ある日の事だった。性懲りもなく千聖が遊びに来ていた。
飛鳥「不法侵入ですよ」
千聖「アポを取ろうとしても入れてくれないじゃない」
飛鳥「自分の影響力考えてくださいよ。また無人島に行かされたいんですか?」
千聖「今度はあなたを連れて行って貰えるように検討してるわ」
飛鳥「ファンを大事にしないと芸能人生終わりますよ」
と、普通に世間話をしていた。
千聖「それを言うなら私一応アイドルで女優なのだけど」
飛鳥「すいませんね。もう大企業の総帥のお孫さんで耐性着きました」
千聖「…林グループね」
林グループとは弦巻財団と同じくらいの金持ちであり、そこの総帥の孫と飛鳥は仲良しなのだ。孫は3人いて、長男、長女、次女なのだが、長女と次女がこころの幼馴染であり、飛鳥の中学の同級生でもあるのだ。その為、林グループとも何かしら付き合いがある。
千聖「そういえばあそこのお嬢様とはそういう関係じゃないのよね?」
飛鳥「ええ」
千聖の言葉に飛鳥は困惑しながら答えた。
「にしても驚いたよね。まさか林グループのお嬢様とも仲良しだったなんて」
飛鳥「奥沢さん…」
美咲もいつの間にか現れていた。
飛鳥「もう弦巻さんの事言えなくなりましたね」
美咲「謝るから表現変えて」
***
美咲「そういや一丈字くん。クッション壊れてなかった?」
飛鳥「買い換えました」
美咲の言葉に飛鳥がそう言い切ると、話がそこで終わった。
美咲「…一丈字くん。これじゃ話が続かないよ」
飛鳥「何をしようとしてるか分かるから終わらせてるんですよ。普通のじゃないんでしょう?」
飛鳥の言葉に美咲が視線をそらした。
飛鳥「弦巻さんに説教して貰いましょうかね…」
美咲「一丈字くん。本当に謝るからマジでやめて。こころに説教されるなんて屈辱以外何物でもないんだけど」
千聖「そういう意味では飛鳥くんも本当に強かよね…」
飛鳥「じゃなきゃこの仕事は出来ません」
千聖の言葉に飛鳥はバッサリ断言した。能力者の仕事というのは悪い敵と戦うだけではなく、話をしないといけない事も多いので、苦労が多かった。
飛鳥「病院でいうと、聞き分けの悪い患者の相手をするようなもんですね…」
美咲「確かにいるよね。かまってちゃんとか」
千聖「そういう意味じゃあのバカ男子共もあんな感じよね…」
飛鳥「そうですね…」
すると3人がどんよりしていた。元々ツッコミ気質だったせいか、思い出してすっかりテンションが低くなった。
美咲「もう嫌。慰めて」
飛鳥「くっつく相手間違ってます」
美咲が飛鳥に抱き着くと、飛鳥は突っ込んだ。
千聖「何よ! こういう時は黙って抱きしめるもんでしょうが!」
飛鳥「アイドルですよね?」
千聖も抱き着いてきたので飛鳥は困惑した。この状況を誰かに見られたらもう命はないだろう。
飛鳥「脅して来たらその人に全責任負わそ」
美咲「…思ったけど、一丈字くんが一番病んでるよね」
飛鳥「もう嫌ですよ。怒られるの」
千聖「…そうね」
「どんどん話が暗くなってるよー」
と、沙綾がエプロン姿でやってきた。
飛鳥「不法侵入ですよ山吹さん」
沙綾「ま、まあそれは…その…」
飛鳥「弟さんに弄られますよ」
沙綾「腕によりをかけるから黙ってて…」
飛鳥「ていうかよく考えたらAfterglowとRoseliaの二の舞になりますよ」
千聖「大丈夫よ。そうよね。沙綾ちゃん、美咲ちゃん」
美咲「そうそう。アタシ達は仲良くするから」
沙綾「そうそう」
3人がそう言うが、そもそも不法侵入してる時点でアウトな気もするが、まあ運命に任せることにした。
***
暫くしてカレーが出来上がって、4人で食べた。
沙綾「美味しい?」
飛鳥「美味しいですけど、よく4人分作れましたね…?」
沙綾「ああ。それに関しては多めに作ってるから」
飛鳥「どうしてです?」
沙綾「良く食べるって聞いてるから」
沙綾の言葉に飛鳥は『上手くかわしたな…』と思っていた。さしずめ、自分が誰と会っていて、誰と話していたとかも事前に分かっているのだろうと。
沙綾「千聖先輩と美咲もどうぞ」
美咲「ありがとう」
千聖「それじゃ頂くわね」
と、4人で食事をした。カレーは特に問題もなく美味しかった。
美咲「それにしてもこのメンツで集まる事ないですよね」
千聖「そうね。バンドも担当も違うものね」
沙綾「まあ、同じだとすれば…」
3人が一斉に飛鳥を見たが、飛鳥はスルーしていた。
飛鳥「そういえば最近調子はどうですか?」
美咲「まあ、相変わらずかな…」
沙綾「そうだね…」
千聖「私の専属マネージャーにならない?」
飛鳥「フラグ立ててきましたね」
千聖の言葉に飛鳥がツッコミを入れると、沙綾と美咲が千聖を睨んだ。
千聖「冗談よ」
美咲「いや、ちょっと勘弁してくださいよ。アタシ達も我慢してるのに」
沙綾「そうですよ」
千聖「まあ、それはそうと飛鳥くん。私のカレーを食べてくれるかしら?」
飛鳥「どういう意味ですか?」
千聖「分かってるでしょう?」
飛鳥「白鷺先輩が先に食べてくれるならいいですよ」
飛鳥がそう言って牽制をかけた。
千聖「…やるわね。流石私が見込んだだけの事はあるわ。いいわよ」
飛鳥「いいんですか」
すると飛鳥が新しいスプーンを取り出すと、
千聖「あら、飛鳥が咥えてた奴でいいのよ」
飛鳥「変態みたいな事言わないでくださいよ」
千聖「なっ! し、失礼ね!」
飛鳥の言葉に千聖が憤慨すると、沙綾と美咲も憤慨した。
美咲「そうだよ一丈字くん。今のは失言だよ」
沙綾「デリカシーがあると思ってたのに」
飛鳥「私と白鷺先輩との仲だと思ってたんですがね。分かりました。次からは気を付けます」
千聖「え、そ、それってどういう…」
飛鳥「自分で考えてくださいな」
そう言って飛鳥が指を鳴らして、忘れさせた。
***
そして食事を終えた4人。
飛鳥「ご馳走様でした」
沙綾「うん。それはそうと食後のデザートはなにがいい?」
飛鳥「お気になさらず」
千聖「まあ、思春期の男の子のデザートって言えば女の子よね?」
飛鳥「その台詞あの男子生徒の皆さんたちに聞かせてあげたいですねぇ」
沙綾・千聖・美咲「やめて!!?」
その時、飛鳥のスマホがなった。
飛鳥「誰からだろ…」
千聖「私たち以外の女なら切って頂戴」
飛鳥「無茶言わないでくださいよ…あれ? スタッフさん?」
飛鳥の言葉に千聖は嫌な予感がした。
飛鳥「あ、はい。もしもし一丈字です」
『あ、もしもし一丈字くん? 白鷺そっち行ってる?』
飛鳥「……」
この後パスパレはまた遠く飛ばされたという…。
おしまい