それはある夏の事。バンドリ学園にも水泳の授業は存在していたのだが…。
「えー、今年の水泳の授業は男女混合です」
「おっしゃああああああああああああああああああああああ」
1年2組の教室で男子たちが歓喜を上げて、女子が絶望した。
蘭「はぁ!? なんでよ!!」
ひまり「ちょっとこころちゃんに相談しよう!」
「あ、ちなみに弦巻も『皆一緒の方が楽しいわ』って言ってたぞ」
ひまり「そんなぁー!!!!!」
蘭・ひまりを筆頭に女子たちは阿鼻叫喚だった。
椿「うそでしょ…」
モカ「あらまー」
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一方、3組はというと…。
飛鳥「……」
京「まあ、オレ達は元から男女混合だったもんな」
日向「うん…」
丁度近くの席だった3人が話をしていて、京の言葉に日向が相槌を打った。
飛鳥「日向は嫌じゃないの?」
日向「うーん…。飛鳥くんや京くんもいるから、特に嫌じゃないけど…」
日向の言葉に飛鳥と京が困惑した。
飛鳥「ありがとう…」
京「椿はすごく嫌がるのにな…。あと、姉ちゃんも嫌がってた」
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そんなこんなでカフェテリア。飛鳥達とAfterglowが会話をしていた。
蘭「最悪…」
ひまり「どうして男子なんかと…」
嫌そうにしている蘭とひまりを見て、飛鳥と京は困惑していた。
つぐみ「ら、蘭ちゃん! ひまりちゃんも!」
巴「一丈字と奈良川が気を悪くしてるだろ! ごめんな2人とも」
つぐみと巴が飛鳥と京に謝り、蘭とひまりを諫めた。
飛鳥「いや、美竹さんと上原さんのお気持ちは良く分かりますよ…」
京「やっぱり男子と一緒は嫌だよなぁ…」
椿「そりゃそうよ。ジロジロ見てくる男子がいるもん」
椿は蘭とひまりの味方をした。
飛鳥「もうせめてね、そういう事をしない男子もいるって事も忘れないでほしいな」
京「そうだぜ」
椿「分かったわよ」
蘭「ホントに?」
蘭がそう疑うと、
モカ「蘭。あんまりそう言う事言ってると、またお化け屋敷に連れていかれるよ~?」
蘭「ごめんなさい」
飛鳥「美竹さん!!?」
蘭「もうお化け屋敷は勘弁して頂けないでしょうか」
京「そ、そんなに嫌なのか…。気持ちは分かるけど」
蘭の言葉に京が困惑した。
モカ「そういえば奈良川くんって、お化け屋敷はどうなの~?」
京「え、そ、そりゃあ…普通」
椿「結構ビビりよ」
京「そ、そんな事ねーし! お前程じゃねーよ!」
椿「はぁ!? 女子に対してそんな事言っていいと思ってんの!?」
飛鳥「やめろ二人とも! 他の生徒さんもいるんだぞ!」
飛鳥がピシャリと注意すると、Afterglowの面々が驚き、飛鳥はそれに気づいたのか蘭たちを見て誤魔化すように笑った。
飛鳥「あ、すみません。つい昔の癖が…」
蘭「いや、一丈字って敬語しか喋らないイメージがあったから…」
ひまり「そういや中学からの同級生なんだよね…」
飛鳥「そうですね…」
ひまりの言葉に飛鳥が苦笑いしたが、
椿「最初はアタシ達にも敬語だったのよ」
京「そういやそうだったな…」
飛鳥「…まあ、色々ありまして、ため口はもう相手を選んでます。かなりきつい喋り方だそうなので」
そんな時だった。
「あら! 飛鳥達じゃないの!」
こころ率いるハロー、ハッピーワールドがやってきた。
椿「げっ…」
日向「椿」
椿はこころの事が若干苦手だったが、日向に諫められていた。
こころ「何の話をしてたの?」
飛鳥「えっとですね…」
こころ「あら、あたしにもそろそろため口で喋ってほしいわ?」
飛鳥「……」
こころの言葉に飛鳥は困ったように視線をそらした。
日向「え、えっとね」
日向が事情を説明した。
はぐみ「そうなんだ。はぐみもちょっと恥ずかしくて…////」
