飛鳥が学園を去ってからというもの、バンドリ学園においては男子生徒達が果敢に告白をしていたが、一向に上手く行かない状態だった。
「ああああ!! なんでこうも上手く行かないんじゃあ!!」
「オレはサッカー部のキャプテンになったのに!!」
「此間の保健体育で1位になったのに!!」
「高い靴を貢ごうとしたのに!!」
「ブラが透けてたから教えてあげたのに!!」
「いや、それはお前が悪い」
男子生徒たちは発狂していたが、約一名どう考えても自業自得だったので、それに対して皆ツッコミを入れた。
「ちなみに誰で何色だった?」
「リサちゃんで赤色…」
「そういう所なんだよなぁー」
と、リサ、ひまり、燐子、有咲の4人がやってきた。リサが青筋を立てながら言い、有咲はゴミを見る目で睨み、ひまりと燐子はドン引きしていた。
「どうしてもそんなに一丈字がええんか!!」
「あんなつまらん男に!!」
「やっぱり主人公はオレ達みたいなちょっとスケベだけど、やる時はやる男みたいなのが…」
有咲「どうしようもない位スケベだし、今までやって来た事ほぼアウトじゃねーか!!」
男子生徒達の言葉に有咲がツッコミを入れた。
ひまり「有咲ちゃん。こういうのは無視だよ無視」
有咲「…そ、そうだな。相手にするからいけないんだ」
ひまりの言葉に有咲は冷静さを取り戻した。結構カッとなりやすい性格の有咲だが、いい加減落ち着こうと考えていた。
リサ「とにかくもうそんなセクハラはやめてよ。皆怖がってるし、嫌がってるよ?」
「まあ、それは善処するけど、こっちにも言い分があります!」
ひまり「な、なに…?」
「一丈字の家に入り浸ってるって噂を聞いた!!」
男子生徒の言葉にリサ達は困惑していた。
「少なくともパスパレはダメでしょ!?」
「アイドルだよね!?」
「お金貰ってるんでしょ!?」
「身内だからって甘やかすのはなしだからね!?」
それを言われると確かに痛かった。お客さんがいてこそ成り立つアイドルという仕事をやっている彼女たちが、いくら学校の元同級生または元後輩とはいえ、入り浸るのは流石にマズい。少なくとも部屋の鍵をいじった上に防犯カメラまで仕掛けた事がバレたらもう一巻の終わりである。
リサ「まあ、それはアタシ達も思うけどさぁ…」
「でしょう!?」
「それは同じガールズバンドとして注意するべきだと思うな!」
たまに男子生徒達も正論を言うので、本当に手ごわいと思っていた。だが、ここで下手に出ると間違いなく調子に乗る。というかもはや少しでも人の悪い所を見て自分をあげようとする姿があまりにもダサすぎた。
「で?」
有咲「でってなんだよ…」
「家に入り浸って何をしてるの?」
有咲「あのさ。デリカシーって言葉を知ってる?」
ひまり「女の子にそういう事聞くからモテないんだよ…。ていうか振り向かせる気あるの?」
リサ「飛鳥くんに限らず、男の子って普通そういう所気を遣うもんだよ?」
「やっぱり後ろめたい事をしてるんだな!!」
と、男子生徒達が騒ぐとリサ達は少しイラっとした。本当に自分の事しか考えてないと思ったと同時に、飛鳥も大変だったんだなと有咲は目を閉じて涙を浮かべた。
「もしかして…」
「?」
「一緒に風呂に入って、その豊満なおっぱいで誘惑とかしてたんだろ!」
男子生徒の言葉にリサ達はドン引きした。もう完全に白目になっていたし、その男子生徒達の事を頭がおかしいと思っていた。
「一緒の浴場で体を洗いながら、スタイルとか比べあってそれを一丈字が聞いてるんだろ!」
「で、あいつはあいつでハーレム漫画の主人公気取って、色々カッコつけてんだろ!」
