「ねない ねない ねない」
歌:ザ・カスタネッツ
こんにちは。クラスメイトです。1年3組に所属しています。えっと…あの一丈字くんのクラスメイトの男子生徒です。今回は僕たちの目線からお話を進めさせていただきます。
皆さんも知っていると思いますが、この学校はガールズバンドが盛んです。まあ、演奏している人たちもとても綺麗で可愛いです。その為、学校の中でも外でもファンが沢山います。親衛隊がいたり、ストーカーがいたりして、見てる方は毎日退屈しませんが、バンドガールの人達はとっても困ってるそうです。
学校だけならともかく、バイト先にも押しかけて迷惑行為があったそうです。実際に今井さんや青葉さんと同じコンビニでバイトをしてる女の子が、『今井さんと青葉さんのどちらかを出せ』といわれたり、『今井さんや青葉さんがいないと分かった途端に帰ったりする』という事が起きています。そういや、2組の宇田川さんと上原さんは前にバイト先の人と喧嘩したって言ってたな…。
そんな日々が続いていた中、彼は突然やってきました。
「今日からこの学校に転入することになった一丈字飛鳥くんだ」
飛鳥「一丈字です。宜しくお願いします」
最初はとてもおとなしそうな子だと思った。黒髪で大きな眼鏡をかけてて…こんな事言ったら失礼だけど、陰キャがそのまま漫画の世界から飛び出したような感じでした。でも、その割にはハキハキと喋ってて、ちょっとよく分からなかった…。
で、彼が来てからというもの、そのファンの迷惑行為が減ってきたような気がします。なんていうか、彼女たちにちょっかいをかけようとすると突然お腹が痛くなったりとかで、祟られるという都市伝説も生まれているみたいです。それはそれで良いのですが、それと同時に一丈字くんが何かしらの事件に巻き込まれてるんですよね。警察に逮捕されたり、何か裏で人助けをしていたり、もしかして一丈字くんが関わってるんじゃないかという都市伝説も流れてますけど、そんな漫画の世界じゃないんだからあり得ませんよね。
でも…一丈字くんって普段から凄いんですよね。あてられた問題は全部答えるし、屋内の体育でも運動神経抜群だし…。此間野球部のボールが横から飛んできて、普通にキャッチしたりするし、本人は大したことなさそうにしているけど、こっちからしてみたら色々ツッコミどころが多くて、聞いてみたいけど怖くて聞けないんですよね…。
まあ、そんな一丈字くんだけど、僕たちが困ってたら助けてくれるし、分からない所があったらちゃんと教えてくれるし…それに、いざっていう時に本当に頼りになるんですよね。頼りになるし、顔つきが何かもう歴戦の勇者みたいに…。人生何週目なんだろう…。
あ、僕の語りはここで終わります。
************************
ある日の事だった。
飛鳥「……」
飛鳥は普通に教室で過ごしていたが、クラスメイトの一人が飛鳥の方を見ていた。だが、飛鳥は気配には気づいていたものの、話しかける様子はなかった。だが、クラスメイトは意を決して飛鳥に話しかける事にした。
「なあ、一丈字」
飛鳥「何でしょう?」
飛鳥もクラスメイト(以降B)を見つめた。そして語りをしていたAもその様子を見つめている。
B「前からずっと思ったんだけどよ…。お前、好きな子とかいねーの?」
飛鳥「いませんよ?」
飛鳥は即答した。
B「いや、弦巻とかあんなに仲が良いのに…」
飛鳥「あー…。よくそう思われがちなんですけど、そんな事ないんですよ。それに、彼女たちもバンド活動や部活動で忙しいので、恋人よりもそっちの方を優先したいって言ってましたし」
B「誰が?」
飛鳥「湊先輩や美竹さん、白鷺先輩あたりはそう仰ってましたね」
B「た、確かに言いそう…」
飛鳥「彼女たちとはたまにお話しする機会はございますが、今以上の関係になる事はございませんよ」
B「そ、そうか…?」
飛鳥「そうですとも」
するとチャイムが鳴った。
飛鳥「まあ、そういう訳で」
A「……」
飛鳥の様子をAはただ見ている事しか出来なかった。やっぱり見れば見る程不思議で掴み所がなかったのだ。
飛鳥(…クラスの人たちからこうやって話しかけてくれるのは嬉しいけど、あまりボロを出すとバレるからなぁ)
昼休憩
はぐみ「飛鳥くーん!! 一緒にお昼ご飯食べよー!」
飛鳥「北沢さん」
はぐみが3組の教室にやってきた。
飛鳥「今回はお一人ですか?」
はぐみ「うん! こころんもみーくんも用事があってはぐみ一人だから…ダメかな?」
飛鳥「ダメではないですけど…私で宜しいんですか?」
はぐみ「いーよいーよ! それじゃ食堂に行こ!」
飛鳥「ちょ、北沢さん!」
はぐみが飛鳥の手を強引に引っ張ると、そのまま去っていき、それをクラスメイト達が見つめていた。
「一丈字…」
と、クラスメイト達は苦笑いしていた。
「…まあ、未だに謎が多いけど、悪い奴じゃないしな」
「そうね。私達にも優しくしてくれるし…」
「このまま見守りましょう」
「ああ…」
クラスメイト達はそう話をしたのだった。
「…って、なんかあった時助けに行ってあげなさいよ!」
「いやー…あんな変態たちの相手したくねーし、一丈字一人で十分だろ…」
おしまい