はぐみも男子たちの前で水着姿になるのを恥ずかしがっていた。
花音「私もです…」
薫「私たちが魅力的だからそうなっても仕方ないと思うがね…」
実を言うと薫もちょっと恥ずかしがっていた。
美咲「まあ、元々女子の出席率が悪いから別々にしてたけど、よく考えたらなんで授業ちゃんと出てない奴に合わせなきゃいけないんだって、元通りになっちゃったんですよね」
モカ「まあ、そう言われちゃうとこっちも何も言えないよね~」
美咲の言葉にモカが苦笑いすると、今度はパスパレがやってきた。
彩「何の話してたの?」
モカ「いやー。今年の水泳の授業は男女混合だって話です」
彩「あー。そういやそうだね…」
千聖「うちの男子たちが盛り上がってたわ…」
日菜「2組もー」
麻弥「…そういや3組はなんか泣いてましたね。1組と2組が羨ましいって」
麻弥の言葉に飛鳥は何とも言えない顔をしていた。
千聖「それはそうといい迷惑だわ。こっちも高校生なのだから配慮してほしいわよ」
彩「…でも、去年男女別々になって、3年生が色々やっちゃったよね」
千聖「ホントそれよ…!」
千聖がこぶしを握って憤ると、飛鳥、京、日向の3人は何があったんだろうと困惑していた。
「どうしたの? 皆集まって」
友希那、紗夜、リサ、燐子の4人がやってきた。
あこ『あこも電話で参加してるよー!!』
燐子のスマホからあこの声が聞こえた。
あこ「そういや今年から男女混合になったんだよね!?」
モカ「あ、そういや中等部も?」
あこ「うん! 男子がすごく喜んでた…」
あこの言葉に何とも言えない空気になっていて、飛鳥と京はいたたまれなくなった。
飛鳥「ああ、今年も何もなかったらいいなぁ」
「今年もって何!!?」
その時だった。
「おーい! みんなー!!」
ポピパがやってきたが、有咲だけ元気がなかった。
日向「ど、どうしたんですか? 市ケ谷さん」
有咲「いや…」
たえ「今年から水泳が男女一緒になったから、男子がいやらしい目で見てくるんじゃないか心配なんだって」
飛鳥「……」
たえの言葉に飛鳥はどんよりした。
沙綾「…どうしたの?」
飛鳥「いえ、私もそろそろ対策を立てる必要が…」
「対策?」
飛鳥「冤罪対策」
飛鳥の言葉に京、日向もどんよりすると、椿は静かに目を閉じた。
京「良く考えたらオレもそうだわ…」
椿「こんだけ女子に囲まれたら、そうね…」
京や椿の言葉に皆が困惑した。
香澄「ど、どうしたの?」
飛鳥「中学の時に冤罪かけられそうになったんですよ。水泳中に女子の私物を盗んだんじゃないかって」
「え!?」
飛鳥「その時は鑑識の方にも来てもらって事なきを得たんですけど、これが普通だったら詰んでましたね」
まず鑑識が来ることに対して突っ込みたいと思う一同だった。
京「日向と椿んちがすっごい顔利いてて良かったなぁ…」
飛鳥「全くだぜ…」
飛鳥と京がどんよりすると、香澄達がいたたまれなくなった。彼女たちも見る限り、飛鳥は男子生徒達…自分たちのファンからいちゃもんをつけられていて、昔の話を聞いてさらに可哀そうだと思った。
飛鳥「私はもう敵が多いんですね。ワンピースのニコ・ロビン並みに」
「めっちゃ敵多いやん!!!」
飛鳥の言葉に蘭やひまりは文句を言うのをやめようと決意した。
モカ「生きたい?」
飛鳥「生きたい」
「そこはざっくり!!」
ちなみに予定通り水泳は男女混合だったという。
「……」
椿「コラ男子!! こっち見てんじゃないわよ!!」
「ゴメン。無理」
「こんなん見ない方が無理やろ!!!」
「お前らこそ、オレ達の方見てるじゃねーか!!」
「あ、言われてみればそうだ! だったら僕たちも見る権利があると思いまーす!」
とまあ、男子たちの頭のおかしい態度を見て、椿はちょっと半泣きになりそうだった。
モカ「…飛鳥くんは毎回こんな事言われてるんだよ」
そう言ってモカは椿の肩を抱いた。
おしまい