全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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 一丈字飛鳥です。バンドリ学園に通っている高校1年生です。

 表向きは普通の高校生ですが、超能力者でもあって、人知れず超能力者の仕事もしているわけですね。

 超能力者の仕事はどんなものかと言いますと、いつも皆さんが見ている通り、ストーカーの撃退や超能力を使った害虫駆除、皆さんの生活の中で対処するのに中々手間のかかる仕事を超能力を使ってやっている訳ですね。まあ、知識はある方なのでたまに超能力なしでやる場合もございますが。

 基本的にこういう仕事をするのですが、ごく稀に賞レースに出ることもあるんですね。賞品を代わりに取ってくるミッションだったり、ライバルを潰したりしています。高校生という立場だからこそ出来る仕事をやっていますね。

 で、今回はその賞レースに出て優勝した後のお話です。




第338話「大会で勝っても」

 

 

 ある日のバンドリ学園。

 

「一丈字くん。優勝おめでとう」

 

 飛鳥は全校生徒の前で表彰されていた。飛鳥としては全校集会で表彰されないためにいろいろ工夫をしていたのだが、結局学校にバレてしまい、事情聴取を受けたのち表彰されることとなった。

 

 これには男子生徒たちもバンドガールズも驚いていた。

 

 全校集会が終わり、皆が教室に帰ってくるとクラスメイト達が飛鳥に話しかけようとしたが、飛鳥が超能力を使って存在感を消していた為、話しかけられなかった。

 

飛鳥(前にクラスメイトに囲まれたことがあったけど、馴染めないんだよな…)

 

 授業中に先生から大会の話をされた際には、ちゃんと受け答えしていたが、結果的にそれで授業が全部潰れた教科があった。

 

飛鳥(いや、授業しろよ!!)

 

 そして昼休憩。飛鳥は逃げるように教室から脱走して、事前に準備していたおにぎりをもって、いつもの中庭のベンチに座っていた。もはや飛鳥の特等席となっていた。

 

飛鳥「はー…」

 

 飛鳥が一人でくつろいでいると、

 

「一丈字くん」

 

 紗夜が現れた。

 

飛鳥「氷川先輩」

紗夜「ここで何をしているのですか?」

飛鳥「ぼっち飯です」

紗夜「はい?」

飛鳥「あ、何でもないです。昼食です」

 

 飛鳥はボケてみたが紗夜は『何言ってんだコイツ』みたいな顔をしてきたので、即座に辞めた。

 

紗夜「ぼっち飯というのは何ですか?」

飛鳥「本当に何でもないです」

紗夜「教えてください」

飛鳥「えっとですね。ぼっち飯というのは…」

 

 飛鳥がぼっち飯を紗夜に教えた。

 

飛鳥「まあ、早い話が一人でご飯を食べる事ですね」

紗夜「そ、そうなんですか…」

 

 飛鳥の言葉に紗夜は少し心配した。

 

紗夜「クラスで浮いている…という訳ではないの?」

飛鳥「いいえ。皆さんは親切にしてくださりますが、一人の時間も欲しいんです」

紗夜「そ、そう…」

 

 飛鳥の言葉に紗夜は困惑していた。カフェテリアで一人で食べるならまだしも、学校から距離のあって人の来ない場所に一人で食事をするのは、何かあるとしか思えない上に、風紀委員としてほっとけないからだった。

 

飛鳥「氷川先輩はこちらにはどのようなご用件で?」

紗夜「あなたがここに向かうのを見かけたから、追いかけてきたのよ」

飛鳥(あ、これ嫌な予感がする奴だ)

 

 そう、紗夜はいろんな人たちから愛されており、いわばアイドルみたいなものだった。今まで紗夜に手を出そうとして社会的に抹殺とか闇討ちされた男子生徒は数知れず。飛鳥も最近はちょっと目の敵にされ始めている。

 

 飛鳥としては紗夜と一緒にバンドを組んでいる友希那達も怖いし、双子の妹である日菜も怖いし、能力者としての仕事に支障をきたすため、出来れば敬遠したい相手だった。

 

 だが、紗夜自身は悪い人物ではないのでそういう訳にもいかないのも事実だった。

 

飛鳥「そうですか。ご迷惑をおかけしました」

紗夜「あなたが何もなければそれでいいのだけど…。それはそうと一丈字くん」

飛鳥「何です?」

紗夜「先日の大会の優勝、おめでとうございます」

飛鳥「ああ、ありがとうございます」

 

