなこんなでおでんが出来上がった…。
和国「おーし。そろそろ頃合いだな」
和国の周りに生徒7人が集まった。そして和国がおでんの鍋の蓋を取ると、それはそれはとても美味そうなおでん鍋が出来上がっていた…。
「おおーっ!!!」
朝からずっと働いていた生徒達はとても目を輝かせていた。気温はとても高く暑くておでんなんて食べる気など普通はないが、働いてお腹を空かせていた為、おでんがご馳走に見えた。
そして均等に継ぎ分けていき、皆が席についた。ちなみに飛鳥は友希那と燐子に挟まれていた。
和国「さあ、皆食ってみてくれ!!」
「いっただきまーす!!!」
和国の号令で生徒達がそう言うと、一斉におでんを食べた。すると生徒達は一気にほころんだ。
「うっめェ~~~~~~~~~~!!!!!!」
飛鳥を除く男子達がそう叫んだ。そして友希那と燐子は口には出さないものの、とても美味しそうに食べている。飛鳥はそれを見て口角を上げている。
和国「ハッハッハ!! そうだろう!! おでんそのものもそうだが、一生懸命働いた後の食事は格別だ!!」
和国も美味しそうに食べる生徒達を見て満足そうにしていた。
飛鳥「ああ…。五臓六腑に染みわたる…」
別皿におでんの出汁を入れてお茶のように飲む飛鳥。
燐子「飛鳥くん。お疲れ様…」
飛鳥「いえいえ。白金さんもお疲れ様でした。他の皆さんも」
「いやあ。流石一丈字くんだよ」
「本当に助かった」
と、他の参加者たちと打ち解けていった。
和国「まだたくさんあるからな! どんどん食ってくれ!!」
飛鳥「…そういや量的に結構あったなぁ」
友希那「食べるでしょう?」
飛鳥「ええ。それはもう…」
結構働いたので飛鳥はもっと食べたそうにしていた。するとそんな中、
友希那「じゃあ私が食べさせてあげるわ。口を開けなさい」
飛鳥「はい、あーん」
友希那「私じゃないわよ!!!」
飛鳥がちくわを食べさせようとして友希那が突っ込んだ。すると燐子はジト目で見つめていた。
燐子「飛鳥くん。友希那さんが嫌がってるみたいだから私に…」
燐子がそう言った次の瞬間、友希那は何かを察したのか飛鳥のちくわを食べた。
飛鳥「湊さん…」
友希那「嫌だと言っていないわ」
友希那がちくわを食べながらそう言うと、燐子はわなわなと震えていた。
飛鳥「予想外でした」
飛鳥がそう言って友希那が口につけた割りばしを置いて、新しいのに変えようとしたが、
友希那「どうして箸を変えるのかしら?」
飛鳥「嫌がるかなと思いまして」
友希那「貴方なら問題ないわ」
友希那の言葉に飛鳥は呆気に取られていて、他の男子生徒達も驚いていた。
飛鳥「まあ、そう仰って頂けて光栄ですがね」
友希那「…早く食べちゃいなさい」
友希那がそう言ってぷいっと横を向いたが、じわじわと頬が赤くなり始めている。夜寝るころには悶絶しているだろう。そして燐子が自分もして欲しそうにしていたが、飛鳥は超能力を使った。
飛鳥(クソ、作戦失敗か…。にしても湊さん結構積極的だな…)
とまあ、野外炊飯は幕を閉じた訳ですが…。
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「ずるいずるい!! 友希那ちゃんと燐子ちゃんだけずるいよぉ~!!!!」
炊飯が終わって日菜達と合流していたが、日菜が号泣していて、飛鳥・燐子・友希那は困惑していた。
飛鳥「…何かあったんですか?」
千聖「ないなら日菜ちゃんはこんなに泣いていないのだけれど?」
千聖がいつものように黒い笑みを浮かべるかと思いきや、涙目で飛鳥を睨んでいた。
友希那「そっちはどうだった?」
リサ「…ハッキリ言って最悪だった」
リサの口から『最悪』という言葉が出て相当ヤバい事があったんだろうなとおでん組は思った。
飛鳥「そんなに酷かったんですか?」
千聖「酷い? 酷いなんてもんじゃないわよ。貴方がいない上に好きでもない男子からめちゃくちゃしつこく話しかけられたのよ?」
日菜「全然るんってしなかったし飛鳥くん…。友希那ちゃんにあーんしてたよね?」
飛鳥「湊さんが食べさせようとしてたので、反射的に…」
紗夜「は、破廉恥です!!」
飛鳥「そうですか…。じゃあもう二度としません」
日菜「おねーちゃんにはやらないでね」
日菜がそう言うと紗夜が信じられなさそうに日菜を見つめていた。こいつ、自分を踏み台にしやがってと言わんばかりに…。
日菜「だから今度の晩御飯は一緒ね!」
飛鳥「あれ?今日の夕食ってはクラスごとじゃありませんでしたっけ?」
「……」
その日の夕食
「日菜ちゃん!! あーんして!!」
「オレにしてよ!! 千聖ちゃん!!」
「麻弥ちゃん。あーんしてくれないかな…」
「彩ちゃん! アイドルなんだからこういうのもやっといた方が良いよ!」
「友希那ちゃん。あいつがいいならオレだって…」
「紗夜ちゃんにはオレが食べさせてあげるね?」
「リサちゃん! 一生のお願い!」
「燐子ちゃん…」
「花音ちゃん。キノコ食べてあげるからあーんして?」
「薫さん。オレに食べさせて?」
とまあ、バンドガールズはヤラカシ達に絡まれましたとさ。
飛鳥「しかも3組だけ別室だし…まあいいか。ここでキリもいいから終わりましょ」
そう言って飛鳥は超能力でヤラカシを大人しくさせたわけだが…。
翌朝
千聖「もう逃がさないわよ~?」
飛鳥「皆さん。生きてたらまたお会いしましょう。さようなら」
おしまい