なんやかんやで肝試しの時間になりました。剣道部はトラブルを起こしたとして全員走り込みをやらされましたが、イヴは弦巻家が忖度させたため、免れました。
飛鳥(このご時世に良い度胸してんなぁ…)
と、思いつつもイヴは何も悪い事をしていない為、飛鳥は余計な事を言わないようにした。
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そして肝試しの時間。全学年いるので、色々ややこしい。
「えー。これより肝試しを行うが、今回は怖さを難易度に分ける事にする」
「?」
説明役の先生がそう言うが、生徒達は理解できなかった。
「今回は人数も多いという事で、肝試しは5コース分ける事にする。1から5まであり、レベル5が一番怖い。レベル5に挑む者は相当の覚悟をしておけ!」
飛鳥(いや、何をしようとしてるんだ!!?)
飛鳥が困惑していたが、2,3年生が困惑していた。
「オレ、去年レベル2だったけど、十分に怖かったぞ…」
「去年、陽キャ達がカッコつけてレベル5言ったけど、チビって帰ってきたからな…」
飛鳥「……」
飛鳥の視線はレベル5の案内役をしようとしている教諭の方に向いていた。
飛鳥(でもまあ、今回は超能力関係ないし、レベル1でもいっか)
と、大半の生徒が行こうとしているレベル1の方に視線を向けると、
りみ「や、やっぱり皆レベル1に行っちゃうんだね…」
有咲「悪いりみ。悪いけど今回は1人で行ってくれ!」
りみ「いや、私も流石に1人は…」
モカ「皆やっぱりレベル1~?」
蘭「当たり前だし…」
巴「あこもいないし…いいよな?」
と、バンドガールが沢山いるレベル1に殆ど集まっていた。
飛鳥(あっちにはいかない方が良さそうだ。かといってレベル5は目立つしな…。それ以外で…)
その時だった。
「飛鳥!」
こころが話しかけてきた。
飛鳥「どうしたの?」
こころ「飛鳥はどこに行くか決めた?」
飛鳥「こころは?」
こころ「あたしは皆が一緒にいるレベル1に行くつもりよ!」
飛鳥「そっか。オレはレベル5に行くつもりだから」
飛鳥としては、何か面倒な事になりそうだと感じた為、直球で決めた。
飛鳥(まあ、失敗したら失敗したで笑い話になるからいっか)
こころ「それじゃああたしもレベル5に行くわ!」
飛鳥「え?」
こころの言葉に飛鳥が困惑した。
飛鳥「レベル1に行くんじゃないの?」
こころ「飛鳥がレベル5に行くならレベル5でもいいわよ。それに、一人でしょ?」
飛鳥「あ、確かに一人だ…」
レベル5の挑戦者が一人もいなかった。
こころ「ね! 一人より二人の方がいいでしょ!?」
飛鳥「……」
飛鳥がこころを見つめると、
飛鳥「まあ、それはこころに任せるけど…」
こころ「それじゃ行きましょ!」
そう言って飛鳥とこころはレベル5のゲート前に立つと、生徒達が驚きを隠せなかった。
「あ、あいつら正気か…?」
「カッコつけてるだけだ。どうせ失敗する」
「本当に頭がおかしいぜ…」
レベル1にいた日菜や紗夜も驚いてみていた。ちなみに日菜は紗夜やパスパレメンバーと一緒に回る約束をしていて、燐子はロゼリアのメンバーと一緒に回る約束をしていた為、レベル1だった。というか、バンドガールズのほぼ全員がレベル1を選択していた。理由は各グループにおばけや怖いものが苦手なメンバーがいたからだった。
キリト「一丈字くん…」
キリトはレベル3を選択していた。
そして、それぞれのステージでの肝試しが始まった。
「ヴァアアアア――――――――ッ!!!」
「……」
レベル1を選んだ生徒達は人数も多かった為、それほど怖くはなかった。作り物のお化けを見ても、クオリティが低い為、それほど驚かなかった。
香澄「はぁ…皆いるし、おばけも全然怖くないや」
有咲「おい…くっつき過ぎなんだけど」
香澄「うぅぅぅ…」
Poppin‘Partyの戸山香澄が涙目で同じメンバーの市ヶ谷有咲に抱き着いていた。有咲は人目もあったので恥ずかしがっていた。
モカ「ひーちゃん、キョロキョロし過ぎ~」
ひまり「だってぇ~…」
同じガールズバンドのAfterglowも同様だった。青葉モカは有咲みたいに迷惑がってはいなかったが、少し呆れていた。
モカ「もー。うちのバンドはモカちゃん以外おばけダメだから困るよ~」
つぐみ「ご、ごめん…」
