第266話「3人寄らばなんとやら」
もしも、飛鳥とケイとキリトが共演したら(※ 話の都合で全員同級生です)
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バンドリ学園に入学した一丈字飛鳥。だが、入学した矢先、いきなり全校生徒は部活動に入るように命じられる。
都築「顧問なしOK、1人OK、とにかく部活動をやりなさい」
何ともまあご都合主義としか言いようがないが、飛鳥はむしろチャンスだと思っていた。
飛鳥「この部活でお願いしまーす」
飛鳥が担任に創部届を提出した。その名も『超能力研究会』である。あからさまにオカルトっぽい部活動に担任も困り顔だったが、特にNGという訳ではないので、OKした。
飛鳥はクラスでは目立たない方だったので、何の部活に入ったのかは聞かれなかった。
飛鳥(完璧だ)
そしてまた二人の生徒はどうするか迷っていた。
ケイ(部活動しようかな…)
キリト(めんどくさ)
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部活動をやるからには何かしら作業報告をしなければならないというルールも設けられたが、飛鳥はむしろやる気に満ち溢れていた。
飛鳥(学園でしか見れないブログも創設したし、手始めにこの大会に出てみるか…)
そう言って、飛鳥はゲームの大会に出場した。結果は優勝し…。
「表彰、超能力研究会…」
飛鳥は全校集会で表彰された。入学してから1か月も経たないうちに割と大きな大会で優勝したことから、注目を集めた。
飛鳥は表彰を辞退したかったが、優勝したというニュースが学校に伝わってしまい、断るに断れない状態だった。
バンドガールズも驚きを隠せなかった。
モカ「凄いね~。1か月も経たないうちにあんな結果出せて~」
蘭「…あたしたちはあたしたちだよ」
燐子「……」
燐子は飛鳥をじーっと見ていた。
ケイ「ゲームやる部活だったんだ…」
キリト「……」
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教室に帰ってきた。
「一丈字くん凄いじゃん!!」
「ネットで調べたけど、結構大きな大会じゃん!!」
「プロゲーマーを破ったんだって!?」
「賞金100万だって!!?」
飛鳥が教室に帰ってくると、クラスメイト達から質問攻めにあっていた。飛鳥は苦笑いしていた。
「でも、いったい何のために?」
飛鳥「部活の活動実績を出すのと、気分転換ですね」
「気分転換で優勝って…」
飛鳥の言葉にクラスメイト達は困惑していた。
「それで…次はいつ出るの?」
飛鳥「当面は予定ないですね」
「え?」
飛鳥「あの大会は開催日がすぐで飛び入り参加もOKでしたし…。来月は定期テストがあるので、それに向けて勉強しないといけませんね」
「あああああああああああ!!!」
「そうだったぁ!!」
飛鳥の言葉にクラスメイト達は悶絶した。
ケイ・キリト「……」
ケイとキリトは自分の席から飛鳥をじっと見つめていた。
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だが、定期テストの前に1年生は林間学校があった…。クラスごとにバスに乗り込み、目的地へ向かった。
飛鳥はケイと隣同士になった。
ケイ「…あの」
飛鳥「なんです?」
ケイが飛鳥に話しかけた。
ケイ「一丈字くんってゲームとかするの?」
飛鳥「たまにしますね」
ケイ「たまに…?」
いつもやってるのかと思いきや、大してそんなにやらない事に驚くケイだった。
飛鳥「もしかしてあの大会の事ですか?」
ケイ「あ、いや、それもそうだけど、ゲーム好きなのかなって…」
飛鳥「好きですけど、そこまではしませんね」
ケイの言葉に飛鳥が苦笑いした。
ケイ「じゃ、じゃあなんであの大会に…」
飛鳥「あのゲームは頭を使う大会で、そういう頭を使うゲームって結構好きなんですよ」
そのあと、飛鳥はずっとケイとゲームの話をしていて、それをキリトが横から聞いていた。ちなみに部屋が一緒である。
ケイ「そういや一丈字くん」
飛鳥「なんです?」
ケイ「あの部活って…ほかに人入ってきた?」
飛鳥「入ってきてないですね。まあ、そもそも募集してないので」
ケイ「ど、どうして…?」
飛鳥「自分のペースでやりたいんですよ。他に人がいると、気を遣わないといけませんし…。いろいろ人間関係とかもアレなので…」
ケイ「そ、そうだよね…」
飛鳥の言葉にケイが俯いた。
飛鳥「永瀬さんはどこか部活に入ってるんですか?」
ケイ「…迷ってるんだ」
飛鳥「まだいっぱい時間はありますので、ゆっくり考えてください」
キリト「……」
そんなこんなで目的地にたどり着いた。そんな中…。
「う~っ。可愛い女子と2泊3日かぁ!」
「テンションあがるゥ!!」
「この学校で良かった!!」
