全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第110話「Afterglowとプール!(後編)」

 

 

 前回までのあらすじ

 

 男子生徒達のセクハラに耐えきれなくなった蘭はついに男子生徒達に喧嘩を売り、そのまま騒動になったが、警備員に止められて、事務室に連れていかれた。

 

 そして取り調べが行われ、男子生徒達は小一時間警備員に怒られていた。

 

 事務室を出るころには気まずい空気で、10人が出てきた。周りが楽しそうにしていて、スピーカーから楽しい音楽が流れていたが、それがむなしく響き渡っていた。

 

「……」

 

 警備員に怒られ、すっかり泳ぐ気分ではなくなったのだ。

 

「…帰ろうぜ」

「そうだな」

 と、男子生徒達はとぼとぼと帰っていくと、蘭達を一度振り向いては睨みつけていき、そのまま帰っていった。

 

蘭「はぁ…やっといなくなったよ」

ひまり「いなくなったよじゃないでしょ! もー!!」

 ひまりが憤慨していた。

モカ「まーまー。確かに蘭もやりすぎな所はあったけど、これで男子たちがいなくなって清々したでしょ」

ひまり「それはそうだけど…」

巴「まあ、喧嘩両成敗って事だな。一応チケット代は返しておこう」

つぐみ「そ、そうだね…。お金出させっぱなしも悪いし…」

モカ「じゃあ、それで完全に縁を切ろっか」

 モカが一息ついた。

 

モカ「それよりも、問題は飛鳥くんなんだよね~」

蘭「!」

モカ「ここで何をするつもりなんだろう~」

蘭「どうせバイトでしょ」

ひまり「それよりもどうする? 男子たち帰ったけど」

モカ「え~いいじゃ~ん。このまま遊んで帰ろうよ~」

巴「うーん。悩んでも仕方ないよな! 遊ぶか!」

ひまり「えええええええ」

蘭「賛成。どうせあたし達が泣いて縋るのを想定してるだろうし」

 蘭の言葉にひまりとつぐみが苦笑いし、そのまま遊んで帰った。

 

 そして男子たちはというと…。

 

「クソッ!! なんでオレ達がこんな目に!!」

 と、ゲートを出た後で憤慨していた。

「まさかAfterglowがあんなに我儘だったなんてな…」

「ああ! もうこっちから願い下げだ!!」

 陽キャがそう叫ぶと、

 

「こっちから願い下げ?」

「!!」

 Afterglowのファンらしき男性陣数十名が陽キャたちを囲んでいた。

 

「な、なんだよお前ら!!」

「Twitterでお前らの悪事が投稿されてたぞ…」

「お前…蘭ちゃんの手を無理やり引っ張って何やってたんだ…」

 と、ファンたちは激怒していた。

 

「ちょっと事務所来いや!!!」

 

 そして蘭達は昼になるまで遊んでいた。

 

ひまり「あー楽しー!!!」

モカ「って、ひーちゃんも思い切り楽しんでるじゃん~」

 

 午後0時。蘭達はフードコードで食事をとっていた。

 

モカ「おいひ~」

ひまり「本当に良く食べるわね…」

 と、モカがランチを大量に食べていて、ひまりが困惑していた。そんな中、つぐみだけ落ち込んでいた。

 

巴「つぐ。そんなに気にするなよ」

つぐみ「だ、だって…」

蘭「…本当につぐは優しいな。けど、アタシは許さないから」

 蘭がそっぽを向いた。

 

 その時、飛鳥が作業着のまま店内に現れた。上下ともに紺色で白い靴を履いていて、白いタオルを頭に巻いていた。

 

ひまり「一丈字くん!」

「!」

ひまり「おーい!! 一丈字くーん!!」

飛鳥「?」

 飛鳥がひまり達の方を見ると、ひまりが手を振った。すると飛鳥も手を振り返した。

 

ひまり「あ、ごめん!! ちょっと来て!!」

巴「流石に悪いだろ!」

 

 飛鳥が蘭達のところにやって来た。

 

飛鳥「こんな所で何をされてるんですか?」

蘭「いや、それはこっちの台詞なんだけど」

ひまり「作業着着てどうしたの? アルバイト?」

飛鳥「ええ。裏方のヘルプを受けまして…」

 ひまりの言葉に飛鳥が苦笑いした。

 

 何をしていたかというと、トコナッツパークで使われてるアンプなどの機材のメンテナンスをしていたのだ。飛鳥は技術関係で資格を取っており、トコナッツパークで働いている従業員が知人であり、なおかつ飛鳥の技術力を知っていた為、ヘルプを出したという訳だ。

 

 土曜日にメンテナンスを行い、日曜日にその確認をして、ついさっき仕事が全部終わったのだ。

 

飛鳥「そういえばクラスの方と来られてたんですよね?」

蘭「ああ。あいつらならもう帰ったよ」

飛鳥「ええ。ゲート付近でお見掛けしましたよ…」

 

 強面の男たちに連れていかれるところも見たが、それを話すとつぐみが滅茶苦茶心配するため、何も言わない事にした。出来るなら自分自身も関わりたくないとも思っていたからである。

 

飛鳥「大変でしたね」

モカ「もー大変だったってレベルじゃないよー。慰めてー」

 モカが甘えだした。

 

ひまり「…こんなにもいやらしい目で見られるなんて思わなかったわ」

飛鳥「……」

 飛鳥が露骨に視線を逸らした。

 

モカ「飛鳥く~ん。そんな露骨に視線をそらさなくても~」

飛鳥「いや、そういう事言われると本当に見づらいんですよね…」

蘭「……」

飛鳥「ああ。ご心配せずともすぐに帰りますよ」

ひまり「え? すぐに帰るって?」

飛鳥「テイクアウトしてすぐに出ていきますので…」

ひまり「そ、そこまでしなくてもいいよ!?」

飛鳥「いや、美竹さんの視線も気になるので…」

蘭「…ちょ、アタシに責任転嫁しないでよ」

 

 飛鳥の言葉に蘭が困惑した。

 

ひまり「蘭…。そこまで気にしなくても大丈夫だから」

巴「そうだぞ」

モカ「そーそー。飛鳥くんだったら、ちょっとくらい体見られてもいいじゃ~ん」

飛鳥「…そういう問題ではございませんし、言い方」

 飛鳥が困惑していた。

 

つぐみ「あ、えっと…折角だからお昼一緒に食べない?」

飛鳥「宜しいんですか?」

モカ「いいよ~」

 

 と、飛鳥はそのままAfterglowと食事をとった。この時、飛鳥はもうすでに仕事が終わっているが、ここでAfterglowと遊んでしまうと、色々角が立つので、何とか誤魔化した。

 

 蘭達も色々あったものの、午後もプールで楽しんたという。

 

 そして後日…。

 

蘭「はいこれ。チケット代」

 蘭が陽キャたちに5人分のチケット代を返した。

蘭「これで義理は果たしたから。もう話しかけてこないで」

 

 と、蘭が去っていった。陽キャたちの悪事はSNSで公開され、「自分の思い通りにならないからって女にあたる、ましてやAfterglowのボーカルの手を乱暴に引っ張った屑男」として炎上し、すっかり別人のようにおとなしくなったという。

 

 

飛鳥「男女の関係というのは難しいのでございます」

 

 

 そう言って飛鳥は去っていった。

 

 

おしまい

 


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