すると男子生徒達が詰め寄った。
「それだったらオレが!!」
「いや、オレが!」
「オレ!!」
モカ「男子達は懲りないし~…そういや、レベル5に行ったあの2人どうなったんだろう~?」
そしてパスパレとロゼリアは一緒にいた。
日菜「おねーちゃんと一緒だ♪」
紗夜「…あんまりひっつかないで頂戴」
日菜が双子の姉の紗夜にくっついていた。紗夜は若干恥ずかしそうにしている。
「目の保養じゃ…」
「やっぱり双子揃って可愛い…」
男子生徒達は感涙しており、彼女たちの周りにはファンが付きまとっていた。
友希那「そういえば、あの2人と一緒じゃなくて良かったの?」
燐子「は、はい…。流石にちょっと…」
リサ「分かるよー。だっておばけ怖いもん…」
友希那「……」
友希那は飛鳥とこころを思い浮かべていた。
そして…。
薫「私の胸に思いっきり飛び込んできたまえ」
「薫様~!!!」
2年2組の瀬田薫が王子様っぽく振舞うと、女子生徒達がメロメロになった。
「それじゃ是非~!!!」
と、男子生徒が飛び込もうとすれば、薫のファンに闇討ちされた。
はぐみ「みーくんみーくん」
美咲「え、あたし? みーくんって…」
はぐみ「こころんレベル5に行っちゃったけど、大丈夫かな?」
美咲「大丈夫じゃない? あの子逞しそうだし…」
美咲が悪態をつくと、脳裏に楽しそうに部活をしているこころの姿があった。
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レベル3
「ヴォオオオ――――――――――――ッ!!!」
「いやあああああああ―――――っ!!!」
「で、出たぁ―――――――――!!!」
と、幽霊が飛び出してくると、生徒達は驚いて逃げ出した。
キリト「…普通だな。それはそうと、一丈字くん達は大丈夫だろうか?」
レベル5
飛鳥「……」
こころ「おばけはどこかしら?」
飛鳥「どこだろうね」
飛鳥とこころが2人で歩いていると、遠方から誰かが見ていた。
飛鳥「あそこに誰かいる」
こころ「えっ?」
その時だった、遠方にいた何かは猛スピードで飛鳥達に近づいたが、走っている様子がなかった。
飛鳥・こころ「!?」
そして飛鳥達の目の前に現れて、口を大きく開けて奇声をあげた。飛鳥は少し困惑したが、
こころは違う意味で驚いていた。
こころ「凄いわ!! 大きなお口ね!! あなたはどこから来たのかしら!?」
と、感心していた。
飛鳥「これはホログラムだよ」
こころ「ホログラム?」
飛鳥「簡単に言うと本物のおばけじゃないって事。映像だよ。ほら」
飛鳥が幽霊に触れると、幽霊の身体が貫通された。
「グァアアアアアアアアアアアアア!!!」
飛鳥「…まあ、こんだけ完成度が高かったらそりゃ逃げだすわな」
と、飛鳥は困惑していた。
こころ「とっても凄いわね! でも、本物のおばけはいないのかしら?」
飛鳥「いてたまるかよ。悪い幽霊だったら死人が出るわ」
飛鳥は呆れながら懐中電灯を前に向けてこころと共に進んでいった。
その頃…
「なにぃ!!? わしの最高傑作をものともしないとは…」
先生達はモニターで各レベルの様子を見ていたが、飛鳥達が幽霊にものともしなかったので、脅かし役の教師は驚いていた。
「この子達確か超能力研究会の…」
「肝も据わってるんだなぁ…」
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そんなこんなで…。
「えー。レベル5の達成者が2人現れました! 皆拍手!!」
と、無事にレベル5をクリアした飛鳥とこころは皆に表彰された。ちなみにレベル2以上はリタイアが可能だったが、飛鳥とこころはリタイアしなかった。
「お、おい見ろよ…」
「レベル5から帰って来たってのに余裕そうにしてるぞ…」
「じ、次元が違う…」
「でも、女の子達と一緒に囲まれてたから言う事はない!!」
「くそう! 弦巻さんはくれてやるが、他の女子にはもう手を出させないぞ!!」
男子達はそう騒いでいたが、飛鳥は静かに目を閉じた。
飛鳥(手を出した記憶すらないよ)
こころ「とっても楽しかったわね飛鳥!!」
飛鳥「そ、そうだね…」
飛鳥とこころが会話をすると、男子生徒達が囃し立てた。
「ヒューヒュー!!」
(もうこれで弦巻さん以外の女子には手を出せまい!!)