1組と2組の男子たちがテンション高かった。というのも、1組と2組の女子はアイドルと言われてもおかしくないほど美少女ぞろいだった。しかも陽キャが多い。
それに比べて、飛鳥たちがいる3組の女子は見た目が地味な陰キャがおおめだった。
「それに比べて3組は…プッ」
「可哀想だなー」
「まあ、3組の男も陰キャばっかりだしな」
「此間優勝した一丈字も陰キャだし…ヲタクだしな」
3組の生徒を馬鹿にしていたが、飛鳥は全く気にする様子はなかった。
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そして飛鳥はケイ、キリトと共に同じ部屋に向かった。
ケイ「全くバカにしてくれちゃって…」
ケイがつぶやくと、キリトが隅であぐらをかいていた。
飛鳥「いいじゃないですか。ああいうのは何もしなくても勝手に自滅しますよ」
キリト「結構言うなお前…」
キリトが口を開いた。
飛鳥「えっと…桐ケ谷くんだったね」
キリト「宜しく。それはそうと、優勝したのに馬鹿にするとか頭おかしいんじゃないか…」
飛鳥「そんなもんですよ。全く知らない陰キャが大会で優勝する事よりも、可愛い女子と同じクラスである事の方があの人たちにとってメリットなんですから」
キリトの言葉に苦笑いする飛鳥だった。実際に自分があの生徒たちの立場になって考えてみれば、確かに納得できると自分に言い聞かせていた。
飛鳥「まあ、気長に生きましょう」
そう言って飛鳥は部屋を後にすると、ケイとキリトは顔を合わせた。
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風呂や夕食も済んだ後、レクリエーションとして肝試しが行われることになった。
「肝試しをするのは3人1組、クラスごとでランダムで決める!」
その結果、飛鳥はケイとキリトとペアを組むことになった!
飛鳥「あらまあ」
ケイ「ま、また一緒だね」
キリト「……」
飛鳥達のペアが決まった瞬間、1組と2組の男子の一部が噴き出した。
「あいつらの班全員男だぞ!」
「カワイソー」
「折角の思い出も台無しになったな」
「言葉にできねー」
飛鳥たちを馬鹿にしたが、飛鳥はまったく気にしなかった。
飛鳥「すごくバカにされてますね」
キリト「哀れだな…」
ケイ「……」
ちなみに馬鹿にしてた生徒たちは女子とペアを組んでいたが…。いい顔はしてなかった。そりゃそうだ。一緒にペアを組む男子が人間的に問題があれば恥ずかしいに決まっている。途中で教師が諫めて肝試しが始まった。1組、2組、3組という順番で始まった…。
飛鳥「……」
ケイ「……」
ケイが震えていた。
飛鳥「永瀬さん…。もしかして幽霊ダメなんですか…?」
ケイ「う、うん…ごめん…」
飛鳥「いや、謝らなくていいんですけど…」
キリト「なんか人面馬みたいになってんぞ…」
ケイが飛鳥の背中に顔をうずめて歩いていた為、人面馬みたいになっていた。その時、脅かし役が現れると、
飛鳥「わあ」
キリト「道理で前からめちゃくちゃ悲鳴が聞こえるわけだ…」
飛鳥とキリトがケイを守りながら、前に進んでいた。
しばらくして、道が二つに分かれていた。
飛鳥「あれ、道が二つに分かれてる」
キリト「なんか看板が倒れてねぇか…?」
キリトが看板が倒れていることに気づいた。
飛鳥「多分幽霊に驚いて看板を倒したんじゃないですかね…」
キリト「だろうな…」
ケイ「……」
ケイがめちゃくちゃ震えていた。
飛鳥「振動が凄いですね…」
飛鳥がそうつぶやいたその時、飛鳥は何かを感じ取った。
キリト「どうした?」
ケイ「えっ!!? 何かいるの!? 何かいるの!?」
飛鳥「…まさかとは思いますけど、あっちのコースに間違って行ってしまった生徒がいるような気が」
キリト「マジかよ…」
飛鳥「すみませんが桐ケ谷さん。私ちょっと様子見てくるので、永瀬さんお願いできますか」
キリト「何も大げさな…」
飛鳥「いや、こういう時大体いるんですよ。お願いしますね!」
そう言って飛鳥は違うコースを走っていった。
飛鳥「誰かいますかー!!!」
飛鳥がそう叫ぶと、
「ここでーす!!」
飛鳥(あ、いた…)
幽霊じゃないと判断した飛鳥は隠し持っていた小型の懐中電灯で、目の前を照らすと、下から声がしたのが分かった。
飛鳥「大丈夫ですか?」
飛鳥が崖の所まで近づいてうつぶせになり、懐中電灯を照らすとそこには2組の羽沢つぐみがいた。
「あ、あなたは…」
飛鳥「嫌な予感がしてきてみたらやはり…ほかには誰かいますか?」
つぐみ「う、ううん…私一人だけ」
飛鳥「怪我とかしてます?」
つぐみ「……」
飛鳥の言葉につぐみは何も言えなかった。
飛鳥「分かりました。今から先生呼んできま…」
その時、
「一丈字」
キリトとケイがやってきた。
飛鳥「桐ケ谷さん、永瀬さん」
キリト「誰かいたのか」
飛鳥「ええ。一人崖から落ちてけがをしたみたいです」
キリト「マジかよ…」