「ていうか本当にカッコイイと思ってんのか!!」
「フラグを悉く壊すつまらん男の癖に!!」
この会話を聞いてリサ達は顔を合わせて、有咲がスマホで通報しようとした。
「ちょ、何をしてるんだ!!」
有咲「近づくんじゃねぇー!! これ以上近づいたら本当に通報すんぞ!!!」
「それなら家で何をしてるか教えろよ!!」
ひまり「嫌だって言ってるでしょ!」
「やっぱり後ろめたい事をしてるんだ!」
と、会話を元に戻して粘ろうとする男子生徒。訪問販売で一度家に入れたら商品を購入するまで帰ろうとしないセールスマンばりに悪質だった。
有咲「とにかく通報だ通報!!」
「待て!!」
有咲が通報しようとしたので、男子生徒達が止めようとした次の瞬間。
「何をされてるんですか?」
「!?」
声がしたのでその方向を見ると、困惑した様子の飛鳥がいた。
「い、一丈字!!」
「今更何しに来た!!」
飛鳥「ちょっと用事がございましてね。で、市ヶ谷さん達にセクハラですか?」
「いや、ちょっと待ってくれよ!!」
「どう考えても納得いかねーんだよ!!」
「仮にオレ達が本当に変態でスケベでどうしようもない奴だとしても、お前みたいな奴がモテるなんて納得できねーって!!」
飛鳥「いや、そんなん知りませんよ」
男子生徒達の言葉を飛鳥が一刀両断した。言われる側からしてみたら本当にどうしたらいいんだという話であるし、そもそも開きなおって逆切れしたり、女子達に性懲りもなくセクハラをしてる時点で、自分がいなくても何も良い事なんて起こる訳もなかった。
飛鳥「それに、元々今井先輩達もバンドや部活動で色々忙しい筈ですから、男と遊んでる暇なんかありませんよ」
「けど、お前の家には入り浸ってるじゃないか!!」
飛鳥「入り浸ってはいませんよ」
「しかもとっかえひっかえ!」
飛鳥「まあ、それはありましたけど、もうそれも無くなりますよ」
「え?」
飛鳥の言葉にリサ達が青ざめた。
飛鳥「親御さんたちの間でも話題になっていて、制限がかけられるそうです」
ひまり「もしかして私たちのお父さんとお母さんたちが話したんじゃ…」
燐子「そ、そんな…」
飛鳥が困った顔をして腕を組んだが、男子生徒たちは喜んでいた。
「よっしゃああ!」
「ざまーみろ一丈字!」
「もうこれでリサちゃん達とは縁がなくなるな!」
「それともう学校くんなよ!」
飛鳥「ハァ…。まあ、私はもうこれで失礼します。頑張ってくださいね」
飛鳥がそう言って去っていくと男子生徒たちは飛鳥が見えなくなるまで、小ばかにし続けた。当然リサ達は唖然としたままだったが…。
「さあ、そういう訳だからあんなつまらん男の事は忘れてオレ達と…」
「遊べると思っているのか」
「!?」
男子生徒達が振り向くと、そこには屈強の男たちがいた。
「今井様達にセクハラ行為を仕掛けたそうだな。それに関して我々と話をしようか」
「ひゃ、ひゃい…」
こうして騒動は幕を閉じたのだが…。
***
その夜
有咲「一丈字! アタシ納得してねーからな!!」
飛鳥「私に言わないでください」
飛鳥は有咲たちとリモート会話をしていたが、有咲たちは納得していない様子で、飛鳥は何とかなだめようとしていた。
ひまり「一丈字くん! 本当に一人で大丈夫なの!?」
飛鳥「大丈夫ですよ」
リサ「何かあったらすぐにアタシに言うんだよ!」
飛鳥「あ、はい…」
燐子「あ、あの…恥ずかしいですけど、本当にお風呂も…」
飛鳥「お気遣いなく」
たとえつまらん男と言われても、平和を望む飛鳥なのであった。
おしまい