(ざまあみろ一丈字!!)
(最後に勝つのはオレ達だ!!)
と、男子生徒達はこころ以外の女子に触れさせないようにしていたのを飛鳥は察知した。
飛鳥(…まあ、いっか)
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肝試し終了後…。
「凄いじゃないか一丈字くん!!」
飛鳥の周りにはクラスメイト達が囲んでいた。
飛鳥「大したことは…」
「オレ、レベル1だったけど、十分に怖かったぜ。それなのにレベル5に行ってぴんぴんしてるなんて…」
「一体どんな仕掛けだったんだ!?」
と、質問攻めに逢っていた。そんな飛鳥を他のクラスの男子は苛立った目で見ていた。
飛鳥(ですよね)
飛鳥は諦めるように苦笑いすると、クラスメイト達の質問に答えようとしていた。
飛鳥「ホログラムという映像を使って、幽霊をあたかも本物のように映し出してたんです」
「ホログラム!?」
飛鳥「そして遠くにいた幽霊の映像を一気に近くまで高速移動させて、音声を再生させて奇声を上げさせたんですね」
飛鳥が冷静に説明したが、他のクラスメイト達は驚いていた。
キリト「…本当に冷静だね。怖くなかったの?」
飛鳥「まあ、確かに最初はびっくりしましたけど、横に弦巻さんがいたので、頭は無意識に彼女を守る事に専念していたので、後はもうさっぱりでしたね」
「弦巻さんはどうだったの?」
「やっぱり抱き着かれた?」
飛鳥「いえ、彼女は面白がってたので、心配するまでもありませんでしたね」
飛鳥が苦笑いしていると、
「でも、とってもカッコ良かったわ!!」
こころが現れた。そしてこころだけでなく、日菜、燐子といった知人もそろってやって来た。
こころ「本当にヒーローみたいだったわ!」
飛鳥「そりゃあ大げさだよ」
こころ「ううん。そんな事ないわ。あたしが危ない目に遭わないように色々気を遣ってくれたり、守ってくれたもの!」
日菜「凄いじゃん飛鳥くん」
燐子「す、すごいです…」
飛鳥「そうですか?」
日菜と燐子が褒めるので、飛鳥が苦笑いした。
友希那「正直うちのクラスの男子と交換してほしいくらいだわ。うるさすぎて守られてる気がしなかったわ」
リサ「あ、あたしは賑やかだったから全然怖くなくて良かったな~…」
友希那「けど、どさくさに紛れてボディタッチを狙ってたわよね?」
リサ「……」
友希那とリサの会話を聞いて、飛鳥は困惑していた。
日菜「そうだ! 今度あたしとお化け屋敷に行こうよ!」
「!!?」
飛鳥「…アイドルですよね?」
日菜「確かにそうだけど、一緒に回ってみたいと思ったもん」
飛鳥「そ、そうですか…」
「ダメだ!! お前にはもう弦巻さんがいるだろ!!」
「そうだ!! この浮気者!!」
と、男子生徒達が騒ぎ出した。
日菜「え? こころちゃんと付き合ってるの!?」
友希那「そんな訳ないでしょ。あなたと一丈字くんをお化け屋敷に行かせない為の口実よ」
日菜の言葉に友希那が呆れた。
飛鳥「…というか、皆さんは日菜先輩達と一緒に回れたはずじゃ」
「二人きりじゃなかったら意味ないんだよ!!」
「ライバル多すぎ!! お前ら遠慮しろよ!!」
「てめーが遠慮しろよ!!!」
男子生徒達がまた言い争いを始めると、飛鳥が呆れていた。
友希那「…あきれてものが言えないわ。私は寮に戻るわ」
飛鳥「あ、お疲れ様でした」
友希那「それから…」
飛鳥「?」
友希那が飛鳥を見つめた。
友希那「燐子の事、宜しく頼むわね。一丈字部長」
飛鳥「あ、はい!」
そう言って友希那はリサと共に去っていった。
飛鳥「…さて、オレも帰るか。じゃあなこころ」
こころ「うん! また明日ね!」
そう言って飛鳥は去っていくと、キリトたちとそのまま話を続けた。
つづく