全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第136話「そばツユの深味・2」

 前回までのあらすじ

 

 休日に巴、モカと共に蕎麦屋の屋台を見つけたが、その蕎麦屋は無許可で営業しており、店主は警察官に連行されてしまう。

 

 結局何もしないまま登校日を迎えたが、飛鳥は休憩時間にうなぎ屋の騒動で知り合った松永から呼び出される事になった…。

 

****************

 

 放課後

 

飛鳥「……」

 

 飛鳥は学園の正門前まで来ていたが、目の前にパトカーがあって困惑していた。そしてパトカーの前には松永がいた。

 

松永「いやー。悪いな神楽の坊主! 待たせちまって!」

飛鳥「いや、それは問題ないんですけど、どうしてパトカーで…」

松永「警察がパトカーに乗って問題あるか?」

飛鳥「いえ、そうじゃなくて私はこのまま警察署に行くんですよね…?」

松永「悪い事してねぇんだから堂々とすりゃあいいだろう」

飛鳥「ま、まあそりゃそうなんですがね…」

 

 と、飛鳥は困惑した。確かに堂々とすればよいのだが、香澄達バンドガールズの件で色々目の敵にされている為、パトカーで連行となれば色々面倒くさい事になるのは間違いなかった。

 

松永「そうと決まれば早速来て貰うぞ!」

 そう言って松永は飛鳥をパトカーに乗せようとしたが、

 

「一丈字!!」

 

 と、Afterglowが現れた。

 

飛鳥「あ、皆さん…」

ひまり「どうしたの!? 何があったの!!?」

飛鳥「安心してください。ただの事情聴取ですよ」

モカ「事情聴取~? どうして飛鳥くんだけ~?」

飛鳥「あ、青葉さんと宇田川さんはアルバイトだと伝えたら私だけでよいみたいです」

巴「そ、そんな! それじゃあたし達の為に…」

飛鳥「上手い説明しときますので、アルバイト頑張ってください」

 そう言って飛鳥はパトカーに乗せられていき、そのまま後にした。

 

つぐみ「だ、大丈夫かな…」

モカ「……」

 

 つぐみが心配そうにしていたが、巴とモカは不機嫌だった。

 

巴「くそっ!! 一丈字の奴、一人でカッコつけやがって!!」

ひまり「いや、カッコつけてはないと思う…」

モカ「まだまだ無茶する所があるねぇ~」

蘭「…いや、普通にバイトだって聞いてたら気を遣うでしょ」

 

 ************

 

飛鳥「……」

 飛鳥が警察署に来ると、そこには蕎麦屋の主人もいた。

 

飛鳥「ずっと拘束されてたんですか?」

松永「ああ。おめぇとどうしても話がしたいっつーからよ」

「おい、あんた」

飛鳥「?」

「昨日何か言いかけてたよな。一体なんだ! 教えろ!」

 

 と、店主が飛鳥に迫った。

 

飛鳥「つゆが蕎麦の味に追いついてないんですよ。薄いです」

「!!」

飛鳥「自慢じゃないですけど、蕎麦の事は多少分かっているつもりです。蕎麦の事をよく分かっていない一般人ならあれで大丈夫かもしれませんが…、分かっている人から見れば合格点は出せません」

「……!!」

 飛鳥の言葉に店主が怒りで顔を赤くした。

 

飛鳥「そばつゆだけでも、ほかのお店に行って教えて貰ったら如何ですか? そばはいう事ないので、事情を話せば…」

「バカ野郎!! そんな真似できるか!!」

 と、店主が怒鳴った。

 

「せっかくここまで来たんだ。それに、習っちまったらそれはもううちの店のつゆじゃねーだろ!!」

飛鳥「習ったものをそのまま使うのではなくて、研究するんですよ。そこから自分のそばに合ったものを…」

「う、うるせぇうるせぇうるせぇ!! どうして高校生にここまで言われなきゃいけねーんだよ!!」

 と、店主が首を横に振ったが。

 

松永「そういう事なら、店を出す以前の問題だぜ。蕎麦屋」

「え?」

 店主が松永を見ると、松永は真剣な顔をした。

 

松永「人の意見に耳を傾けられねぇ奴は、いずれ周りから見捨てられる。例え実力はあってもな」

「!」

松永「てめぇは成長するチャンスを自ら捨てようとしている。そういうつもりなら、許可証の事は諦めるんだな。そんな奴が打つそばなんて誰も食いたかねぇよ」

「そ、そんな…」

 松永の言葉に店主が絶望した。

 

飛鳥「あの、店主さん」

「な、なんだよ」

飛鳥「質問があるんですが、削り節って…もしかして薄く削ってます?」

「!!?」

 店主が飛鳥を振り向いた。

 

「お、おう。そうだが…」

飛鳥「あー…やっぱりそうでしたか。で、煮詰める時に早く鰹節をあげてたりしませんか?」

「……!」

飛鳥「鰹節って薄削りというイメージが多いですけど、出汁を作るときは、厚削りの方が良いですよ。コクと風味が強いですからね。それから煮詰める時間はもっと長くないと濃厚なだしが出ないんですよ」

「ど、どうしてお前がそういう事分かるんだ!!」

飛鳥「あ、出汁作った事あるんですよ。催し物で市販のめんつゆがどうしても口に合わないっていう人がいて」

 

 飛鳥の言葉に店主も警察官も驚いた。

 

松永「折角だからお前さんが盛り蕎麦を作ってみろい!」

飛鳥「えっ」

 

 そんなこんなで数日後、屋台がある現場で蕎麦を作る事になった飛鳥。

 

松永「ちなみに生そばは押収しているからこれを使うと良い!!」

飛鳥「あ、ありがとうございます…」

 

 30人分はあるであろう生そばを押し付けられた。

 

**********

 

飛鳥「はー…だしを作って来いって言われたよ。かえし(醤油・本みりん・砂糖を混ぜ合わせたもので、そばつゆの元になる調味料)を作るのには最低でも1日はかかるしなぁ…」

 

 飛鳥は松永たちと別れ、警察署から出てきたが、どんよりしていた。すると警察署の前には一台の高級車が止まっていた。

 

「飛鳥!!」

 そこからこころが現れた。

 

飛鳥「こころ!?」

こころ「話は全部聞いたわよ! おそばのつゆを作るのね!?」

飛鳥「うん。そうだよ」

こころ「何かできる事はないかしら!?」

飛鳥「うーん…。蕎麦屋でつゆの作り方を教えてくれそうなお店探しといて。問題になった店主さんにそばつゆの作り方を教えさせたいから」

こころ「分かったわ! あ、乗ってく!?」

飛鳥「いや、早速調味料とかを買いに行かないといけないから…」

こころ「調味料はこっちで用意するわよ?」

飛鳥「ありがとう。でも今はあまり高くない奴の方が良いかな…。コスト的に」

こころ「そうなの?」

飛鳥「そうだよ」

 

 そんなこんなで飛鳥はそばつゆ作りを行うのだった!!

 

 

 

つづく

 

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