飛鳥「桐ケ谷さん。申し訳ないんですけど、先生を呼んできてもらえませんか?」
キリト「分かった」
飛鳥「永瀬さんは私と一緒に見てもらえませんか」
ケイ「う、うん」
飛鳥「幽霊の件なら心配いりませんよ。私がいますので」
ケイ「!」
飛鳥「それよりも、下にいる人にこれ以上何もないように最善を尽くしましょう」
つぐみ「あ、ありがとうございます…」
飛鳥が懐中電灯でつぐみの周りを照らすと、一本道があることが分かった。
飛鳥「あの道をまっすぐ歩けば、帰れますね」
ケイ「う、うん…」
飛鳥「動けますか?」
つぐみ「う、うん…」
つぐみが立ち上がろうとしたが、右足を引きずって歩いていた。
飛鳥「永瀬さん。そのまま懐中電灯を照らしてください。私が下まで迎えに行きます」
ケイ「う、うん…」
ケイは背後に幽霊が襲い掛かってこないか不安になったが、飛鳥とキリトがここまで頑張ってくれているのを感じて、勇気を出して懐中電灯を照らし続けた。
そして飛鳥がつぐみのところまでやってきた。
飛鳥「歩けます?」
つぐみ「う、うん…大丈夫…」
つぐみがそう言いかけた時、右足に激痛が走った。
つぐみ「いたぁい!!」
つぐみは涙声で叫んで、しゃがんでいた。飛鳥は痛みが引くのを待っていた。超能力で一発で直してしまえばよかったのだが、ここで超能力を使って痛みを直すのはあまりにも不自然だったからだ。
飛鳥「あの」
つぐみ「……?」
飛鳥「私の背中に乗ってください」
飛鳥がつぐみに背を向けてしゃがんだ。
飛鳥「ここから坂を上らないといけないので…」
つぐみ「……」
つぐみが涙目で痛みを抑えた。ここで遠慮すると逆に飛鳥を困らせることになると判断したのだ。
そして飛鳥がつぐみを背負った。
つぐみ「あ、あの…重くないですか…?」
飛鳥「全然!」
ケイが飛鳥とつぐみの前を懐中電灯で照らして誘導した。
数分後、飛鳥はケイの元に戻ってきた。
飛鳥「ありがとうございます」
ケイ「ううん。お疲れ様」
つぐみ「あ、あの…二人ともありがとうございます」
飛鳥「気にしないでください。それよりも…」
飛鳥がそう言いかけたその時だった。
「おーい!!!」
「!!?」
キリトが教諭2名を連れて戻ってきた。
「お前たち大丈夫か!?」
「羽沢さん!!」
教師たちが飛鳥たちを心配していた。
飛鳥「もう心配はございませんよ」
つぐみ「……!!」
無事に教師たちとも合流できたことにつぐみは涙が止まらなかった。
飛鳥「さて、早いところここから脱出しましょう。皆さんも今頃ご心配されてるはずです」
こうして飛鳥達は元来た道を戻って皆と合流した。
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その頃…。
「つぐみを置いて逃げてきたぁ!!?」
集合場所で2組の生徒たちがもめていた。
巴「てめぇふざけんなこの野郎!!」
ひまり「巴! 落ち着いて!!」
蘭「だから男女別々にしようって言ったんだよ!」
モカ「…こうなるくらいならね~」
巴が一緒にペアを組んでいた陽キャたちに殴りかかろうとすると、ひまりが慌てて止めた。蘭とモカが悪態をついていた。
「ち、違う!! オレたちは逃げたんじゃない!!」
「羽沢さんが急にいなくなって…」
巴「まだ言うか!! お前らが2人で走って逃げてたのほかの奴らも目撃してるんだぞ!!」
モカ「さいて~」
蘭「とにかくつぐに何かあったら許さないから」
他の女子たちも怒っていて、2組は修羅場になっていた。そしてそれを遠くから飛鳥達が見ていた。
ケイ「恐ろしいことになってる…!!」
飛鳥「結局幽霊よりも生きてる人間の方が恐ろしいって事ですね」
キリト「見てらんないよ…」
その時、誰かが飛鳥たちに気づいた。
「あっ!! つぐみちゃんが帰ってきた!!」
「ほんとだ!!」
皆が飛鳥たちの方を見ると、
ひまり「つぐ!!」
「!」
Afterglowの4人がつぐみのもとに駆け寄った。
つぐみ「み、みんな!」
ひまり「よかったぁ~!! つぐ~!!」
つぐみの顔を見るなり、ひまりが号泣した。そして巴が飛鳥を見た。
巴「もしかして…お前がつぐみを助けてくれたのか?」
飛鳥「こちらのふた」
キリト「一丈字がこいつを見つけた」
ケイ「一丈字くんが…」
つぐみ「この人が最初に見つけて、この2人も協力してくれたんだ」
空気が止まった。
飛鳥「助けたって自分言うのなんか思い上がってませんか?」
モカ「まあ、そりゃそうだけど~」
巴「とにかく3人で、つぐを助けてくれたんだな。ありがとう!」
巴が頭を下げると、飛鳥が困惑し、ケイが照れた。キリトはいつも通りだったが…。
ひまり「ありがとう!!」
モカ「ありがと~」
蘭「…ありがとう」
飛鳥「いえいえ…」
Afterglowからお礼を言われて、飛鳥が苦笑いした。というのも、男子生徒たちから嫉妬のまなざしで睨まれていたからだった。
飛鳥(…羽沢さんを背負ってるからかな?)