 紗夜が律儀にお祝いの言葉を言ってきたので、飛鳥は丁寧に答えた。

 

紗夜「あなたああいうのは得意なの?」

飛鳥「得意というかなんというか…。中学でそういうの学習する機会がありまして、ちょっとおもしろそうだなって」

 

 実際は優勝賞品が欲しいというクライアントの依頼で参加したのである。

 

紗夜「そ、そうですか…」

飛鳥「それから気分転換というのもありますかね」

 

 飛鳥がそう言い放つと、紗夜は複雑そうにしていた。

 

飛鳥(…日菜さんの事を)

 

 紗夜の双子の妹である氷川日菜はちょっと学習すればすぐに上達する『才能マン』であり、紗夜はそんな優秀な妹にずっと劣等感を抱いており、他人に心を開かない時期があったのだ。そして今の自分が日菜と重なって見えているのだろうと、飛鳥は紗夜の顔を見て判断した。

 

飛鳥(だが、勝負の世界は甘くはない。紗夜さんの気持ちは分かるけど…)

 

紗夜「流石ですね」

飛鳥「え?」

 

 紗夜が苦笑いしながら飛鳥を見た。

 

紗夜「前々からあなたの事は注目していたのですが、やはりそれだけの力があったようですね」

飛鳥「氷川先輩…」

紗夜「私も負けてられませんね」

 

 そう言う紗夜の姿にかつての劣等感を抱いている姿はなかった。自分の弱さとちゃんと向き合い、前に向かって成長していこうという姿が感じ取れた。

 

紗夜「ちなみに、また賞レースに出るつもりなの?」

飛鳥「当面はないですね。テストもありますし」

紗夜「それもそうね」

 

 紗夜がそう言うと、飛鳥は紗夜の近くにある木の陰から友希那達が嫉妬のまなざしでこっちを見ている事に気づいた。

 

飛鳥(いつも一緒にいるから心配いらないと思うんだけどなぁ…)

 

 飛鳥はそう考えて難しい顔をした。

 

紗夜「どうしたの?」

飛鳥「いえ、何でもございません」

紗夜「何でもないことないじゃない。言いなさい!」

飛鳥「湊先輩たちがずっとこっちを見てます」

紗夜「えっ!!?」

 

 紗夜が後ろを振り向くと、監視していたことに気づいたのか友希那達が出てきた。

 

リサ「あ、あははー。ゴメンねー。どんな話をしてるか気になっちゃって…」

友希那「話は全部聞かせて貰ったわ」

紗夜「ちょ、み、皆さん…」

飛鳥「氷川先輩に何かあったんじゃないかって、ご心配されていたそうですね」

 

 飛鳥は何とか話を穏便に済ませようとした。

 

日菜「飛鳥くん。優勝したからと言って、おねーちゃんと二人きりになっていい訳じゃないんだよ?」

飛鳥「ご安心ください。そういう関係にはなれませんよ」

紗夜「え?」

 

 紗夜の言葉に飛鳥を見つめた。

 

飛鳥「これから忙しくなりますし、それに…」

「?」

 

 すると飛鳥はこう言った。

 

飛鳥「紗夜先輩は皆さんのアイドルですから。独り占めなんて出来ませんよ」

 

 飛鳥の言葉に紗夜が顔を真っ赤にした。

 

飛鳥「それでは、失礼します」

 

 そう言って飛鳥はスーッとそのまま去っていった。

 

紗夜「……!!///////」

友希那「紗夜。大丈夫? 一丈字くんに何かされてない?」

 

 友希那達が紗夜に近づいたが、紗夜の顔はリンゴのように真っ赤だった。

 

燐子「さ、紗夜さん…?」

あこ「顔が真っ赤だけど熱があるんじゃ…」

紗夜「だ…」

「?」

 

 紗夜が顔を覆った。

 

紗夜「誰がアイドルですか…っ!!//////」

 

 そう言って紗夜がプルプル震えると、友希那達も尊死した。

 

******************

 

 その後

 

千聖「…あの後、紗夜ちゃんと燐子ちゃんがずっと様子が変だったのよ」

飛鳥「そ、そうですか…」

 

 飛鳥は自宅で千聖と電話をしていたが、紗夜と燐子の様子を聞かされて困惑した。

 

 

おしまい

 

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