飛鳥がそう思っていると、キリトが睨みつけた。
キリト「なんだ。オレたちに喧嘩売ってんのか?」
キリトがそういうと、Afterglowも反応したが、つぐみ以外の4人はマジ切れだった。そして飛鳥とケイは何かが終わったことを察した。
この後、つぐみを病院に連れていき、捻挫だと判断された。おいて逃げた男子生徒たちはつぐみに謝罪に訪れ、つぐみは許したがほかの4人は絶対に許さず、接見禁止を言い渡された。そればかりか2組の女子生徒全員に避けられるようになったという。
飛鳥「天罰下りすぎだろ…」
キリト「女子一人置いて、自分たちだけ逃げたんだ。当然の結果だろう」
飛鳥「下手したら、我々がこうなってた可能性があったって事ですね…」
ケイ「う、うーん…」
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これは翌日の話。つぐみを助けた飛鳥、ケイ、キリトの3人はすっかりヒーロー扱いになり…。
3人で一緒に朝食を取ろうと、食堂の前に行こうとすると、
「本当に懲りてねぇな…!!」
「本当に悪かったから!! あいつらの所に行かないでくれぇえええええええ!!!」
Afterglowは自分たちを待っていたのか、食堂の前で待ち伏せをしていたが、ファンらしき男子生徒たちに足止めされていた。最初の頃に馬鹿にしていた時とは比べ物にならないほど惨めだった。
キリト「無様なもんだ…」
ケイ「助けた方がいいと思うな…」
飛鳥「必要ないと思いますけど、そうしますか?」
飛鳥がそういうと、皆が3人に気づいた。
「い、一丈字!!」
「永瀬に桐ケ谷も!!」
3人が現れた事で、男子生徒たちは慌てて警戒した。
飛鳥「おはようございます」
「つぐみちゃんを助けたくらいで、お近づきになれると思うなよ!!」
「近づくな!!」
男子生徒たちが身を寄せ合ってAfterglowをガードしている。
飛鳥「お近づきはともかく、羽沢さん達にも選ぶ権利はございます」
「うるせぇ!! 余裕ぶりやがって!!」
「いちいち鼻につくんだよ!!」
男子生徒たちが飛鳥に文句を言うと、キリトとケイが憤った。
ケイ「撃ち殺しましょうか?」
キリト「いや、ザクっと…」
飛鳥「殺生はいけませんよ」
飛鳥が2人を諫める。
飛鳥「それよりも羽沢さん」
つぐみ「な、なに?」
飛鳥「足は大丈夫ですか?」
つぐみ「う、うん…。お陰様で」
モカ「でも今日のイベント、参加できないんだよ~」
飛鳥「そうなんですか…」
飛鳥がそう世間話をすると、
「何をやってるお前たち!!」
強面の男性教師がやってきた。
飛鳥「あっ…」
モカ「朝ごはんじゃなくてモカちゃん達を食べようとしてま~す」
「ちょおおおおおおおおおおおお!!!!」
「お前らこっち来い!!」
そう言って男子生徒たちは教師に連れていかれ、飛鳥・ケイ・キリトが困惑していた。するとAfterglowが飛鳥たちに近づいた。
モカ「それじゃ一緒に朝ごはん一緒に食べよう~」
飛鳥「……」
この後、それぞれの理由でキリトとケイ、バンドガールズが超能力研究会に入部することになるのは言うまでもないが、それはまた別の話…。
おしまい